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2026年末、ニュージーランドが化粧品のPFAS使用を禁止、マニキュアやファンデーションなどに影響も

カレンダー2024.2.28 フォルダー 海外

ポイント

  • ニュージーランドの環境保護局が2026年末までに化粧品へのPFAS使用を禁止
  • PFASは「フォーエバー・ケミカル」とも呼ばれ、耐久性や耐水性を化粧品に提供
  • 禁止措置は人体や環境へのリスク予防を目的とし、国際的な安全性再評価の動きを反映
化粧品に広く使われている「フォーエバー・ケミカル」。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

化粧品に広く使われている「フォーエバー・ケミカル」。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 2024年1月30日、ニュージーランドの環境保護機関、環境保護局(EPA、Environmental Protection Authority)は、2026年12月31日より化粧品におけるパーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)と呼ばれる化学物質の使用を禁止すると発表した。欧米で規制強化の動きが広がっており、日本にも影響しそうだ。

 PFASは簡単に分解されずに体内に蓄積するため「フォーエバー・ケミカル(永遠の化学品)」とも表現される。化粧品だけではなく、日用品に幅広く使われ、日本を含む世界に影響を与える可能性がありそうだ。

化粧品に使われてきた

2026年12月31日より化粧品におけるパーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)と呼ばれる化学物質の使用を禁止へ。(出典/ニュージーランド環境保護局)

2026年12月31日より、パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)と呼ばれる化学物質の化粧品への使用を禁止へ。(出典/ニュージーランド環境保護局)

  • PFASの特性→耐熱性が強く、水や油を弾く性質があり、工業製品や化粧品に広く使用。
  • 化粧品での利用→マニキュア、シェービングクリーム、ファンデーションなどに使用され、製品の質感向上や耐久性や耐水性を向上。
  • 環境と人体への懸念→自然界で分解されにくい性質を持ち、有害な影響の可能性があり、安全性の再評価が求められている。
  • ニュージーランド環境保護局の措置→PFASを含む化粧品への使用を禁止し、人体や環境へのリスク予防を目指す。
  • 今後の規制ルール→PFASを含む化粧品に関する規制ルール設定がしやすくなる見込み。

 PFASは、耐熱性が強く、水や油を弾く性質を持つために、さまざまな工業製品に使われてきた。化粧品においては、PFASを使うことで、製品が滑らかになったり、耐久性や耐水性が高まったりする性質が加えられる。マニキュア、シェービングクリーム、ファンデーション、口紅、マスカラなど、質感をよくしたり、長持ちさせるためなどに使われるという。

 一方で、PFASが環境や人体に蓄積することの心配も指摘されてきた。自然界で分解されづらい性質を持つので、有害な影響を及ぼす可能性があり、国際的な研究者たちがPFASの安全性について再評価するように求めていた。

 こうした背景の下、世界的にPFASに分類される化学品の製造や輸入を禁止する対策などが打たれてきたが、ニュージーランドの環境保護局も化粧品への使用を禁止するという一歩進んだ対策を決めた。

 この対策は人体や環境へのリスクを防ぐためとなる。ニュージーランドでは、消火活動に使われる泡へのPFASの使用の段階的に廃止など、今後も問題への対応策を計画している。

 環境保護局の有害物質再評価マネージャー、ショーン・プレソウ博士は、PFASの持続性、体内蓄積性、一部が高濃度で有毒性を持つ可能性を指摘。PFASを含む化粧品の規制ルールを作りやすくなるという。

使うことを禁止する厳しい規制

ニュージーランドは靱帯や環境などへの影響を重く見ている。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

ニュージーランドは靱帯や環境などへの影響を重く見ている。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • ニュージーランドの研究グループの反応→環境保護局によるPFAS禁止を「重要な一歩」として歓迎。
  • PFASの使用歴史→1930年代から数千の工業製品や消費材に使用され、ニュージーランドにおいて約100年後に禁止へ。
  • PFASの使用範囲→化粧品だけでなく、防水、撥水効果のある内装材などに使われることがある。
  • ニュージーランドの環境問題→同国ではPFASを製造していないが、水からPFAS検出、人体や環境への蓄積可能性を指摘。
  • 国際的な動き→ニュージーランドのPFAS規制は厳しい対策。欧米、日本でも規制は進んでおり、規制強化の方向。

 このような国の規制が決定されることに先立ち、ニュージーランド、オークランド大学の研究グループでは、環境保護局によるPFAS禁止を、フォーエバー・ケミカルの影響を減らす「重要な一歩」と表現し、歓迎の姿勢を示している。

 同研究グループによると、PFASは1930年代から数千の工業製品や消費剤に使われたという。およそ100年を経て禁止される方向になった。PFASは化粧品に限らず、食品包装、フッ素加工のナベ、防水や撥水の効果を持った内装などにも使われてきた。これらの製品を通じても環境に放出されている。ニュージーランドでは、PFASの製造をしていないにもかかわらず、水からPFASが検出され、人体や環境に蓄積されている可能性を示しているという。

 ニュージーランドのこの取り組みはPFASの厳しい規制だが、欧米や日本でもPFASを規制する動きは続いていた。日本を含め、規制が一層強化される可能性もある。規制が強化されるに伴って使われることは減る傾向にあると見られるものの、実態が明らかではないという指摘があるほか、今後も対策が不十分なメーカーによる製品には依然として含まれている心配もある。化粧品を使うときには、気を付けておいた方がよいかもしれない。

参考文献

EPA bans ‘forever chemicals’ in cosmetic products
https://www.epa.govt.nz/news-and-alerts/latest-news/epa-bans-forever-chemicals-in-cosmetic-products/

One small step towards banning ‘forever chemicals’
https://www.auckland.ac.nz/en/news/2023/03/28/One-small-step-towards-banning-forever-chemicals.html

PFASに関する国内外の動向2023年(ビューロー・ベリタス)
https://www.bureauveritas.jp/magazine/231205/007

化粧品の最新トレンド、外出機会が増えてポイントメイクとスキンケアが人気に、富士経済が発表
https://biyouhifuko.com/news/japan/3246/

ルッキズムの新たな視点? 米国で注目される美白化粧品の心配
https://biyouhifuko.com/news/world/2509/

美容医療の未来に?コスメ企業が医科大学と連携する新たなトレンド
https://biyouhifuko.com/news/japan/4151/

ニオイが老化を防ぐ?ニュージーランドの研究から初の発見
https://biyouhifuko.com/news/research/1113/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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