「洗顔に力を入れればニキビは早く治る」は大間違い!1日に何度も洗顔をしたり、肌に合わない洗顔料の使用を続けたりしていると、肌のバリア機能が低下し、ニキビを悪化させてしまう恐れがあります。自分に合う洗顔料を使用して正しい洗顔を行うことが、ニキビ改善の一つのポイントになります。
今回の記事では、ニキビの原因や悪化に繋がりやすい洗顔方法を紹介した後に、改善・予防のための正しい洗顔方法について解説します。
ニキビ悩みの改善には正しい洗顔の知識が必要不可欠
ニキビは、毛穴の入り口に皮脂や古い角質が詰まったり、毛穴の中でアクネ菌が増殖して炎症を起こすことで発症します。
ニキビの原因をできにくくするといった点においても、洗顔は皮膚の余分な皮脂や汚れを取り除き、肌を清潔に保つためにとても重要です。しかし、皮脂を必要以上に取り除くような洗顔方法を繰り返していると、肌のバリア機能の低下に繋がります。バリア機能が低下した肌は外部からの刺激の影響を受けやすく、トラブルの多い肌になりやすいといわれているのです。
毛穴パックや指で毛穴の詰まりを無理に取ろうとしたり、スクラブ入りの洗顔料などでゴシゴシ擦ったりすることも肌状態の悪化に繋がるため、避けた方がよいでしょう。
ニキビが悪化する恐れがある洗顔方法とは?
肌は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層に分かれていて、洗顔による影響を受けやすいのは表皮の一番外側にある「角質層」といわれています。
角質層は肌のバリア機能の役割を担い、主に外部からの刺激や異物の侵入から肌を守り、体の水分蒸発を防ぐ働きなどがあります。
角質層はわずか0.02ミリ(ラップ1枚分)ほどの厚さしかありません。
このため、角質層は誤った洗顔方法により非常に傷つきやすい部分です。また、角質層のバリア機能が低下することで、ニキビなどの肌トラブルが起こりやすくなるため、正しい洗顔方法を身につけることがニキビ予防・改善への近道ともいえるでしょう。
本章では、ニキビの原因や悪化に繋がりやすい洗顔について5つ解説します。
自分の今の洗顔方法に当てはまっている部分がないか確認してみてください。
1日に何度も肌を洗う
ニキビを早く治したいからといって1日に何度も過剰に肌を洗うと、肌が元々持っている天然の保湿成分など、必要な成分までをを失ってしまう恐れがあります。
日本皮膚科学会出しているガイドラインでは、1日2回洗顔料を使った洗顔が推奨されています。
ただし、極度の乾燥や赤み・かゆみなどの症状が出ている等、肌の状態によっては洗顔料を使用せずにぬるま湯洗顔を推奨される場合もあるので、皮膚科で今の肌状態を診てもらうと良いでしょう。
洗浄力の強い洗顔料の使用
「ニキビ用」とうたっている製品は、皮脂や汚れを落とすために洗浄力の強いオイリー肌向けものが多く、乾燥肌の人はかえって乾燥しやすくなる可能性が高いので注意が必要です。
また、ピーリングやスクラブ入りの洗顔料も摩擦刺激や肌負担が大きく、ニキビの悪化を引き起こすと同時に、角質を剥離する働きがあるため、使用方法によっては必要な角質まで剥がしてしまう恐れもあります。ニキビができている時は、使用を避けた方がよいでしょう。皮膚科のピーリング剤にも使用されている「サリチル酸」や「グリコール酸」などの成分は、毛穴の詰まりや黒ずみなどの改善効果が期待できますが、医師の判断の下、症状にあわせた適切な頻度で行うことが望ましいとされています。
熱いお湯で洗う
熱いお湯で顔を洗うと肌に必要な保湿成分まで洗い流してしまい、バリア機能の低下に繋がります。
また、温度は低すぎても、汚れの落ちが悪くなることがあるため、ぬるま湯で行うことが大切です。
「3、ニキビを改善・予防するための正しい洗顔方法」でぬるま湯の温度についても解説しますので参考にしてみてください。
ゴシゴシ顔をこすって洗う
スクラブ入りの洗顔料や少ない泡などでゴシゴシと肌を擦ると、摩擦により肌にダメージをが加わるため、バリア機能が低下してニキビができやすい状態になるので注意が必要です。
また、摩擦刺激により、すでにできているニキビの炎症が強くなり、症状が悪化する可能性もあります。
肌状態に関係なく、泡立てた洗顔料を顔に乗せて、顔と手が直接触れないように意識することが、摩擦による肌トラブルを防ぐために重要といえます。
すすぎ残し
洗顔後、十分に泡を洗い流せていないと、肌に皮脂や汚れが残っている状態になるため、雑菌が繁殖しやすくなり、ニキビをはじめとする肌トラブルの原因になります。
特に髪の生え際や顎、フェイスラインなどは、洗い残しが多い場所なので注意が必要です。
ニキビの発生や悪化を防ぐためにも、ぬるま湯で丁寧に洗い流し、鏡ですずぎ残しがないかチェックする習慣をつけるとよいでしょう。
ニキビを改善・予防するための正しい洗顔方法とは?
ニキビの改善・予防のためには、正しい洗顔方法を毎日積み重ねることが重要です。
朝の洗顔の主な目的
就寝中に分泌された汗や皮脂、肌に残ったスキンケアの油分などを取り除いて清潔な肌へ導く
夜の洗顔の主な目的
メイクの汚れや汗・皮脂などの日中の汚れを取り除く
※朝・晩ともに洗顔前に手を洗って汚れを落とし、手を清潔な状態にした上で洗顔を行います。
ぬるま湯で顔を素洗いする
洗顔料をつける前にまずはぬるま湯で顔を素洗いし、ほこりなどの汚れを落とします。
お湯の温度は、医師によって見解の違いが見られますが、32~36度前後の少し冷たい〜ぬるいと感じるくらいの温度が推奨されることが多いです。
自分の体温よりも高い温度のお湯で洗顔すると、バリア機能をサポートするセラミドや天然保湿因子などの、肌にとって必要な皮脂や潤い成分まで落としてしまう恐れがあるといわれています。
洗顔料を泡立てて、泡を肌に乗せて優しく洗う
洗顔料の泡立ちは、手を逆さにしても落ちてこないくらい弾力性の高い泡が理想的といわれることが多いです。泡立てが苦手な方は、泡立てネットなどを使用すると簡単に早く泡立てることができます。
また、1回の洗顔でし使用する洗顔料は多すぎても少なすぎても肌に負担がかかるので、規定量を守ることが大切です。
洗い方は泡を顔に乗せ、泡のクッションで手と顔が直接触れないような感覚で、圧をかけずに優しく洗います。
この際、手で肌を擦るのではなく、肌の上で泡をなでるように転がすだけでも汚れを落とすことができるといわれています。
洗顔時間は長すぎると必要な皮脂まで落としてしまう恐れがあるので、1分程度を目安にすすぐようにするとよいでしょう。
洗顔料をしっかりと洗い流す
洗顔後は、すすぎ残しのないよう、泡が完全になくなるまで丁寧に洗い流すことが重要です。
また、シャワーを直接顔に当てると、洗顔でやわらかく、デリケートになった肌には水圧の負担がかかってしまう恐れがあるので、手ですくったぬるま湯をかけ流すように洗うと良いでしょう。
清潔なタオルを肌に優しく押さえて水分を吸収させる
洗顔料を洗い流した後は、清潔な柔らかいタオルで肌を優しく押さえて水分を拭き取ります。この時も擦らないように注意が必要です。そっと肌に当てて水分を吸収させるだけで十分だといわれています。
また、水分を含んだタオルは雑菌が増えやすいため、こまめに替えることでと清潔さを保ちやすくなります。
洗顔後すぐに保湿を行う
洗顔が終わったら、すぐに保湿を行うことが乾燥を防ぐために重要です。
乾燥がすすむことで肌のバリア機能が低下する可能性もあるため、自分の肌状態に合わせた化粧水や美容液、乳液などのスキンケアで十分な保湿を行い、水分と油分のバランスを整えるとよいでしょう。
肌タイプ別!ニキビを予防する洗顔料とは
洗顔料には多くの種類があります。ニキビ肌には泡立ちがよく、肌への摩擦を抑えた洗顔料が推奨されています。
本章では代表的な洗顔料である「固形石けん」「クリームタイプ」「泡で出てくるタイプ」の3つをご紹介します。
人それぞれ肌にあうものは異なるので、可能であればサンプルなどで試し、赤みや刺激感などの肌トラブルが起こらないか確認してから購入するとよいでしょう。
自分に何が合うのか分からないという人は、皮膚科で医師に相談してみると肌状態にあったものを紹介してもらえるかもしれません。
固形石けん
使用感
天然の油脂と強アルカリで製造されたシンプルな原材料でできているものが多いです。
洗浄力が高く脱脂力に優れているためさっぱりとした使用感のものが多く、人によっては乾燥を感じる場合もあります。しかし、基本的に合成界面活性剤入りの製品が少なく、肌への刺激や負担になりにくいといわれています。
洗顔による乾燥が気になる人は、保湿成分が配合されている石けんを選ぶとよいでしょう。
泡立ち
手で泡立てるのにはコツがいるので、濃密な泡を作るには泡立てネットを使用するとよいでしょう。泡だてネットを使用することで、ふわふわで濃密な泡を簡単に作りやすいといわれています。
保管方法
水に濡れると石けんが柔らかくなったり溶けやすくなるので、水に濡れない場所に保管する必要があります。
クリームタイプ(洗顔フォーム)
使用感
洗浄力と保湿力の両方を兼ね備えている物が多いです。
おもに合成界面活性剤で作られいるものが多く、洗浄力が強い製品もあるので、敏感肌の人は刺激を感じる場合もあります。
洗浄力は製品によって差が大きいため、スクラプやピーリング成分入りのものは避け、穏やかな洗浄成分のものを選ぶと安心です。
泡立ち
泡立てやすく、泡立てネットがなくても濃密な泡を作りやすいです。
保管方法
チューブに入っていることが多く、衛生面に優れていて場所問わず保管しやすいです。
泡で出てくるタイプ
使用感
ポンプを押すと泡が出てくるので、忙しい時でも簡単に摩擦を防ぎながら短時間で洗顔できるという特徴があります。
泡タイプの洗顔料には、発砲剤が配合されているものや洗浄力が強い製品もあるので、敏感肌の人は刺激を感じることも。万が一ヒリつきなどの刺激を感じた場合は、すぐに使用を中止した方がよいでしょう。
泡立ち
泡立てるのが苦手な人や忙しい人も使用しやすい洗顔料です。
保管方法
衛生面に優れていて、場所問わず保管できます。
「ノンコメドジェニックテスト済み」の洗顔料を推奨している皮膚科もある
ニキビができやすい人には「ノンコメドジェニックテスト済み」の化粧品を推奨している皮膚科もあります。
毛穴に皮脂や古い角質などが詰まり、コメド(または白ニキビ)とよばれる毛穴の小さな膨らみがニキビの初期段階といわれています。
この「毛穴詰まりの原因」になりにくいと同時に、ニキビの原因菌とされる「アクネ菌」が増殖する成分を含まない製品が「ノンコメドジェニック」に該当します。また、ノンコメドジェニックテストという「ニキビができにくい製品か」といった一定のテストをクリアしていて、ニキビのもとになりにくいことが証明されている化粧品でもあります。
ただし、ニキビを改善する効果はなく、すべての人にニキビができないわけではありません。
様々なメーカーからノンコメドジェニック製品が発売されているので、その中でアルコールなどの刺激が強い成分入りのものは避け、気になる製品はまずサンプルなどで自分の肌に合うものかを試してみるのもよいでしょう。
正しい洗顔方法を身につけてニキビにさよなら!
毎日の洗顔は、皮膚の余分な皮脂や汚れを取り除き、肌を清潔に保つためにとても重要です。しかし、間違った洗顔によって肌のバリア機能が低下してニキビが悪化する可能性があります。ニキビを悪化させないためには、自分に合う洗顔料を使用して、正しい洗顔を行うことが重要です。
肌の状態によっては推奨される洗顔方法が異なることもありますので、皮膚科で今の自分の肌の状態を診てもらうとよいでしょう。