クリニックで受けるシワの治療法として比較的手軽なのは、注射でシワを消す「注入療法」だと言われています。中でもよく知られているのが、ヒアルロン酸注射とボツリヌス注射。「シワを改善する」という目的が同じことから混同されがちなこの2つの注入療法ですが、シワに作用する仕組みや得られる効果には大きな違いがあります。
シワの種類によって使い分けたり、時には併用したりして、一人ひとりの症状に合わせたシワ治療を行ってるクリニックが多いようですが、この2つにはどんな違いがあるのでしょうか?

クリニックで受けるシワの治療法として比較的手軽なのは、注射でシワを消す「注入療法」だと言われています。

中でもよく知られているのが、ヒアルロン酸注射とボツリヌス注射

ボツリヌス注射は、「ボトックス注射」の方が一般的に知られている名称となりますが、「ボトックス」とはA型ボツリヌストキシン製剤の商品名のことで、アラガン社が商標を持っています。ボトックスを含むA型ボツリヌストキシン製剤を使用した治療のことを「ボツリヌス注射」といいます。

さて、「シワを改善する」という目的が同じことから混同されがちなこの2つの注入療法ですが、シワに作用する仕組みや得られる効果には大きな違いがあります。

シワの種類によって使い分けたり、時には併用したりして、一人ひとりの症状に合わせたシワ治療を行ってるクリニックが多いようですが、この2つにはどんな違いがあるのでしょうか?

作用の違い

作用の違い

ヒアルロン酸はフィラー(皮膚充填剤)と呼ばれるものの一種。

粘性を持ったジェル状のヒアルロン酸をシワや凹みの部分に注入することで肌を内側から持ち上げシワを目立たなくしたり、たるみを改善するといった効果が期待できます。

一方、ボツリヌス注射はA型ボツリヌストキシンを主成分とした薬剤です。脳の指令を筋肉に伝える神経伝達物質の働きをブロックする作用があります。この作用で表情筋が過剰に動くのを抑えて、シワが寄らないようにするのが、ボツリヌス注射です。

効果の違い

効果の違い

ヒアルロン酸

ヒアルロン酸をシワの直下に注入すると、その部分の皮膚が持ち上がって溝が埋まったようになり、シワが目立たなくなります

また、加齢による骨の萎縮や脂肪・コラーゲンの減少でボリュームを失ってたるんでしまった部分に少量ずつ注入すると、たるみが原因のシワを改善できる効果や顔全体のリフトアップといった効果も期待できます。

シワやたるみの改善以外にも、おでこや鼻、涙袋、唇などのパーツを形成するという治療にも使われることもあります。

注入してすぐに効果がわかる即効性が魅力のひとつです。

ボツリヌス注射

ボツリヌス製剤を顔の表情筋に注射すると、表情を動かしても筋肉が動かなくなるため、シワが寄らなくなるといった効果が期待できます。

また、表情ジワが「寄る→戻る」を繰り返していると、コラーゲンなどの繊維が断裂し、表情を戻してもシワが残ったままになり、更に加齢ともに深く刻まれるという状態になってしまうのですが、ボツリヌス注射で表情ジワの発生を抑えておくと、シワ定着の予防にもなります。

注射の効果は2,3日後から徐々に現れて、2週間ほどで安定するといわれています。

ボツリヌス製剤の神経伝達物質の働きを抑える作用を利用して、汗を抑える多汗症治療や、発達し過ぎた筋肉を小さくする部分痩せにも使われています。

ヒアルロン酸とボツリヌス注射―治療できるシワの種類

ヒアルロン酸とボツリヌス注射―治療できるシワの種類

作用と効果の違いから、治療できるシワの種類にも違いがあります。

シワの種類

ヒアルロン酸

ボツリヌス製剤

たるみジワ

ほうれい線

×

マリオネットライン

×

ゴルゴライン

×

表情ジワ

おでこ

眉間

目尻

深く刻まれた表情ジワ

上記の表からもわかるように、たるみが原因のシワにはヒアルロン酸、表情ジワにはボトックスです。

表情ジワが深く刻まれてしまい、表情を戻しても完全には消えなくなってしまったら、表情筋へのボツリヌス注射だけでは不十分なため、シワの真下へのヒアルロン酸注射を併用することで改善が期待できます。

また、通常は筋肉に注射するボトックスを、皮膚の浅い層にごく微量ずつ、広範囲に注射する「ボツリヌスリフト(マイクロボトックス)」という療法もあります。この手法の場合、筋肉の表面線維だけに作用するので、自然な表情を保ちながらシワを改善し、たるみをリフトアップさせる効果があるとされます。

ヒアルロン酸も粘性の低い非架橋の製剤を、水光注射などを用いて顔全体に広く浅く注射することで、ちりめんジワやハリなどの改善を目的とした治療法と、粘性の高いヒアルロン酸を気になる部分に注入することで、加齢によって減ってしまったボリュームを足し、凹んだ部分を埋めて、シワやたるみの改善を目指す治療法があります。

ヒアルロン酸・ボツリヌス注射のデメリットとは

ヒアルロン酸・ボツリヌス注射のデメリットとは

効果が持続しない

ヒアルロン酸は徐々に体に吸収され、ボトックスの効果は時間とともに弱くなっていきます。そのため効果を持続させたければ定期的に継続して治療を受けることが必要だと言われており、ヒアルロン酸だと半年~2年ボツリヌス注射だと4~6ヵ月に一度、というのが目安です(製剤の種類による)。どちらも、注射を繰り返すことで、徐々に持続期間が長くなるとも言われています。

アレルギー反応が出ることもある

ヒアルロン酸はもともと人間の体内に存在する成分で、アレルギーの心配はほとんどないとされています。しかし、安いヒアルロン酸製剤の中には品質が粗悪なものもあり、そのような製剤ではアレルギー症状を誘発する成分が含まれていることもあります。施術を受ける際には、値段が安すぎる場合には製剤名を確認するなどの注意が必要です。

ボツリヌス注射の効果がでなくなることがある

ボツリヌス注射を継続していると、体の免疫がボツリヌス毒素表面にある複合タンパク質の構造をコピーして「中和抗体」という物質を作ることがあります。中和抗体はボツリヌス毒素を分解してしまうため、筋肉の動きを抑えるというの効果が出なくなると言われています。

体内で中和抗体が作られないようにするには、できるだけ注射の間隔を空ける(4ヵ月以上)、一度に沢山の薬剤を注射しないことが大事だと言われています。また、複合タンパク質を取り除いた製剤(ゼオミンやコアトックス等)を選ぶというのもひとつの方法です。

修正にリスクが伴う

施術後の仕上がりに不満があるという場合、ヒアルロン酸であれば、分解酵素であるヒアルロニダーゼを用いて注入したヒアルロン酸を溶かして徐々に排出、注入前の状態に戻すことができるとされています。しかし、この分解酵素は注入したヒアルロン酸だけでなく、もともと体内に存在するヒアルロン酸にも作用してしまうため、入れる量や場所を間違えると、修正のはずが注入前よりも状態が悪くなるというリスクがあります。

ボツリヌス注射に関しては、注入場所や量が適切でなく無表情になるなど仕上がりに満足できなかった場合、アセチルコリン塩化物という「ボトックス修正注射」と呼ばれる薬剤を注入することで、ボツリヌス注射の効果を和らげる効果が期待できます。
ただし基本的にボツリヌス注射の効果のピークは施術後2週間で徐々に薬の作用は薄れてくるため、我慢ができるのであれば時間をおくことで元の状態に戻ります。3〜4ヶ月間も不自然な表情のまま過ごしたくないという場合には、このアセチルコリン塩化物による処置が有効だとされています。
こちらも医師の技術次第では効果が得られないということもあるので、信頼できる医師のもとで修正を行うことをおすすめします。なお、この「ボトックス修正注射」ですが、持続期間が短く3〜4日程度となっているため、効果を持続させるには複数回の施術が必要となると言われています。
費用は2万円程度となっているため、元の施術にかかった費用よりも修正にお金がかかる事になりかねませんので、施術を受ける際はクリニックの見極めが重要です。

ヒアルロン酸・ボツリヌス注射で起こりがちな「失敗」

ヒアルロン酸・ボツリヌス注射で起こりがちな「失敗」

きれいになるための注入療法ですが、思わぬ失敗が起こることもあります。ここでは、各製剤で起こりがちな失敗例について説明していきます。

ヒアルロン酸

  • 「ヒアルロン酸太り」
    「もっともっと」と注入量に歯止めが利かなくなって不自然にパーンとした顔になったり、シワの「線」を消そうと全体にメリハリなく注入することで顔がのっぺりと見えるようになったりすることで、顔が以前より大きく見える=ヒアルロンのせいで顔が太って見えるという状態のことです。特にヒアルロン酸注入の回数を重ねることで、注入自体に慣れてしまったり、注入量がだんだん増えてしまったりすることで起こりやすい現象です。防ぐためには、直後の写真を毎回撮り、過剰になりすぎていないかチェックする、また、他人からはどう見えるかという客観的な視点を持つこと、ただシワの線を消すことにこだわらず、必要な部分に必要なボリュームを立体的に補って顔全体を若々しく華やかに見せることが大切です。
  • 一番怖いのは、失明や皮膚の壊死です。これは、ヒアルロン酸が血管の中に注入されたり、血管のすぐ近くに注入されて血管を圧迫したりすることで、目や皮膚に届くはずの血流を止めてしまうために起こるものです。このような最悪の事態を避けるには、トレーニングをしっかり積んだ、知識・経験の豊富な医師に施術をしてもらうことが大事です。

なお、どちらの失敗も修正で使用されるヒアルロニダーゼを入れることで改善しますが、血流を塞いでしまっている場合は即座にヒアルロン酸を溶かす必要があるため、違和感がある場合には早めに受診することをおすすめします。

ボツリヌス注射

  • 注入量が多すぎたり、注射する部位を間違えたりすると、筋肉が弛緩しすぎてしまいます。例えば、おでこに注入する際に、まぶたを引き上げてる筋肉を必要以上に緩めてしまうことでまぶたが垂れ下がり、うまく目を開けられないという失敗はむしろボツリヌス注射でも頻繁に起こる失敗の一つです。また、ほうれい線や口角の付近に注入し過ぎると、口回りが締まりなく間延びし、笑っても口元が動かず、引きつったような笑顔になってしまいます。
  • おでこや眉間の表情ジワ治療では、眉毛が不自然につり上がってしまう「スポック・ブロー」という症状が出ることがあります。額を動かす表情筋同士のバランスが崩れることで起きる失敗事例です。

ボツリヌス注射での失敗は、23ヶ月ほど待つことで自然に薬剤の効果が薄れもとに戻りますが、待てない場合は上記4の(4)で紹介した、「ボトックス修正注射」という方法もあります。

ヒアルロン酸とボトックス、いずれの場合も、施術する医師の知識や技術、センスによって、仕上がりに差が出る治療法です。

各製剤メーカーが、独自に注入指導医や認定医などの制度を設けています。そういった資格を所持しているかどうかを、クリニック・医師選びの参考にすると良いかもしれません。

また、医師のスキルはなかなか見極めが難しいため、カウンセリングの際には症例写真を見せてもらうことをおすすめします。その際には、シワの改善具合もさることながら、術後の顔が健康的に・華やかになっているか?に注意して見てください。

気になる料金 比べる時の注意点は?

気になる料金 比べる時の注意点は?

美容医療全般に言えることですが、健康保険が適用されない自由診療なので、クリニックによって料金は異なります。

中でも注入療法は、製剤の違い・製剤使用量の違い・医師の技術料の有無などで、料金体系が複雑です。製剤の料金の中に注入料が含まれるクリニックもあれば、注入料は別途加算、というクリニックもあります。痛みの少ない針での注射を希望する場合は別料金発生、ということもあります。

施術には満足したものの、支払いの段階になって請求額にビックリ、表情が晴れない…なんてことにならないように、カウンセリングの段階で、製剤の使用量や支払いの総額をしっかり確認しておきましょう。

ヒアルロン酸

ヒアルロン酸の場合、多くのクリニックでは、製剤1mL入りのシリンジを1本ごとに購入するという料金設定になっているようです。残った分は他の気になる場所に注入したり、次回まで保管しておいてもらったりということが可能です。(品質管理の観点から、クリニックごとに保管期限が設けられています)そのため、シリンジ一本1mLあたりの料金を表示しているクリニックがほとんどですが、中には他院より安く見せるために0.1mLあたりの料金を表示している場合もあります。安いと思ったら単位が違ったということにならないように、料金を比較する際には注意してください。

製剤名

メーカー/承認

持続期間

価格の目安
11mLあたり)

 

ジュビダームビスタ シリーズ

アメリカ
アラガン社

 

厚労省(日本)/FDA(米国)/CE(欧州)

 

 

厚労省承認
なめらかな質感で、自然な仕上がり

ボリフトXC

12~18ヵ月

60,000~120,000

浅いシワ、細かいシワ

ウルトラXC

9~12ヵ月

28,000~60,000

中程度のシワ

ウルトラプラスXC

9~12ヵ月

28,000~60,000

深いシワ

ボリューマXC

18~24ヵ月

64,000~120,000

骨格のボリュームアップ

テオシアル シリーズ

スイス
TEOXANE

 

FDA(米国)/CE(欧州)

 

 

保水能力が高く、弾力性に優れている
動きに合わせて伸縮

RHA2

1~2

50,000~80,000

中程度のシワ

RHA3

1~2

52,000~90,000

深いシワ

RHA4

1~2

55,000~90,000

骨格のボリュームアップ

レスチレン シリーズ

スウェーデン
ガルデルマ社

 

厚労省(日本)/FDA(米国)/CE(欧州)

 

 

独自の特許技術で純度の高いなめらかな質感を実現

リド

9~18ヵ月

35,000~65,000

中程度~深いシワ
真皮に注入

リフトリド

9~18か月

47,000~65,000

中程度~深いシワ
骨格のボリュームアップ
皮下組織に注入

ニューラミス シリーズ

韓国
メディトックス社

 

KFDS(韓国)

 

 

原材料は100%日本製
なじみの良い自然な仕上がり

ライト

1~2

30,000~50,000

浅いシワ、細かいシワ

ディープ

1~2

40,000~60,000

額を丸くする

ベロテロ シリーズ

ドイツ
メルツ社

 

FDA(米国)/CE(欧州)

 

 

高密度で微粒子のない完全に均一な製剤。真皮へのなじみが良く均質に浸透するため長期持続性がある

バランス

9~12ヵ月

55,000~85,000

中程度のシワ

インテンス

9~12ヵ月

60,000~85,000

深いシワ

ボリューム

1~2

60,000~85,000

骨格のボリュームアップ

クレヴィエル シリーズ

韓国
AESTURA

 

KFDS(韓国)

 

 

高濃度・高密度
形が崩れにくく長持ち

コントア

12~15ヵ月

55,000~100,000

鼻・アゴの形成に特化

プライム

12~15ヵ月

55,000~100,000

骨格のボリュームアップ
ほうれい線

 ボツリヌス注射

ボツリヌストキシン製剤はバイアルと呼ばれるビンに入っており粉末状のものと液状のものがあります。液状のものは現在イノトックス(メディトックス社製)のみで、その他の製剤は全て粉末となっています。この粉末の量を「単位」といい、メーカーによって1バイアルに50単位や100単位の製剤が入っています。クリニックでは、これを生理食塩水で希釈して、注射します。

例えば1バイアル100単位の製剤を希釈する場合、生理食塩水の量によって濃度が変わります。

 

注射液

0.1ccあたり

 

0.2ccあたり

 

0.5ccあたり

2.5ccで希釈

4単位

8単位

20単位

5.0ccで希釈

2単位

4単位

10単位

ボトックスの料金として、「1単位でいくら」と表示しているクリニックもあれば、「この部位ならいくら」「注射液0.1ccでいくら」と表示しているクリニックもあります。料金の安いクリニックの中には、薄く希釈した薬剤を使っているところもあり、効き目が弱い、薬剤が拡がり過ぎて想定外の部位にまで影響が出る、というトラブルにもなりかねませんので、注意が必要です。

製剤名

メーカー 

価格(眉間1回)

特徴

ボトックスビスタ

アメリカ
アラガン社

8,000~80,000

厚労省が承認している唯一のボツリヌス製剤

取り扱う医師に向けた講習制度があり、信頼性が高い

ゼオミン

ドイツ
メルツ社

25,000~50,000

不純物が少なく、中和抗体ができにくいため、長期間繰り返し使用ができる

ディスポート

イギリス
イプセン社

7,500~35,000

即効性・持続性に優れる

リジェノックス

韓国 
ハンズバイオメド社

3,500~5,000

リーズナブルで人気

コアトックス

韓国
メディトックス社

6,000~25,000

動物由来原料不使用かつ、複合タンパク質が入っていないため、安全性が高く、中和抗体が出来づらい

BTXA

中国
Lanzhou

ボトックスビスタの1/4から1/5

安価だが、製造工程での品質管理に問題があると言われている

まとめ

ヒアルロン酸とボツリヌス注射の違いをご紹介しました。たるみジワにはヒアルロン酸、表情ジワにはボツリヌス注射が有効だということが、お分かりいただけたでしょうか?

「私のシワにはどちらの治療があっているのかな?」そう思ったら、クリニックに相談です。治療経験豊富な医師が、あなたをより美しく見せる治療法を提案してくれることでしょう。

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※執筆・掲載日時点の情報を参考に医師監修しております。

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