キレイになりたい思って受ける美容医療の施術ですが、真夏に施術を受けるつもりなら、少し注意が必要です。
あまり知られていないかもしれませんが、夏に受けるのは避けた方がいい美容施術があるのはご存じでしょうか?
夏の紫外線の肌への影響
夏には避けた方がいい施術があるというのは、なぜでしょう?
一言でいうならば、「夏は紫外線が強すぎるから」です。紫外線が強いということが、美容施術にどのように影響するのか説明していきたいと思います。
表皮のメラニン量が増加
体が紫外線を浴びると、基底層にあるメラニンの製造工場・メラノサイトが刺激されて、肌を守るために黒色メラニンを産生します。増えたメラニンがわかりやすく目に見えるのが、いわゆる「日焼け」による肌の色が黒くなるという現象です。
帽子や日傘、サングラスといった日除けや日焼け止めなどで、紫外線対策は万全!と思っていても、思わぬところに落とし穴があることも。
例えば以下のようなシチュエーションに心当たりはないでしょうか?
- 起床してすぐカーテンを開けたときや、洗濯物を干す間などにうっかり紫外線を浴びる
- 日焼け止めの塗りムラや、塗り残しがある
- 日焼け止めを日中に塗り直せていない
- メイクに影響が出るのが嫌だから、日焼け止めはかなり少量を薄く伸ばして使っている
- サングラスまではかけていない
日常生活のちょっとした動作や行動により浴びた紫外線が、夏の間に徐々に蓄積されることで、メラノサイトの活性化に繋がります。
また、日焼け止めもSPFやPA値が高いからと言って安心してはいけません。これらの数値は日焼け止めをかなり分厚く塗っていることを前提とした紫外線防御の値です。薄くしか塗っていなかったり、汗や皮脂などのせいでムラになったりすることを考えると、かなり頻繁な塗り直しが必要だと言われています。さらに、日傘や防止などで肌を守っても、目にも紫外線対策を行わないと、メラノサイトを活性化させてしまうとされています。夏はこのような状況が多発するため、色が黒くなっていないと思っても、肌内部ではメラニンが増産されていて、「見えない日焼け」になっていることもあります。
そして、この「いつもより多いメラニン」が、美容施術を受けた際にトラブルを引き起こすことがあるのです。
施術後の肌への影響
美容施術後の肌は、一時的にバリア機能が低下してデリケートな状態になります。そのような肌には、どんな季節でも紫外線対策が大切です。
しかし、1.1で述べたように、夏の紫外線を完全にシャットアウトするのは難しいことです。
ちょっとしたうっかりで紫外線を浴びてしまうことが、施術後の肌にトラブルを招くリスクがあるとも言えます。
夏は避けた方がいい施術
では、夏は避けた方がいい施術を具体的に見ていきます。
レーザーや光などによる美白系治療
(シミ・ほくろ取り、レーザートーニング、光治療 等)
レーザーや光治療は、メラニンに吸収されやすい波長の光を肌に照射し、その光のエネルギーでメラニンを熱破壊することで、シミやくすみを改善へ導く治療法です。
前述したように、夏の肌は他の季節よりもメラニンが増えていることが多いもの。
例えば、すでに何度か受けている光治療の場合でも、いつもと同じパワーで照射をしたのにもかかわらず、メラノサイトが活性化していることで増加したメラニンと光が強く反応して、火傷になってしまうリスクが高くなるのです。この火傷による炎症が原因で、色素沈着や色素脱失(肌の色が白く抜ける。白斑)といったトラブルにつながることもあります。色素沈着なら時間をおけば治ることが多いですが、一度色素が抜けてしまうと戻らないこともあるので、注意が必要です。
また、特にシミ取りレーザー後のダウンタイム中(出血〜かさぶたの状態の時)に強い紫外線を浴びてしまうと、傷の治りが遅くなったり、炎症が強く出たりすることで、炎症後色素沈着(戻りジミ)になるリスクも高くなります。
フラクショナルレーザー
レーザーで皮膚表面に細かい穴を開けるフラクショナルレーザーは、強い炎症を伴う比較的ダウンタイムが長めの施術です。
ダウンタイム中は炎症が起きている状態となるので、大量の紫外線を浴びるのは厳禁とされています。前述したレーザーのときと同じように炎症後色素沈着のリスクが高くなります。
しかも、治療当日は日焼け止めが塗れませんし、ダウンタイム中は、細かいかさぶたが顔中にできているため、日焼け止めの塗りムラが起こりやすく、アフターケアが難しいといった点も夏に避けたほうがいい理由の一つとなります。
同様に皮膚表面に穴をあける治療として、ダーマペンやマイクロニードルRFがあります。これらのニードル系治療は、レーザーを使用しないため肌の色に関係なく夏でも受けられると言われています。しかし、ニキビ跡治療などでおこなわれる、針の長さを深くしたアグレッシブな治療は、術後の炎症が強くなるため、紫外線が少し落ち着いた時期に受けたほうがいいかもしれません。
レーザー脱毛
レーザー脱毛は、メラニンに吸収されやすい波長のレーザーや光を照射することで、毛を生やす細胞である毛乳頭を破壊する施術です。
表皮にメラニンが増えていると、レーザーエネルギーが毛のメラニンだけでなく、表皮のメラニンにも吸収されてしまうため、肝心の毛に対してパワー不足となり、脱毛効果が低くなってしまうといわれています。
だからといってレーザーのパワーを上げると、表皮のメラニンに強く反応しすぎて、シミ治療と同様に火傷や色素脱失といったトラブルになる恐れがあります。
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、肌表面に溜まった古い角質を酸性の薬剤で溶かすことで、肌をなめらかに整える施術です。
しかし、角質には皮膚を外部刺激から保護する役割もあるため、ピーリング後の肌はバリア機能が低下し、紫外線の影響を受けやすくなった状態です。
そこに紫外線を浴びてしまうと、皮膚の奥まで紫外線が到達しやすくなっているため、メラノサイトが活性化してシミの原因になったり、更に深い部分にあるコラーゲンやエラスチンにダメージを与えて、しわやたるみの原因となったりすることも。ピーリングを受ける場合は、紫外線対策は普段以上にきっちり行う必要があります。
夏でも受けやすい美容医療
では夏の間は美容医療を受けず、じっと秋を待つしかないのかというと、決してそんなことはありません。
夏は、肌への刺激を伴う「攻める治療」は控えめにして、肌状態を悪化させないための「守りの治療」に重点を置くことをお勧めします。
肌や体に栄養を補給して、夏の厳しい紫外線による肌ダメージを蓄積させないようにしましょう。
点滴
美容に効果的な成分を血管に直接注入する点滴は、有効成分を体内に直接取り込めるため、即効性・持続性が高いとされています。
夏の「守りのケア」には、強い抗酸化作用で紫外線による肌ダメージを軽減する高濃度ビタミンCや、新陳代謝を促進させることで美肌へと導いてくれるとされるプラセンタを取り入れてみてはいかがでしょうか。
詳しくはこちら
2020.02.12
イオン導入
肌に微弱な電流を流すことで、美容有効成分を効率的に肌の奥まで浸透させます。
美白が目的であればビタミンCやトラネキサム酸、肌のハリ感アップにはプラセンタ、開いた毛穴にはグリシルグリシン、のように目的別に導入する成分をチョイスできます。
内服薬
肝斑に効果があるとされている「ビタミンC」「トラネキサム酸」や、メラニン色素を作るチロシナーゼのはたらきを抑える「L-システイン」などを、毎日服用することで紫外線に負けない肌づくりを内側からサポートしてくれます。
詳しくはこちら
これらの「守りの治療」で肌状態を整えておけば、何も対策せずに夏を過ごすよりも、紫外線が弱まっていざ「攻めの治療」を始められるようになったときの治療効果が高くなると考えられます。
まとめ
紫外線の強い夏は、痛みや炎症を伴う激しい治療は控えめにして、肌状態を整える「守りの治療」に注力しましょう。
夏の間に肌を健康に保っていられたかどうかが、秋以降の肌状態を左右するともいえます。
肌や体に良い成分をチャージできる施術を、夏のスペシャルケアとして取り入れてみてはいかがでしょうか。