ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

NMN摂取でアンチエイジング効果は?NAD+をはじめ体内の変化を促進

カレンダー2023.7.22 フォルダー最新研究

ポイント

  • NMNは、アンチエイジングや生活習慣病予防に関与するNAD+の前駆体である
  • NMNを飲むと、血中のNMNとNAD+の濃度が上昇し、健康が改善される可能性がある
  • 健康効果と全体的な安全性が示唆された一方、中性脂肪が増える懸念点も確認された
NMN摂取の効果。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

NMN摂取の効果。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 NMN(β-ニコチンアミドモノヌクレオチド)を毎朝飲むと、確かに血液中のNMNが上昇し、食後の血糖値を下げるホルモンであるインスリンが出やすくなるようだ。若返り効果が注目されるNMNだが、その効果を考える上で参考になりそうだ。2023年5月に大阪大学発ベンチャーのバイユーアナリティカの研究グループが発表した。

NMNを飲むことでもたらされる変化は

体内に影響?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

体内に影響?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 ヒフコNEWSでも取り上げているが、NMNは若返り効果が注目され、サプリメントなどの人気が高まっている栄養素。そもそもNMNは、細胞のエネルギー代謝や恒常性、成長のために重要な機能を果たしている。

※もう少し詳しく見ると、NMNはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の前駆体で、NAD+はさまざまな細胞のプロセスに関与している。そのようなプロセスの一つが、SIRT1(サーチュイン1)の活性化によるもの。SIRT1はNAD+を使い、特定のタンパク質からアセチル基を除去する。NAD+はその後、分解されて再びNAD+に戻る。老化や生活習慣病の予防につながる。これが健康を増進する可能性が示されてきた。

 老化したり、病気になったりすると、細胞の機能に関連するNAD+をうまく使えなくなる。そこでNMNを補充することが有効と考えられるようになった。実験的には、血糖値を速やかに下げられる効果、有酸素運動能力、身体能力、疲労回復の効果が検証されている。一方で、NMNを飲むことによって体内でどのように分布するのかが完全に解明されていないほか、安全性についての懸念もまだ残っている

 そこで、今回、研究グループは、NMNを毎朝飲むと、NMNやNAD+が実際に血液の中で増えるのかどうかを確かめた。

 研究では、健康なボランティア男性7人、女性4人に毎日250mgのNMNを12週間にわたって飲んでもらい、NMNとNAD+の血漿中濃度が測定された。さらに、NMN投与前と投与中の昼食後に血糖値を下げるホルモンであるインスリンの検査を行った。

NMNが体内に変化をもたらす

健康に影響?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

健康に影響?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 NMNを飲むことで、NMNとNAD+の血液中の濃度が上昇し、食後のインスリン濃度も上昇したことが確認された。その上昇には個人差があり、有害な症状は観察されず、NMN摂取の安全性が示された。

 一方で、中性脂肪が上昇する変化も確認された。

 研究グループは今回の観察からNMNの健康やウェルビーイングを改善するNMNのメリットに光を当てるものであると説明している。

 NMNは人気のサプリメントではあるが、その効果は検証が進んでおり、まだ不明点もまだ多い。

参考文献

1. Yamane T, Imai M, Bamba T, Uchiyama S. Nicotinamide mononucleotide (NMN) intake increases plasma NMN and insulin levels in healthy subjects. Clin Nutr ESPEN. 2023 Aug;56:83-86. doi: 10.1016/j.clnesp.2023.04.031. Epub 2023 May 5. PMID: 37344088.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37344088/

2. 寿命400歳まで示唆する最新研究、慶應義塾大学の早野元詞氏が解説するアンチエイジングから若返りへの最新トレンド、第111回日本美容外科学会(JSAS)
https://biyouhifuko.com/news/japan/1439/

3. 美容医療の新常識「エピジェネティック・クロック」が教える、あなたの本当の年齢
https://biyouhifuko.com/news/japan/2078/

4. NMNの視力への好影響が示されるも、歩行や握力の改善は認められず、大阪大学の研究
https://biyouhifuko.com/news/research/869/

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。