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セルロースマスクで美容施術後の回復を効率的に、ダウンタイム短縮、米国発

カレンダー2024.3.12 フォルダー最新研究
マスクをした左側は温度が低下している。(出典/JJ Cosmet Dermatol. 2024 Feb 23.)

マスクをした左側は温度が低下している。(出典/JJ Cosmet Dermatol. 2024 Feb 23.)

 美容施術後の快適性やダウンタイムの改善を目指し、バイオ技術で生み出されたセルロース製マスク(Hydration Mask、Velez by Vesna)の安全性と有効性に関する研究結果が公表された。施術後の痛み、ほてり、赤み、腫れを軽くする効果が確認されている。この成果は、2024年2月に米国フロリダ・アトランティック大学の研究者らにより発表された。

美容施術後を快適に

施術後にシート状のマスク。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

施術後にシート状のマスク。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 美容医療後のアフターケア→高周波やレーザーを使った非外科的治療後の痛みや腫れなどを軽減するため、塗り薬やフェイシャルマスクが利用されているが、その効果が科学的に証明された例は少ない。
  • バイオテクセルロースマスクの特徴→ドイツで特許を取得した植物由来のマスクで、保湿、抗炎症作用、冷却効果により、やけどや傷のアフターケアに有効性が認められている。
  • 研究内容→高周波施術、マイクロニードルと高周波の組み合わせ施術、レーザーリサーフェシング施術を受けた15人が参加。施術後、一方の顔半分にのみバイオテクセルロースマスクを使用し、日々の状態を写真と温度映像で記録、評価。

 高周波やレーザーを使った非外科的治療を含め、美容医療の施術後の痛みやほてり、腫れなどは避けられる傾向がある。塗り薬やフェイシャルマスクなどが、快適さの向上やダウンタイムの短縮を目的として利用されている。ただし、こうしたアフターケアの効果が信頼度の高い研究によって確かめられたケースはまだ少ないようだ。

 今回、研究の対象で注目されたのは、ドイツで特許を取得した植物由来のバイオテクセルロースマスクだ。このマスクは保湿、抗炎症作用、冷却効果を通じて、ヤケドやキズのアフターケアのための有効性が認められているという。このたび美容施術後に使ったときの安全性と有効性が分析された。

 研究には、高周波施術(Moxi、Sciton製)、マイクロニードルと高周波の組み合わせの施術(Secret、Cutera製)、レーザーリサーフェシングの施術(Contour TRL、Sciton製)のいずれかを受けた15人が参加した。施術後、通常のアフターケアを施した上で、30分間、顔半分のみにバイオテクセルロースマスクを当ててもらった。その後、毎日最低2時間、同じ側の顔にマスクを使ってもらった。状態を追うために、日々、顔の写真と温度を映し出す画像が撮影されて、研究者と、どちら側にマスクを使ったかを知らされたない評価者によるレビューが行われた。

バイオテクセルロースマスクが効果

ダウンタイムを短くする効果。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

ダウンタイムを短くする効果。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • バイオテクセルロースマスクの効果→施術後の痛みやほてりが軽減。マスクを使用した側の顔の温度は平均2.2度低下し、ほとんどの参加者が痛みとほてりの減少を即座に感じた。
  • 効果の具体例→30分後、多数の参加者が痛みとほてりのさらなる減少、赤みと腫れの減少を経験。施術後の1日目と2日目に腫れが減少し、副作用は報告されていない。
  • アフターケアとしての可能性→皮膚が感染症に弱くなる美容施術後に、安全性の高いバイオテクセルロースマスクが有望とされる。今後の研究でさらにその効果と安全性を検証する必要がある。

 こうして確認されたのは、バイオテクセルロースマスクを使うことで、施術後の痛みやほてりなどが軽くなるということ。

 具体的には、マスクを使った側の顔の温度が平均2.2度低下。参加者全員がマスク適用直後に痛みとほてりの減少を経験した。30分後には、13人が痛みとほてりのさらなる減少、11人が赤みと腫れの減少を報告した。施術1日目と2日目には腫れが減少したと報告された。副作用は報告されなかった。

 バイオテクセルロースマスクは今後、施術後のアフターケアに有望かもしれない。研究グループによれば、美容施術の後は、皮膚が感染症に弱くなることもあり、安全性の高いマスクで回られることは重要だという。今後さらに多くの人を対象にした研究が必要だというが、美容医療の施術後を快適にする技術はもっと進化していきそうだ。

参考文献

Siperstein R, Nestor E, Meran S, Stankiewicz S. Randomized split-face study using a post-procedural biotech cellulose mask to improve patient comfort and downtime. J Cosmet Dermatol. 2024 Feb 23. doi: 10.1111/jocd.16241. Epub ahead of print. PMID: 38400577.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38400577/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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