
ニキビ跡には、アイスピック型、ボックスカー型、ローリング型などがあり、形や深さに応じた治療選択が重要になる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
ニキビが治った後に残る凹んだ傷跡に対して、トリクロロ酢酸(TCA)をどのように使うと効果的なのか。
ブラジルの研究グループが、2002~2025年に発表された34研究を分析し、その結果を2026年8月に報告した。
深いニキビ跡には高濃度TCAをピンポイントで使用

高濃度TCAを傷跡にピンポイントで塗布するCROSS法は、深いニキビ跡への治療として報告されている。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 研究対象→2002~2025年に発表された34研究を分析し、TCAによる萎縮性ニキビ跡治療の方法や効果、安全性を整理した。
- CROSS法→34研究のうち20研究、58.8%で検討され、50~100%の高濃度TCAを傷跡へ局所的に塗布した。
- 傷跡による使い分け→深いアイスピック型などではCROSS法、浅い傷跡では低~中濃度のTCAピーリングが用いられていた。
ニキビは炎症が治まった後にも傷跡を残すことがある。中でも皮膚が凹む「萎縮性瘢痕(はんこん)」は、傷が治る過程でコラーゲンが十分につくられないことなどによって生じる。形によって、細く深く陥没する「アイスピック型」、境界が比較的はっきりした「ボックスカー型」、なだらかに波打つような「ローリング型」などに分けられる。
治療にはレーザー、マイクロニードリング、サブシジョン、ケミカルピーリングなどが使われている。その一つがTCAである。TCAは皮膚に化学的な刺激を加えることで修復反応を促し、新しいコラーゲンの形成や真皮の再構築につなげる目的で用いられる。
研究グループは、TCAを単独またはほかの治療と組み合わせて萎縮性ニキビ跡に使用した研究を調査。最終的に2002~2025年に発表された34研究を対象に治療法、効果、安全性などをまとめている。
34研究を整理すると、TCAの使い方は一つではなく、ニキビ跡の形や深さによって適した方法が異なることが浮かび上がった。
特徴的だったのが、TCAを傷跡の部分だけに50~100%という高濃度で塗布する「CROSS(Chemical Reconstruction of Skin Scars)法」だ。特に深いアイスピック型では、CROSS法が有力な選択肢として示された。皮膚全体に高濃度の酸を塗るのではなく、凹んだ部分を狙って処置することで、周囲への影響を抑えながら真皮の再構築を促す考え方だ。100%TCAの方が高い効果を示した研究がある一方、70%では処置中の不快感が少なく、治療の受け入れやすさが高かったとの報告もあった。
CROSS法は34研究のうち20研究、58.8%で検討され、最も研究の多い治療法だった。主に50~100%のTCAが用いられ、特にアイスピック型や深いボックスカー型で効果が報告されていた。
一方、通常のケミカルピーリングとしてTCAを使う研究もあり、34研究のうち14研究、41.2%を占めた。
濃度によって使い方が異なり、濃度10~20%の浅いピーリングは皮膚の質感や表面的な凹凸、浅い傷跡などの改善に用いられていた。濃度25~35%は浅い萎縮性瘢痕など、濃度40~50%はより深いボックスカー型などを対象とする治療として報告されていた。
傷跡に応じて治療を組み合わせ

TCA治療では、効果だけでなく炎症後色素沈着などのリスクにも注意が必要となる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 複合治療→34研究の52.9%で複数の治療が組み合わされ、マイクロニードリングやサブシジョンとの併用が報告された。
- 組織の再構築→TCAは線維芽細胞を活性化し、コラーゲンや細胞外マトリックスの形成を促す可能性が示された。
- 色素沈着への注意→高濃度TCAや肌の色が濃い人では炎症後色素沈着が報告され、傷跡や肌タイプに応じた治療選択が重要。
さらに今回のレビューでは、34研究の52.9%で複数の治療を組み合わせた方法が検討されていた。例えばTCAとマイクロニードリングの組み合わせは9研究、TCAとサブシジョンは4研究で報告されている。
マイクロニードリングでは微細な針による刺激とTCAの作用を組み合わせ、コラーゲン形成を促す。サブシジョンでは皮膚の下で傷跡を引っ張っている線維性組織を機械的に切り離し、TCAによる組織の再構築を組み合わせる。特にボックスカー型やローリング型などでは、こうした複合的なアプローチが検討されていた。
組織学的な研究では、TCAによって線維芽細胞が活性化し、コラーゲンや細胞外マトリックスの形成が促される可能性を支持する結果が示された。TCAが単に皮膚表面をはがすだけではなく、その後の修復反応を通して真皮の再構築につながる可能性が示されていた。
一方で注意が必要なのが、炎症後色素沈着(PIH)だ。有害事象を詳しく報告した研究のうち、約20~25%の研究でPIHの発生が報告され、特に65~100%の高濃度TCAや、肌の色が濃い人を対象とした研究で報告されていた。多くは一時的で、紫外線対策などを行いながら経過をみた例では、3~6カ月で改善したとされる。赤み、腫れ、灼熱感、かさぶたなども報告された。
ニキビ跡治療では、一律の方法を選ぶのではなく、ニキビ跡の形や深さ、肌のタイプ、色素沈着のリスクなどを見ながら治療を組み立てることが重要と考えられる。
参考文献
Melo MGP, de Barros JM, Lima RA. Use of Trichloroacetic Acid in Treatment of Atrophic Acne Scars: A Scoping Review. Journal of Cosmetic Dermatology. 2026;25(8):e71110.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jocd.71110
