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レーザー治療後、表れることのあるケラトアカントーマとは?フラクショナルレーザー後の現象、自然に消えるケースも

カレンダー2024.4.5 フォルダー最新研究

 肌にドット状のレーザーを規則的に当てて、肌に小さな穴を開けることで、肌の再生を促すフラクショナルレーザーは、この治療後に「ケラトアカントーマ」と呼ばれる出来物が発生することがあるという。

 レーザー治療後に突発的に発生したケラトアカントーマの症例と、それに関連する過去のレビューが2024年4月に報告された。

レーザー治療後の肌に現れた角質の芯と盛り上がり

レーザー治療後に表れたケラトアカントーマとされる出来物。(出典/J Cosmet Dermatol
. 2024 Apr 4. doi: 10.1111/jocd.16182. Online ahead of print..)

レーザー治療後に表れたケラトアカントーマとされる出来物。(出典/J Cosmet Dermatol
. 2024 Apr 4. doi: 10.1111/jocd.16182. Online ahead of print..)

 58歳の女性は顔の若返りの目的のためにフラクショナルレーザーを受けることにした。口元を中心にシワや小ジワが見られた。

 女性はアレルギー性鼻炎と帯状疱疹になったことがあり、皮膚がんになったことはなかった。

 そこで顔全体にフラクショナルCO2レーザーを、口元や目元にはエルビウムレーザーリサーフェシングを実施した。その10日後に、口元に皮膚の盛り上がりが認められ、レーザーリサーフェシングを行った部位には、角質の芯を持った4~6mmの盛り上がりが3つ確認され、これがケラトアカントーマと推定されたという。

 皮膚を切り取る検査、薬剤治療、特に何もせずに観察するという選択肢があったが、傷跡が残ることを考え、週に複数回の慎重に観察することにした。すると数週間で小さくなり、6週間後目には自然に完全消失した。

 美容的にも結果は良好と判断されたという。

ケラトアカントーマとされる出来物は自然な治った。(出典/J Cosmet Dermatol
. 2024 Apr 4. doi: 10.1111/jocd.16182. Online ahead of print..)

ケラトアカントーマとされる出来物は自然な治った。(出典/J Cosmet Dermatol
. 2024 Apr 4. doi: 10.1111/jocd.16182. Online ahead of print..)

レーザー誘発KAの特性と管理

  • ケラトアカントーマの報告→フラクショナルレーザーを受けた人に目立ち、エルビウムレーザー、エルビウムYAGレーザー、ピコ秒レーザーを用いた刺青除去でも同様の報告
  • ケラトアカントーマ発生の背景→過去に皮膚がん経験者に多い、治療から1カ月以内に多く発生
  • 対処方法→慎重な観察、手術、凍結療法、薬など
  • 一般的なケラトアカントーマの特徴→角質の芯を持つ出来物で、原因は紫外線、免疫低下、慢性的な皮膚病、HPV関連ウイルス感染など

 研究グループによると、過去の報告も参考にすると、ケラトアカントーマの報告はフラクショナルレーザーを受けた人で目立っていた。また、エルビウムレーザー、エルビウムYAGレーザー、ピコ秒レーザーを用いた刺青除去に関しても、同様の報告がある。

 なお、ケラトアカントーマが発生した人の中には、過去に皮膚がんを経験した人が多いと報告されている。

 ほとんどのケースでは治療から1カ月以内にケラトアカントーマができていた。ケラトアカントーマの一般的な対処は、50代の女性のように慎重に観察を続けるほか、手術、凍結療法、薬などがある。レーザーに関連したケラトアカントーマも一般的な対処が取られていた。

 一般的にケラトアカントーマは、角質の芯を持った出来物。原因ははっきり分かっていないが、一般的には紫外線を多く浴びたとき、免疫を低下させる薬を使っているとき、慢性的に赤みが出来る皮膚の病気、HPV(ヒトパピローマウイルス)関連のウイルス感染などで起こるとされる。ケガやヤケドの後にケラトアカントーマが発生するという報告がある。フラクショナルレーザーの後に発生しやすいことは皮膚のダメージが関係している可能性があるという。

 レーザー治療の後にもこのような変化があるというのは、治療を検討をするときには知っておいた方が、後に異常があったとき早めに対処する上では役立ちそうだ。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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