目の下がタルンとしてきた、ほうれい線が深くなった気がする、なんだか顔が四角くなってきた…加齢に伴って起こる様々な症状、実は「たるみ」が原因なんです。
徐々に進行するため気づきにくい「たるみ」ですが、真皮や脂肪、筋膜といった肌の内部組織が衰えることで起こる症状で、加齢の影響を受けている部位によってもたるみ方が違ってきます。
早めに対策して進行を遅らせたいところですが、それには肌のどこに原因があってたるんでいるのかを知り、その原因に合った治療法を選択することが大切です。
今回は加齢に伴う「脂肪たるみ」「皮膚たるみ」「コケ・くぼみ」のタイプ別に原因と効果的な美容医療を紹介します。
2021.08.28
あなたのたるみはどのタイプ?
たるみには、原因によっていくつかのタイプがあります。
自分のタイプを把握することで、肌のどこに原因があるのかおおよその見当がつきます。
◻若い頃より太った ◻顔がパンパンなのが悩み(だった) → 脂肪たるみタイプ |
◻太ったり痩せたりを繰り返している ◻口元のたるみやシワが気になる(口横のシワ、ほうれい線、マリオネットライン等) → 皮膚たるみタイプ |
◻頬がコケているのが悩み ◻目の上のくぼみや額の凹みが気になる → コケ・くぼみタイプ |
実際にはたるみの原因が一つだけということは少ないので、2つ以上のタイプに当てはまる人も多いでしょう。
タイプ別|たるみが起こる原因と治療法
たるみの発生には、皮膚はもちろんのこと、その下の脂肪や筋肉、骨といった層も関わっています。
これらの層では、加齢などの要因によってさまざまな変化が起きます。この変化が、たるみにつながると考えられています。
引用:https://biyouhifuko.com/column/4260/
ここからはたるみのタイプ別に、原因と治療法を詳しくご紹介します。
脂肪たるみ
特徴
- 顔の脂肪が全体的に下垂しているようなたるみ
- 頬や顎などにつまめる肉が分厚い
- シワは少なめ
- 顔が大きくなったように感じる
起こりがちな症状
- 目の下が膨らむ
- 頬のたるみ
- フェイスラインのぼやけ
- 二重顎
- ほうれい線
- マリオネットライン
原因
■脂肪の下垂
年齢を重ねて基礎代謝が落ちてくると、皮下脂肪が増えやすくなります。頬やフェイスラインに脂肪が増えると、重みで垂れ下がってくるようになり、ほうれい線やマリオネットラインといった「たるみライン」ができやすくなります。
■SMAS(筋膜)のゆるみ
SMAS(表在性筋膜)は皮下組織(皮下脂肪等)と筋層の間にある膜で、筋肉と共に皮膚を支える土台となっています。このSMASは加齢によってゆるんだり伸びたりするため、SMASの上に乗っている真皮や皮下脂肪を支えることができなくなり、顔の下半分、特にフェイスラインのたるみの原因となります。
脂肪たるみに適した治療法
脂肪を熱で収縮させるなどして余分なボリュームを減らすと、下垂が軽減してほうれい線などの改善につながります。
SMASがゆるんでしまっている場合は、SMASを熱で収縮させると、たわんだ垂れ幕を張り直すように肌を土台から引き上げることができるとされています。
たるんだ肌を、物理的に引っ張りあげるという方法もあります。
■サーマクール
高周波を皮膚に照射して真皮~脂肪層を50~60℃ほどに加熱し、コラーゲンや脂肪を収縮させます。強い三次元的引き締め力で、焼いたお肉が一回り小さくなるようなボリューム減少効果があるとされています。
■ハイフ
超音波のエネルギーを一点に収束させて照射する施術です。皮膚の深さ1.5~4.5㎜の間にターゲットを設定して照射することができ、今ある美容医療機器の中で、唯一肌表面への影響を与えずにSMASまでアプローチできるリフトアップマシンです。4.5mmの深さに照射することで緩んだSMASを収縮し、肌を土台からリフトアップさせる効果が期待でき、3.0㎜の深さを狙うと、コラーゲンの収縮に加えて皮下脂肪溶解作用も得られ、ボリュームを減らす効果も期待できます。
■糸リフト
突起のついた糸を皮膚の下に通し、突起で組織を引っ掛け、引き上げることで、たるみを軽減させる施術です。ダウンタイムはありますが、マシンでは難しいレベルの引き上げ効果が期待できると人気の施術です。
また、リフトアップだけでなく、皮下に挿入された糸の周りでコラーゲンの増生などの作用が得られることによる、肌質改善やツヤ・ハリ感アップといった効果も高いとされています。
皮膚たるみ
特徴
- 目元や額・口元のシワが目立つ
- 全体的にハリがなく、皮膚が余ってシワを作っている感じ
- つまめる肉は少ない
- 乾燥肌に起こりやすい
起こりがちな症状
- 下まぶたのたるみ
- 額や目元のシワ
- フェイスラインのたるみ・シワ
- ほうれい線
- マリオネットライン
原因
■コラーゲンやエラスチンの減少・変性
真皮では、紫外線や活性酸素、ホルモンバランスの乱れによって、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といったハリや弾力の素が減少・変性するようになります。
その結果、水分量が減り弾力がなくなると、皮膚はしぼんだ風船のようにハリが失われて、皮膚が余ったようなたるみとなって現れてしまうのです。
皮膚たるみに適した治療法
コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった真皮を構成する「ハリの素」を増やします。真皮層をターゲットとして、これら「ハリの素」を作る働きを持つ線維芽細胞を活性化させます。
また、熱が加わることでコラーゲンが加熱変性するのを利用して、皮膚を引き締めるのも有効です。
■コラーゲンブースター注射
コラーゲンの増生を促す作用がある製剤を皮膚に注入することで、肌にハリが蘇ったり、シワやたるみを改善したりする効果が期待できます。
主成分はコラーゲンの素となるアミノ酸や、線維芽細胞を活性化させる成分などです。
■スキンタイト
近赤外線を用いて真皮層を加熱する施術です。真皮のコラーゲンが熱変性を起こして収縮することで、皮膚が引き締まります。熱変性からの治癒の過程でコラーゲン増生が促進され、肌のハリが蘇るとされています。
温かいヘッドを皮膚にあてて繰り返し照射を行うことからマッサージ作用があり、血液やリンパの流れを良くしてむくみを改善し、顔をすっきりさせる効果も期待されます。
■ハイフシャワー
皮下1.5㎜または2.0㎜の真皮層をターゲットとして、超音波をシャワーのように連続照射します。適度に熱が蓄積して、コラーゲンを収縮し肌を引き締める作用があります。
コラーゲンの増生によるハリ感のアップも期待できます。
コケ・くぼみ
特徴
- シワや凹凸感が目立つ
- 目の上や額、こめかみなどの窪みやへこみが目立つ
- つまめる肉はほとんどない
- 顔に脂肪の少ないスリムな人に多い
起こりがちな症状
- 額やこめかみの凹み
- 目の上の窪み
- 目の下のクマ
- 頬のコケ
原因
■脂肪の萎縮
急な体重減少や加齢の影響で顔、特に頬の脂肪が萎縮・減少すると、中綿のへたったクッションのように顔全体のボリュームが失われます。
脂肪を包み込んで伸びていた皮膚が余ってたるみ、しわをつくることもあります。
■顔面骨の萎縮
人間の骨量は20歳がピークとされ、30歳を過ぎた頃から骨の生成量よりも吸収量のほうが徐々に多くなると言われています。
顔の骨も例外ではなく、加齢とともに萎縮・変形します。アイホールが拡大する、額や頬骨が平らになる、こめかみがくぼむなどの変化が現れ、顔全体のボリュームが失われることになります。
脂肪や顔面骨の萎縮でボリュームが減った分、余った皮膚がたるんで影を作ることが、老け見えにつながります。
コケ・くぼみに適した治療法
くぼみやへこみに対しては、ボリュームを補うことでハリを出して、影を作らせないようにすることが効果的と考えられています。
■ヒアルロン酸注入
くぼみやへこみが気になる部分の皮下にヒアルロン酸製剤を注入してボリュームを補います。内側から凹みや窪みを持ち上げて余った皮膚による影を解消することで、ハリのある若々しい印象の顔になることが期待できます。
■CRF(コンデンスリッチファット)注入
太ももや腹部などから採取した自分自身の皮下脂肪を遠心分離機にかけて、老廃物など不純物を取り除きます。残った健康な脂肪細胞(コンデンスリッチファット)を、窪み・凹みの気になる部分に注入します。
この脂肪細胞には成長因子が豊富に含まれており、窪み・凹みを埋めるだけでなく、注入箇所周辺の細胞を活性化させることでもハリ改善に貢献するとされています。
まとめ
どんなタイプのたるみであっても、改善には皮膚の深い部分に働きかける必要があり、スキンケアやマッサージといったセルフケアではなかなか力の及ばないところです。
最近は高い効果を謳うセルフエステも流行りですが、自身のたるみの原因について素人判断は禁物ですし、クリニック施術以上の効果があるエステ施術は存在しません。
本格的にたるみを改善したいと思ったら、経験豊富な医師によるカウンセリング・診断をしっかり受けましょう。
その上で、いざ治療方法を選択するとなったときに、この記事が参考になれば幸いです。