たるみ治療に有効といわれているサーマクール。でも、「サーマクールを受けたら、老けて見えるようになった」「老け見えの一因である」とを聞いた・目にしたことはありませんか?
「たるみ」を改善したいのに、老けてしまうというのでは、本末転倒です。サーマクールを受けることで、かえって老けてしまうというのは本当でしょうか?
今回は「サーマクールで逆に老けた」と感じる原因やどんな人に向いている治療法なのか紹介します。
2021.08.28
サーマクールで「老けた」と感じる原因は?
たるみを改善して、若々しくハリのある肌へと導くはずのサーマクールで、逆に「老けてしまう」という声があるのは何故なのでしょう。考えられる原因を解説する前に、まず「サーマクールでできること」について説明いたします。
サーマクールでできること
サーマクールは、モノポーラ(単極)のRF機器で、RFが皮膚の深い部分(真皮〜皮下の線維隔壁)に届いて強力に加熱することで、たるみの原因となっている脂肪のボリュームダウンや引き締め、リフトアップ効果などが期待できます。サーマクールで特徴的なのはバルクヒーティングと呼ばれる加熱方法で、3cm✕3cm、または4cm✕4cm四方のチップから照射されるRFが皮下2.5~3mmの組織を「縦×横×奥行」の3方向から加熱し、立体的にギュッと収縮させます。
焼いたお肉が一回り縮まるかのようなこの作用による高い引き締め効果がサーマクールが切らないたるみ治療の代名詞とまで言われる所以となっています。
サーマクールで「老け見え」の原因とは?
ネット上の口コミなどでは、サーマクールを受けたことで「頬がこけた」「シワが増えた」といった体験談が散見されます。照射した箇所のボリュームが減りすぎることが、老け見えの一因となるようですが、なぜこのような事が起こるのでしょうか?
考えられる可能性
サーマクールで、老けて見えるほどに顔のボリュームが減ってしまうのには、次のような原因が考えられます。
医師の技術不足
サーマクールは、強力な加熱でコラーゲンや脂肪を収縮させることによって、高い引き締め力があるとされています。たるみの状態や真皮・脂肪の厚さは人によって違うため、最適な照射パワーやパス数は一人ひとり異なることから、サーマクールは照射前のデザインが仕上がりの良し悪しを分ける大事な工程だと言われています。頬がこけた、シワが出て老けて見える、といった場合、本来であればボリュームを減らす必要のなかった部分に照射されたということが考えられます。サーマクールで最大の効果を得るには、顔面の解剖や構造に詳しく、患者一人ひとりに合わせて施術後の仕上がりを立体的にデザインできる医師を選ぶことも重要なポイントの一つです。
サーマクールでの治療が向いていなかった
サーマクールは、理想の輪郭ラインからはみ出す部分のボリュームを減らすことで、たるみを改善に導きます。例えるならば、凹凸の凸の部分を減らすイメージです。そもそも膨らみがない、脂肪が少ない、という場合には、サーマクールによる治療が向いていないタイプのたるみです。サーマクール自体はとても高額な治療法です。向いてないのにわざわざ受けて、更に老けてしまったとなっては元も子もありません。自分の顔がサーマクールに適応しているかどうかが心配な場合は、カウンセリングの際に医師にきちんと質問することをおすすめします。
前回の治療との間隔が短すぎた
サーマクールの施術を受けると、数か月に亘って、古いコラーゲンと新しいコラーゲンの置き換わりが進み、肌がどんどん引き締まるとされています。その後、時間が経つにつれて徐々にまた老化の度合いが進むため、半年〜1年程度で再治療をすることが推奨されています。しかし、治療の間隔があまりに短いと、まだ前回のサーマクールの効果がピークに達する前に、さらに引き締めてしまうことになり、顔から必要なボリュームがなくなり、老けて見えるようになってしまうことがあります。何事もやりすぎが一番良くないため、きちんと時間をあけてから再治療を行うことをおすすめします。
パワーが強すぎた/パスを重ねすぎた
サーマクールにおいて、照射の強さ=パワーと引き締め効果は、ある程度比例するといわれています。もしくは弱いパワーでも同じ箇所に複数回パス(照射)を重ねることで熱が溜まり引き締め効果が高くなるといわれています。そして、パワーは施術時の痛みとも比例します。
痛みを全く感じない場合は引き締め効果が低く、ある程度の痛み・熱感を感じる場合には、十分な効果を期待できるだけのパワーになっていると考えられます。しかし、施術時に麻酔を使用すると、痛みや熱の感じ方が鈍くなり、過剰なパワーで照射してしまうリスクがあります。またパスを重ねすぎることでも同様に過剰な熱エネルギーを与えてしまい引き締めすぎになる可能性があります。そのため、サーマクールのメーカーは施術中の麻酔を推奨していません。
サーマクール向いているひと・向いていない人
実はサーマクールは、どんなたるみにも万能の治療法というわけではありません。若々しくなれると思ったのに、こんなはずじゃなかった…なんてことにならないように、サーマクールが向かないのはどんな人なのか、逆にどんな人に向いている治療法なのか、知っておきましょう。
向いていない人
顔に脂肪が少ない
そもそも顔に脂肪が少ない人は、顔のボリュームが減り過ぎると、頬がこけたり、頬骨が目立ったりして、老けて見えがちです。サーマクールよりも、フィラーやコラーゲンブースターといった治療法が適しているといえるでしょう。
シワや小ジワが多い
真皮のボリュームが不足して、肌がしぼんだ風船のようになっている状態です。コラーゲンブースターやPRPの注入といった、真皮を膨らませる治療法が良いでしょう。
たるみが進行しすぎている
サーマクールはあくまでも「引き締める」治療法なので、残念ながら重度のたるみに対する効果は、大きくありません。進行したたるみには、スレッドリフトやフェイスリフト手術といった、たるみを物理的に引き上げる治療法が良いでしょう。
- サーマクールで効果が出やすい人
- 脂肪に厚みがある人
- 下顔面のたるみが気になる人(フェイスライン)
- 口周りのゆるみが気になる人(ほうれい線やマリオネットライン)
- 二重あごが気になる人
サーマクールに期待できる効果は「引き締め」であることから、頬やフェイスラインに厚めの脂肪がついている人に適した治療法だといえます。脂肪の重みでたるんでいるようなほうれい線やマリオネットライン、二重あごなどには、特に高い引き締め効果が期待できます。術後数か月間のコラーゲン再構築の過程で、ハリが生まれ、リフトアップしていくといわれています。
サーマクールで後悔しないために知っておきたいこと
サーマクールのメカニズム
サーマクールは、RF(高周波)を皮膚に照射することで肌の奥深く(真皮層~皮下の線維隔壁まで)を加熱して、たるみを引き締めるとされています。顔のたるみ以外に、ボディの引き締めやまぶたのたるみ用のチップもあり、さまざまな症状に合わせた施術が受けられます。サーマクール最大の特徴は、コラーゲンなどの組織を「縦×横×奥行」の3方向から加熱ができるという点です。
加熱によって真皮のコラーゲンや脂肪が収縮するため、焼いたお肉が縮むのと同じような引き締め効果が、施術直後から得られるとされています。更に、加熱で傷ついたコラーゲンを修復しようとする自己治癒力で、術後数カ月にわたって新しいコラーゲンが増生されるため、長期的な肌のハリや弾力の向上という効果も期待できるのです。術後2~3か月が、特に引き締め効果を実感できる時期とされています。冷却ガスを吹き付けながらRFを照射するので、皮膚表面にダメージを与えることはないとされています。
サーマクールの認定医制度
大切な肌に強力な熱を加えるサーマクールは、使用法を誤れば、場合によっては火傷や陥凹などの重大な副作用を引き起こすこともあります。サーマクール製造元のソルタメディカル社は、医師のみを対象としたトレーニングプログラムと、トレーニングを修了した医師へのサーマクール認定医制度を設けています。サーマクールの仕組みを正しく理解している認定医による施術を受けることは、治療への安心感に繋がります。一方で、看護師が施術をすることで、低く抑えた料金設定をしているクリニックも存在します。施術者については、カウンセリング時に確認することをおすすめします。
効果を出すために考え抜かれた照射方法
サーマクールの施術時には、「マルチプルパス」という照射方式が推奨されています。これは、照射時の痛み軽減と、引き締め効果向上のため、メーカーによって長年の研究によって見出された方法です。
「1照射=1パス」として、
1パス目 顔全体に照射
2パス目 縦横方向のたるみ引き締め・引き上げ効果を計算して、上に引き上げるようにデザインしたラインに沿って照射
3パス目 特にボリュームダウンさせたいところに重点的に照射
というように、一回の照射パワーを低くして、複数回重ねて照射します。2パス目・3パス目の効果で、顔を3次元的に、メリハリを効かせたタイトニングへと導きます。複数回の照射による蓄熱効果から、コラーゲンの熱変性率が高くなる、すなわち引き締め効果が高くなることがわかっています。
痛みについて
「サーマクールは痛い」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。確かに、登場当初のサーマクールは、しっかり引き締めようとパワーを上げると、かなりの痛みを伴う施術でした。欠点ともいえる痛みの軽減のために、登場から約20年の間で、サーマクールにはさまざまな改良が施されました。
現在の最新機種「サーマクールFLX」には、
- 「痛みより振動のほうが、脳に伝わりやすい」というゲートコントロール理論に基づき、チップが多方向に振動する
- RF照射前、照射中、照射後と断続的に皮膚表面をクーリングする
といった機能が搭載されており、これらによって、神経に伝わる痛みの刺激を緩和しています。また、前述のマルチプルパス照射法も、痛みの緩和に大きく貢献しています。現在ではサーマクールの痛みはかなり緩和され、「痛い治療」ではなくなったといわれています。
サーマクールFLXの治療が受けられる東京都内の美容クリニック一覧
ダウンタイム・副作用について
サーマクールは、強力な冷却機能で皮膚表面を熱から守るため、目に見えるダウンタイムはあまりないといわれています。施術直後のメイクや、施術当日の洗顔・入浴も可能としているクリニックが殆どのようです。皮膚深部には熱が加わるので、まれに赤みやほてりが残ることがありますが、数時間程度で治まるといわれています。長引くようであれば、治療を受けたクリニックに相談しましょう。術後は、加熱によって一時的に肌の水分が奪われて、乾燥しやすい状態になっています。丁寧な保湿が大切です。照射が強すぎた場合には、火傷や腫れといった副作用が現れることがあります。照射時に激しい痛みがあった、痛みがなかなか治まらない、という場合には、注意が必要です。
料金の目安
サーマクールの施術料金は、チップの大きさとショット数によって設定されている場合が多いようです。目安は次のとおりです。
サーマクールCPT |
|
3.0㎠チップ 400shot |
150,000~250,000円 |
3.0㎠チップ 600shot |
180,000~380,000円 |
3.0㎠チップ 800shot |
210,000~450,000円 |
目元1回(225shot) |
105,000~150,000円 |
ボディ1部位1回 |
200,000~300,000円 |
サーマクールFLX |
|
4.0㎠チップ 300 shot |
200,000~320,000円 |
4.0㎠チップ 600 shot |
320,000~420,000円 |
4.0㎠チップ 900 shot |
470,000~530,000円 |
目元1回 |
150,000~250,000円 |
ボディ1部位1回 |
200,000~300,000円 |
高周波(RF)の治療が受けられる東京都内の美容クリニック一覧
サーマクールを受ければ老けないの?
1回サーマクールを受けたからといって、その後、一生たるまないというわけではありません。サーマクールは、たるむこと自体を止める治療ではなく、時計の針を巻き戻すように、たるんだ肌を数年前の肌へと巻き戻すイメージの治療です。
時を止めることはできないため、残念ながら、またそこから身体は老化していきます。そのため、1年に1回ほどのペースでサーマクールを継続することが、たるみの進行を遅らせるのに有効だと考えられています。サーマクールによるたるみケアに、他の美容治療を併用することで、ワンステップ上の「老け見え解消」が期待できるかもしれません。
老け見え解消に適した併用治療
光治療、レーザートーニングなど
色むらやシミといった、肌の色調に関するトラブルを改善する治療法を併用すると、肌が明るくなることで透明感が高まり、フレッシュな印象に見えると期待できます。
幅広い波長を持つ光の作用で、シミ・くすみ・赤みを改善するとされる光治療や、レーザーでメラニン色素を破壊してシミやくすみ、肝斑をケアするレーザートーニングなどです。
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レーザートーニングの治療が受けられる東京都内の美容クリニック一覧
肌質改善
クレーターのようになったニキビ痕や、たるみ毛穴といった肌の凹凸も、年齢を感じさせて老け見えの一因となります。極細針の刺激でコラーゲンの増生を促し、肌をなめらかに整えるダーマペンや、高濃度の美容成分で肌細胞を修復し、肌の弾力や潤いを改善するフィロルガ水光注射などで、肌質のケアをしましょう。
フィラー
加齢によって、こめかみや額、頬骨辺りといった上顔面に、凹みやボリュームロスといった骨格の変化が起こることがあります。その影響で、皮膚や脂肪が下垂することも、たるみの一因となります。このような場合には、減ってしまったボリュームをヒアルロン酸等のフィラーで補うと、下垂した皮膚や脂肪を内側から持ち上げて、たるみの症状を改善すると期待できます。骨格に変化が出る前でも、早めにボリュームの補充をしておくことで、たるみを予防する効果が得られるとされています。
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まとめ
サーマクールはたるみ改善に有効とされていますが、場合によっては、顔をゲッソリと老け見えさせてしまうこともあります。たるみ治療の方法は多岐にわたり、どの治療法が適しているかは、顔の脂肪の付き方や、もともとの骨格、たるみのタイプなどによって、一人一人違います。患者の状態に合った治療法を総合的に判断してくれる、経験の豊富な医師による診察・カウンセリングを受けましょう。