なぜマスクによって肌荒れが起こるのか
最近、ニキビができやすい、肌荒れがするなど肌の調子がイマイチ…と感じている方、もしかするとマスクの着用が原因かもしれません。
外出時に長時間マスクを着用する機会が増えたこと、季節の変わり目で温度変化が激しいこと、さらに花粉の飛散など、肌にとっては過酷な環境となっています。それでは、なぜマスクによって肌荒れが起こるのでしょうか。
乾燥
マスクをしていると、呼吸した息がマスクの中にこもるので保湿になるように感じます。実際、呼気に含まれる水蒸気がマスクの中に充満するので、マスクの中は湿度の高い状態だと言えます。しかし、マスクを外すとマスクの中にあった水分が一気に蒸発するので、それが皮膚の水分も奪ってしまい、一気に乾燥することになるのです。洗顔後に何もケアしないでいると、顔についた水分が蒸発するときに一気に乾燥してしまうことがあると思いますが、そのメカニズムと同じだと考えてください。
また、マスクそのものが触れている部分の水分や皮脂を吸着するということもあります。
マスクが触れている部分を乾燥させてしまうことで、皮膚のバリア機能が乱れ、粉を吹いたような状態になったり、炎症によって赤みが出てしまったりといった肌荒れにつながってしまうのです。
ニキビ
マスクを使用する口周りは、もともとニキビができやすい部位の一つです。特に顎周りは大人ニキビができやすい場所。
顎は、顔の中でも皮脂腺が多く存在している一方、汗腺が少ないという特徴があります。そのため、皮脂量の多い年代でなくてもニキビができやすいのです。そのような部位をマスクで覆うと、ニキビの発生を促してしまいます。
また、マスクをしているときの適度な温かさと湿気は、ニキビの原因であるアクネ菌の繁殖を促します。そのためマスクを使用することは、ニキビができやすい環境を作ってしまっているとも言えるのです。
2021.09.09
摩擦
現在、マスクの材料で主なものは不織布とガーゼ(布)ですが、実際に使用されることが多いのは、手軽に使えて衛生管理のしやすい、使い捨ての不織布マスクです。この不織布の材料はポリプロピレンやポリエステルのような化学繊維です。
そのため、ガーゼマスクの綿素材に比べると肌ざわりが悪く、肌への負担が大きくなります。肌との間に摩擦が起こるため、肌荒れの原因となるのです。花粉症やウイルス対策、仕事のためにマスクをつけているとどうしても長時間の着用になるので、肌への負担も大きくなってしまいます。
また、乾燥対策として夜寝るときにマスクをして寝る人もいますが、それはNG。寝返りを打ったときや無意識に手で触ってしまうことで摩擦が起こるので、肌にはよくありません。肌に摩擦を与え続けると、炎症による色素沈着などにもつながってしまうので注意が必要です。
マスクによる肌荒れに対してクリニックでできる治療法とは
クリニックでマスクによる肌荒れの治療をするメリット
とにかく今すぐ肌の調子をなんとかしたいと思うのであれば、クリニックで集中的に肌荒れの治療をするのもいいかもしれません。
治療の紹介
ケミカルピーリング
マスクによるニキビの治療におすすめなのがケミカルピーリングです。「ケミカルピーリング」は、酸性のピーリング剤を直接肌に塗り、皮膚表面の古い角質や毛穴に詰まった汚れを取り除く治療です。ニキビの原因となる毛穴に詰まった角栓を、酸の力で溶かして毛穴づまりを解消することで、ニキビの悪化を防ぐだけでなく、ニキビそのものを改善へと導きます。
また、毛穴の奥に潜んだアクネ菌を殺菌する作用もあるので、炎症を抑える効果もあります。できてしまったニキビの改善だけでなく、ニキビが出来づらい肌へと肌質を改善する効果も期待できるので、定期的に継続して行うことをおすすめします。
料金 顔全体1回 3,000円〜
イオン導入・メソポレーション
肌のかさつきや粉吹きといった肌の乾燥が気になる方におすすめなのがイオン導入やメソポレーションなどの導入系の治療です。
「イオン導入」とは、微弱な電流を皮膚に流すことで肌をプラスに帯電して、イオン化した水溶性の有効成分を肌の深部まで浸透させる施術です。
「メソポレーション」とは、「エレクトロポレーション」という技術を使用して薬物や成分を導入していく治療法です。
50V以上の電圧をパルス式にかけると、一時的に細胞に隙間ができることを利用した経皮的薬物導入方法です。イオン導入よりも分子量の大きい美容成分を、短時間で大量に導入することができるのがメリットですが、料金はイオン導入よりも高くなります。
どちらの手法も導入する薬剤によって効果が変わってきます。イオン導入では、炎症を抑える作用のある「トラネキサム酸」や皮膚や粘膜を健康に保つ「ビタミンA」、血流を改善する「ビタミンE」などが肌荒れや乾燥肌に効果的だと言われています。メソポレーションはイオン導入よりも分子量の大きい成分も浸透させることができるため、保湿効果の高いヒアルロン酸やセラミド、アミノ酸などががおすすめです。
どちらの施術でも1回で劇的に改善するというようなものではありませんが、続けることで肌の内側から潤う素肌へと導いてくれます。
イオン導入・料金相場: 1回3,000〜5,000円
メソポレーション・料金相場:1回 10,000円〜
外用薬
マスクによる肌荒れで赤みが気になるときには、炎症がひどくなっている可能性があるため、まず炎症を抑える軟膏などでのケアが必要になります。クリニックで処方を受け、保険治療となると薬代は3割負担ですみます。
また、炎症を抑える塗り薬はドラッグストアなどでも市販されていますが、肌の状態を見極めて成分を選んだほうが効率的なため、自己判断せずにクリニックを受診することをおすすめします。
2021.09.09
マスクによる肌荒れを防ぐために大切なことは?
マスクの選び方
化学繊維で作られた不織布のマスクは、皮膚への刺激が大きくなりがちです。もし可能ならガーゼタイプのマスクを使うほうが、肌への刺激が少ないので肌荒れの防止につながります。ガーゼマスクを使うときは、こまめに洗って清潔に保つようにしましょう。
マスクのつけ方
小さめのマスクだと肌に密着して摩擦が大きくなる可能性が高いので、きちんと自分に合ったサイズのものをを選ぶようにしましょう。不織布のマスクで肌との摩擦が気になるときは、マスクの内側にガーゼを挟んで、直接肌に不織布の部分が当たらないようにするのがおすすめです。ガーゼが水分を吸収するので、マスクの中がムレるのも防ぐことができます。
スキンケアのポイント
マスクをつける前と外したあとにはしっかり保湿ケアを行うようにしましょう。特に、マスクが当たる部分は、マスクによる刺激に加えて蒸気がこもったり発散したりと肌のコンディションも変化が大きいと言えます。もし、マスクをして肌荒れした場合には、敏感肌用のスキンケアアイテムを使うのがおすすめです。ファンデーションは薄めにして、できるだけ肌への負担を減らすように心がけましょう。
まとめ
生活に欠かせないマスクだからこそ、マスクによる肌荒れは避けたいもの。マスクの選び方やつけ方に気をつけて、保湿を中心としたスキンケアを心がけましょう。また、セルフケアが難しいときには、クリニックの助けを借りることを考えてみてもいいかもしれません。
記事監修
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山下真理子先生
京都府立医科大学を卒業して、医師に。 大阪市内で美容医療に携わりながら、医療教育にも従事。 コラムの執筆やモデル業の傍ら、17公式ライバーとしてライブ配信も行っている。