
レチナールなどビタミンA系の成分への関心は高い。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
石油資源への依存が課題となる中で、石油由来の化学合成ではなく、農業副産物から発酵によりスキンケア成分として注目されるビタミンAの一種であるレチナールを作る技術が示された。
金沢大学と静岡県立大学の研究グループが2026年4月に発表した。
レチナールを発酵で作る

サトウキビなどから美容成分。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 発酵でレチナールを生産→ 微生物を使い、農業副産物の廃糖蜜からレチナールを作ることに成功した。
- 石油由来原料に頼らない→ サトウキビやテンサイ由来の副産物を活用し、環境負荷を抑える可能性がある。
- 高純度の生産に成功→ レチノールなどがほとんど混ざらない、純度の高いレチナールを得た。
今回の研究では、微生物を使った「精密発酵」により、農業副産物である廃糖蜜からレチナールを生産した。
廃糖蜜は、サトウキビやテンサイから砂糖を作る際に残る、糖分を多く含んだ液体。
一方で、レチナールはビタミンA系成分の一つで、広く知られるレチノールと同じ仲間に当たる。研究グループによれば、レチノールはスキンケアの成分として知られているが、レチナールは、より少ない量で高い効果を得られると報告されている。
これまで、レチナールのようなビタミンA系成分は、石油由来の原料を使って化学的に作られることが多く、環境への配慮という面で課題があったという。
今回、研究グループは、もともとアミノ酸の工業生産に使われてきた細菌を改良し、培養の仕方も工夫することで、レチノールやレチノイン酸などがほとんど混ざらない、純度の高いレチナールを作ることに成功した。
生産量は、2.5リットルの発酵槽で1リットル当たり104.9ミリグラムに達したという。これを原料として活用することで、石油由来原料に頼らない美容成分の生産につながる可能性がある。
20代の関心が高いビタミンA系

さまざまな美容成分が新しい生産方法で作られる可能性も。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 次世代原料への期待→ 発酵技術が、今後のスキンケア成分づくりの土台になる可能性がある。
- ビタミンA系への関心→ レチノールなどビタミンA系成分は、特に若い世代で注目されている。
- レチナールの注目度→ 少ない量で効果が期待される成分として、今後さらに関心が高まる可能性がある。
今回の技術のポイントは、新しいレチナール生産方法を確立したというだけではない。
金沢大学は、今後は次世代のスキンケア原料を発酵で生産していくための土台の一つになると期待している。レチナールに限らず、今後、環境負荷の低い化粧品成分の生産方法として注目される可能性がある。
なお、花王が2024年に行った調査では、20代女性でレチノールが上位の関心成分として挙がっていた。レチナールはそのレチノールと同じビタミンA系成分で、より少ない量でも高い効果が期待されることから、今後さらに関心が高まる可能性がある。
参考文献
農業副産物から次世代スキンケア成分の精密発酵に成功
https://www.kanazawa-u.ac.jp/miraichi/180841/
顔の肌に良い美容成分、人気トップはビタミンC、20代はレチノール、CICA、年齢上がるほどコラーゲンに関心、花王が20代~60代の女性2000人を対象に調査
https://biyouhifuko.com/news/japan/8043/
