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米国FDA”肥満薬”の違法販売に警告、問題の会社は「研究目的」と偽装、過熱する人気

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ポイント

  • FDAがセマグルチドやチルゼパチドを「研究目的」と称して販売する2社に警告書
  • 会社の主張に反して薬は実際にはダイエット目的として使われているとの見方
  • 欧米では肥満症治療薬の偽造品や偽物などが横行する事態に
米国食品医薬品局(FDA)が警告を出した。(写真/Adobe Stock)

米国食品医薬品局(FDA)が警告を出した。(写真/Adobe Stock)

 肥満薬が、糖尿病の治療ではなく、ダイエット目的で使われることが問題になっているが、欧米では偽造品や偽物などの違法販売が横行しているようだ。

 米国食品医薬品局(FDA)は2024年2月7日、2社に対して警告を出している。

「研究目的」と主張する会社に警告書

オンラインで薬販売。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

オンラインで薬販売。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 FDAが警告を出したのは、US Chem Labsという会社と、Synthetix Inc.という会社。それぞれセマグルチドという薬と、チルゼパチドという薬を、「研究目的」と称して販売していた。

※セマグルチドは、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬として知られる薬。また、チルゼパチドは、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド (GIP)/ グルカゴン様ペプチド1 (GLP-1)共受容体作動薬という薬。いずれの薬も糖尿病治療を目的として開発されたが、体重減少の効果から肥満症治療を目的としても開発されている。セマグルチドは、糖尿病治療を目的とする場合、注射薬は「オゼンピック」という商品名で、飲み薬は「リベルサス」という商品名。オゼンピックは肥満症治療を目的とする場合、注射薬は「ウゴービ」という商品名で呼ばれている。また、チルゼパチドは、糖尿病治療薬としては「マンジャロ」という商品名で、肥満症治療薬としては「Zepbound(ゼップバウンド)」という商品名となっている。

 FDAでは、警告の対象になった会社が偽っており、実際には人々は研究目的とされる薬をダイエット目的で購入していると見て、違法であると指摘している。

偽物や偽造品が横行する事態にも

偽物が横行する事態にも。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

偽物が横行する事態にも。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 肥満症治療薬をめぐっては、体重を減らす効果により大きく注目され、人気が過熱。チルゼパチドは、肥満症治療薬としてはまだ承認されていない段階から、ダイエット目的で買い求める人が出てきて品不足の事態になるほどだった。

 日本でも、「GLP-1ダイエット」として注目され、薬を使う人が増加。日本糖尿病学会をはじめとした団体は、もともと薬を必要としていた糖尿病の患者が使えなくなることから、ダイエット目的などで使われる状況に懸念を表明していた。

 海外の報道によると、薬の人気を受けて、偽造品や偽物も横行しているという。違法販売は日本国内でも問題になり得ることでもあり、注意するとよさそうだ。

参考文献

WARNING LETTER US Chem Labs MARCS-CMS 669074 — FEBRUARY 07, 2024(FDA)
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/us-chem-labs-669074-02072024

WARNING LETTER Synthetix Inc. DBA Helix Chemical Supply MARCS-CMS 668918 — FEBRUARY 07, 2024
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/synthetix-inc-dba-helix-chemical-supply-668918-02072024

FDA cracks down on online retailers selling unapproved GLP-1 agonists
https://www.pharmaceutical-technology.com/news/fda-cracks-down-on-online-retailers-selling-unapproved-glp-1-agonists/

止まらないGLP-1ダイエットブーム、厚生労働省が自治体に協力要請、糖尿病薬が不足
https://biyouhifuko.com/news/japan/5549/

美容や痩身の目的なら納品しないよう……足りないGLP-1受容体作動薬、厚生労働省が全国に事務連絡
https://biyouhifuko.com/news/japan/4574/

体重減少効果で注目の「GLP-1薬」、まれながら重い副作用の報告、米国医師会雑誌が注意呼びかけ
https://biyouhifuko.com/news/world/4374/

ダイエット目的の薬が不足、厚生労働省に糖尿病治療薬の要望書、関連団体が提出
https://biyouhifuko.com/news/japan/4213/

「肥満症治療薬は美容などに使う薬ではない」、日本肥満学会が声明
https://biyouhifuko.com/news/japan/4533/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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