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英国議会委が美容施術「規制の空白」を埋める提言 高リスク施術は医療資格者限定へ 注入型BBLや豊胸は実質禁止の方向 ライセンス制度の2024–2029議会任期中導入要求

カレンダー2026.3.8 フォルダー 海外
英国が規制の空白を埋める。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

英国が規制の空白を埋める。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 英国議会の女性・平等委員会(Women and Equalities Committee)は2026年2月、美容施術に関する第11次報告書を公表し、美容医療分野の規制強化を政府に求めた。高リスク施術を医療資格を持つ専門職限定にするなどの内容を提言した。

英国での美容施術の「規制の空白」に懸念

注入型の豊尻は禁止へ。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

注入型の豊尻は禁止へ。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 規制の不足→ 英国では美容施術の資格や施設に関する統一ルールが十分整っていない。
  • ライセンス制度の提案→ 非外科美容施術に国家ライセンス制度を導入するよう提言。
  • 高リスク施術の制限→ BBLや注入型豊胸などは医療資格を持つ専門家に限定すべきとされた。

 ヒフコNEWSでは、英国の状況について、非外科的施術が非医療従事者でも行えるなど、他国とは異なることを伝えてきた。また、法改正により、ライセンス制度が新設される方向も示されていた。

 今回の報告によれば、あらためて英国では施術者の資格や施設に関する統一的な規制が十分に整備されておらず、安全性への懸念が高まっていることを指摘している。

 こうした状況を受けて女性・平等委員会は、政府に対して非外科的美容施術に関するライセンス制度を現在の議会任期(2024–2029年)中に導入するよう求めた。

 英国美容協議会の政策責任者であるヴィクトリア・ブラウンリー氏は2025年7月の公聴会で証言し、規制を早急に整備する必要性を指摘していた。

 提言では、施術をリスク別に分類し、比較的低リスクの「グリーン」や「アンバー」カテゴリーについてはライセンス制度の下で実施可能とする。

 一方で、注入型の豊尻施術であるブラジリアン・バットリフト(liquid BBL)や注入型豊胸などを含む高リスク「レッド」カテゴリーは医療資格を持つ専門家に限定するべきだとしている。

 ただし、こうした高リスクの中でも、注入型のBBLや豊胸は医療従事者が実施しないため、事実上の禁止となる可能性が高い。

 さらに、現在は正式な教育を受けていない人物でも美容施術を行えるケースがあることから、国家認定資格や働きながら研修する制度(アプレンティスシップ)を含む統一的な教育・資格制度を整備する必要性も指摘された。

 報告書では、英国美容協議会(British Beauty Council)が提言してきた内容が多数反映されており、非外科的美容施術を含む業界全体のライセンス制度導入や、高リスク施術の制限などが提案されている。

身体醜形症や医療ツーリズムの問題にも言及

医療ツーリズムは合併症の情報公開を求める動き。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

医療ツーリズムは合併症の情報公開を求める動き。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 心理面への配慮→ 身体醜形症の可能性もあり、心理評価や十分な説明を求める提言。
  • SNSの影響→ 若年層の美容意識への影響を踏まえ、学校での教育プログラムを提案。
  • 海外施術の問題→ 医療ツーリズムによる合併症を把握するため、データ記録制度を提案。

 報告書では、美容施術を受ける人の心理的側面への対応も重要な課題として挙げられている。

 美容施術を受ける人の中には身体醜形症(Body Dysmorphic Disorder)の可能性があるケースもあり、施術者に対して心理評価やインフォームドコンセントに関する研修を義務付けるべきだとしている。

 また、SNSやインフルエンサー、画像加工技術が若年層の美容意識に強い影響を与えている点にも言及。特に17〜21歳の若い女性の間で美容施術が一般化しており、学校教育の中でボディイメージやソーシャルメディア・リテラシーを扱う教育プログラムを導入することを提案している。

 さらに、美容医療の医療ツーリズムの問題にも焦点を当てた。海外で受けた美容施術の合併症によって英国の国民保健サービス(NHS)での治療負担の実態を把握するため、海外施術による合併症データを記録および公表する制度を整備すべきだとしている。

 美容医療市場は拡大を続け、英国美容協議会の調査では美容サービスへの消費支出は2024年に101億ポンド(1ポンド210円とすると、約2兆1000億円)に達し、前年比15%増となった。こうした市場拡大の中で、業界の専門性と安全性を確保するための規制整備が急務であると指摘されている。

 英国の制度整備の状況は日本にも参考になる可能性がある。

参考文献

Women and Equalities Committee Cosmetic procedures Eleventh Report of Session 2024–26 HC 869
https://publications.parliament.uk/pa/cm5901/cmselect/cmwomeq/869/report.html

British Beauty Council recommendations are included in Women and Equalities Cosmetic Procedures Report
https://britishbeautycouncil.com/british-beauty-council-recommendations-are-included-in-women-and-equalities-cosmetic-procedures-report/

英国、美容医療の独自ライセンス制度を法制化、非外科的治療の施術者を認定、2022年の法律成立で制度導入へ動く【解説】
https://biyouhifuko.com/news/world/7962/

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ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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