美容医療は美しさへの投資。このような若さを求めて努力をしたり、投資したりすることは、最終的に報われるのか?
2024年2月に、米国ミシガン大学の研究グループにより、その後の体験についての研究結果が報告された。
若く見える努力とその後の体験
日本でも同じかもしれないが、米国では「エイジズム」と呼ばれる年齢に対する偏見や固定観念が存在することが否定できないという。老化することは体の機能が衰えるものだなどとマイナスな考えが持たれやすい。それに対して、多くの人々が時間とお金をかけて若く見せようとしている。
では、そのように若く見せようと努力したり、投資したりした結果、本人は年を取ってからどのような体験をするのか。研究グループは50~80歳の人を対象に、自分が感じる年齢、若返りの努力や投資の状況、年齢に関連したポジティブな体験、逆にネガティブな体験を調査した。
ポジティブな体験は、若さを保つためのアドバイスや知恵を求められたり、自分自身が強い目的意識を保てたりするようになること。ネガティブな体験は、目や耳が悪い、記憶が衰えている、新しい技術が使えないなどと、決めつけられること。
ポジティブ体験と健康に結びつき
こうして明らかになったのは、自分が同年代の他の人よりも若く見えると考える人は、ポジティブな体験が増え、ネガティブな体験が減ること。
同世代よりも若く見えると回答したのは59%、同じくらいと回答したのが35%だった。年を取って見えると回答した人は6%にとどまった。若く見せるためにお金を投資していたのは35%だった。これら若く見えると考えている人ほど、ポジティブな体験が増えて、ネガティブな体験が減っていた。
一方で、投資についてはやや異なる結果になっていた。若く見せるための投資をした人は、ポジティブな体験をすることも増えたのだが、ネガティブな体験をすることも増えていた。これは一見矛盾して見えるが、研究グループは、投資をする人は、エイジズムを自ら感じている可能性があると指摘している。
なおポジティブな体験をする人ほど健康である傾向にあった。若返りとその結果には複雑な面があるものの、老化への偏見を持たずに若さを追求することは、健康や幸福感につながって、報われるといえるのかもしれない。