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トラネキサム酸とビタミンCによる肝斑メソセラピー治療の成果、美容皮膚科の医学誌で報告、最新の海外研究

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メソセラピーで皮下の浅い層に注入。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

メソセラピーで皮下の浅い層に注入。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 トラネキサム酸およびビタミンCをメソセラピーで皮下の浅い層に直接注入する方法により、肝斑の改善につながることが、2024年5月に美容皮膚科の医学誌で中国の研究グループにより報告された。

肝斑治療のための水光注射

トラネキサム酸やビタミンCをメソセラピーにより注入。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

トラネキサム酸やビタミンCをメソセラピーにより注入。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 肝斑の特徴→色素沈着によるシミで、日光やホルモン関連病、妊娠、遺伝などが原因。特に女性や肌が濃い人に多い。発症メカニズムは完全には解明されておらず、治療も困難。
  • メソセラピーの適用→トラネキサム酸とビタミンCの効果を高めるために、微細な針を使って皮下に直接注射。副作用を最小限に抑えつつ治療効果を増す。
  • 研究グループの再検証→メソセラピーにおけるトラネキサム酸とビタミンCの治療効果を比較。過去の研究に基づいて肝斑の面積や重症度(MASI)、医師の評価、治療満足度が確かめられた。

 肝斑は、肌に色素が沈着するシミの一種で、日光のほか、ホルモンに関連した病気、子宮や卵巣の病気、妊娠、遺伝などが発生に関係している。女性や肌が濃い人に多く見られる。肝斑の正確な発症メカニズムは明らかになっておらず治療も簡単ではない。

 肝斑の治療に使われている主な薬剤にはトラネキサム酸とビタミンCがある。トラネキサム酸(TXA)は、出血防止用の薬であり、メラニン形成を抑える効果がある。また、紫外線(UV)の光によるメラニンを作る細胞「メラノサイト」の活性化を防ぎ、肝斑の発生に関わるVEGF(血管内皮成長因子)の抑制による治療効果も認められている。

 ビタミンCは、強力な抗酸化作用を持ち、メラニンの生成を抑えて、コラーゲンの生成を促して、赤みを軽くするために使われる。

 一方で、トラネキサム酸とビタミンCの治療は効果が限られているため、メソセラピーによって効果を高め、副作用を避けるために用いられている。メソセラピーは、微細な針を用いて直接皮下の浅い層に薬剤を注射する方法。

 今回、 研究グループは、メソセラピーにおけるトラネキサム酸とビタミンCの効果を比較した過去の研究をまとめて再検証した。主に比べられたのは、肝斑面積および重症度(MASI)、医師の全体的な評価と治療を受けた本人の満足度。

トラネキサム酸とビタミンCいずれも有効で安全と報告

効果は同等。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

効果は同等。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • メソセラピーによる治療効果→トラネキサム酸とビタミンCのメソセラピーは、「MASI」スコアにおいて差がなく、医師の評価や患者満足度も同様に差がない。重大な副作用は報告されていない。
  • 肝斑治療の安全性と有効性→トラネキサム酸とビタミンCを用いたメソセラピーは肝斑治療において効果的かつ安全であることが示されている。

 ここから確認されたのは、メソセラピーによるトラネキサム酸とビタミンCの間に効果や安全性の差がないこと。「MASI」スコアの変化に差はなく、医師の全体的な評価や満足度にも差はなかった。重い副作用も報告されなかった。これにより、両治療法が肝斑治療に有効であり、安全であることが示されたとしている。

 トラネキサム酸やビタミンCを飲み薬として使用する方法や、皮膚に直接塗る方法も肝斑の改善に利用されている。それらの効果もこれまでに報告されている。有効性や安全性の面から、メソセラピー、水光注射、マイクロニードリングとの組み合わせに注目が集まる可能性もある。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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