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米国の美容医療をゆがめるメディカルスパ、レーザー脱毛で女性が死亡も 医師が現場にいない 米国医師会のコラムには窮状の訴え

カレンダー2026.2.16 フォルダー 海外
米国が抱える課題。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

米国が抱える課題。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 米国で「メディカルスパ」が幅を利かせ、無免許による美容医療の施術が横行している。

ジェル麻酔を塗った後に死亡事故

フィラー製剤が無資格者の手で注入されることも。(写真/Adobe Stock)

フィラー製剤が無資格者の手で注入されることも。(写真/Adobe Stock)

  • 米国での増加→ 2025年10月時点で、米国のメディカルスパは1万件を超え、非外科的施術(フィラー注入、ボツリヌス療法など)も実施されている。
  • 医師の関与の少なさ→ 2022年時点で医師がオーナーの施設は37%にとどまり、7割は診療所と連携のない施設。
  • 安全性の懸念→ 外用ゲル使用後のレーザー脱毛で死亡事故が発生するなど、事故報告も存在。

 2025年10月の米国医師会が発信しているコラムでは、メディカルスパが医療の関与が少ない中で増加している状況が紹介されている。

 米国のメディカルスパは1万を超え、名称は「スパ」だが、フィラー注入やボツリヌス療法といった非外科的施術も行われていると見なされている。

 同コラムで問題視している点の一つは、医師の関与が少ないこと。2022年の時点で、医師がオーナーなのは37%にとどまり、医師の運営する診療所と連携のない施設が7割に上る。

 事故が発生しているのも問題として挙げられ、中にはレーザー脱毛時に調剤された外用ゲルを塗った後に、女性が死亡した事故も起きたと紹介している。

 メディカルスパは2010年以降に6倍となり、売上高も200億ドルを超え、日本円で3兆円近くに拡大しているという。

 米国では規制が州ごとに異なっている。

 同コラムでは、2008年~2011年の美容医療関連の訴訟の8割がメディカルスパでの非医師関連と説明しており、20年近い前から問題が指摘されていたことがうかがわれる。

巨大チェーンも誕生

メディカルスパを対象に調査を実施。(出典/ニューヨーク市議会)

メディカルスパを対象に調査を実施。(出典/ニューヨーク市議会)

  • 市場での存在感→ 非外科的施術を行う施設全体の中で、メディカルスパが無視できない規模に拡大している可能性。
  • 無資格施術の問題→ 2025年12月、ニューヨーク市が違法な医療行為を行った無資格メディカルスパに対し、免許取消の行政処分を実施。
  • 規制の課題→ 米国は州ごとに規制が異なり、全国的な対策が困難な可能性も。

 もう少し俯瞰的に見ると米国のメディカルスパは、チェーンとしての拡大も進んでいると見られる。

 外見からは美容クリニックと区別が難しいが、medicalspaとされるチェーンの中には、数十拠点を展開するメディカルスパも見られる。メディカルスパと美容医療が同じように非外科的施術を行っているとすれば、施術を実施する施設全体の中でメディカルスパは無視できない規模になっている可能性がある。

 これもヒフコNEWSで伝えているように、2025年12月にニューヨーク市議会が、無資格メディカルスパで違法な医療行為が明らかになったと調査結果を公表し、同市は該当するメディカルスパに対して免許取消の行政処分を行った。

 米国は州ごとの規制なので、全米に広がるメディカルスパに対策を打つことは難しいと考えられる。

 現状、メディカルスパに人が集まる理由としては、予約のしやすさや安さという点があるとされる。医療費が高額な米国で、メディカルスパに医師が関与した場合に確実に高額化することが考えられる。そうなってくれば、メディカルスパは存続が困難になる可能性もある。

 世界的に見ると、結果的に、無資格の美容施術が広がっているという点では、英国やブラジルに近い状況と言える可能性がある。英国では、非医療従事者でも非外科的施術を行うことができる。ブラジルでも、非医療従事者が施術に携わるチェーンが拡大している。

 英国では、非外科的施術のライセンス作りが進む方向になっている。米国は美容医療にどのようなルールを作るのか注目される。

参考文献

 Who’s on site for care at “medical spas”? Not usually a physician
https://www.ama-assn.org/practice-management/scope-practice/whos-site-care-medical-spas-not-usually-physician

 米国皮膚科学会関連団体が声明発表、無資格メディスパの規制求める、米国NY市の調査で違法状態が判明、「医療ができない」表示を必要とする州の法整備を求める
https://biyouhifuko.com/news/world/16067/

 米国ニューヨークで違法疑いメディスパ調査、全店で法律違反など明らかに、「無資格」横行で免許取消も、規制強化の波は米国にも
https://biyouhifuko.com/news/world/16054/

 世界の美容医療は今どうなっているのか 美容クリニック編 非外科的施術チェーン世界で拡大 世界の美容医療の今を知る Vol.1
https://biyouhifuko.com/news/column/16091/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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