ニキビが治らないことで悩んでいませんか?セルフケアを続けているのにニキビが改善しないのであれば、皮膚科や美容皮膚科で行われているニキビ治療を検討しても良いでしょう。
今回の記事では、ニキビができる原因を始め、ニキビを悪化させるNG行動、そして皮膚科や美容皮膚科で受けられるニキビ治療についてご紹介します。
ニキビが治らない3つの主な原因
ニキビの改善のために、まずはニキビがなぜできるのか原因を知ることが重要です。
大人のニキビは生活習慣やホルモンバランスの乱れなど、体の内側に原因があることも多いといわれています。今の自分の生活を見直すことで、ニキビ改善のための糸口がつかめるかもしれません。
ニキビができる3つの原因
ニキビができる原因には、「過剰な皮脂」「毛穴の詰まり」「アクネ菌の繁殖」の3つが関係しています。
健康な肌は、皮脂腺から分泌される皮脂と、汗腺から分泌される汗が混ざることでできる「皮脂膜」によって守られており、皮脂膜には肌の乾燥防止や外的刺激から保護する働きがあります。
しかし、さまざまな理由によって皮脂が過剰に分泌されて毛穴に詰まると、毛穴の外に排出されなくなった皮脂がたまり、アクネ菌の増殖を引き起こしてニキビができやすくなるのです。
大人のニキビは繰り返しできやすく、治りにくい
思春期にできるニキビは、成長期に成長ホルモンの影響で皮脂腺の働きが活発になり、過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まりやすくなることで、ニキビの原因となるアクネ菌が増殖しやすくなり発症するといわれています。
また、思春期ニキビは肌を清潔に保ち、正しい洗顔・スキンケアと塗り薬の使用などによって比較的改善しやすい傾向にあります。
一方、大人になってからニキビができる原因は、睡眠不足、食生活やホルモンバランスの乱れ、ストレス、乾燥によるバリア機能の低下、誤ったスキンケアなど、さまざまな原因が複雑に絡み合っていることが多いです。
大人のニキビは、Uゾーン(頬、顎や口周り、フェイスライン、首)などの、肌が乾燥しやすい場所にもできやすいのが特徴です。
2021.09.09
ニキビが治らない人必見!ニキビが治りにくくなる6つの行動
ニキビができないように心掛けているつもりでも、無意識のうちにニキビの悪化を引き起こす行動をしているかもしれません。
本章では、ニキビ肌に注意したい6つの行動についてご紹介します。今の自分に当てはまっている行動がないか確認してみてください。
生活習慣の乱れ
睡眠不足
肌の新陳代謝には、脳下垂体から分泌される「成長ホルモン」が関係しています。成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されるといわれており、睡眠不足や熟睡できない日々が続くとホルモンの分泌量が減少し、肌のターンオーバーが乱れがちになります。
そして古くなった角質が溜まり、毛穴が詰まることでニキビが発生する可能性が高まるのです。
また、睡眠不足により肌の免疫力(バリア機能)も下がるため、ダメージ補修がスムーズに行われなくなり、すでにできてしまったニキビも悪化することがあります。
不規則な食生活
偏った食事やダイエットによる食事制限など、不規則な食生活はニキビの悪化に繋がる可能性が高いです。
特に脂質や糖質は、過剰にとると皮脂の分泌量が増加して皮脂が毛穴に詰まり、ニキビができやすくなることがあります。同様に、カフェインや香辛料のような刺激物も摂りすぎには注意が必要です。
また、脂質や糖質を代謝する時に、皮脂分泌をコントロールする働きのある「ビタミンB群」が大量に消費されます。ビタミンB群が不足すると皮脂分泌が過剰になり、ニキビができやすくなることが多いです。
対策として、皮脂をコントロールするといわれる「ビタミンB2」や「ビタミンB6」、肌のターンオーバーを正常化する「ビタミンA」、抗炎症効果のある「ビタミンC」など含む食材をバランスよく、積極的にとると良いでしょう。
間違った洗顔
洗浄力の強い洗顔料や熱いお湯を使用した洗顔や、1日に何度も過剰に肌を洗う等の行為は、肌が元々持っている天然の保湿成分や細胞間脂質など、必要な成分まで除去してしまう恐れがあります。
ニキビ肌用として販売されている洗顔料は、オイリー肌向けに作られた洗浄力の高い製品が多いので、乾燥によってニキビができている人が使用し続けると、乾燥状態を招いてニキビを悪化させてしまう恐れがあります。
乾燥肌の人は保湿成分が含まれている洗顔料を選ぶと良いでしょう。
また、毎日のようにピーリングを行うなどの過度な角質ケアもバリア機能の低下の原因となり、ニキビの悪化を引き起こします。
見落としがちですが、洗顔料のすすぎ残しや、タオルの汚れもニキビの原因に繋がると言われています。
タオルはなるべく洗顔毎に清潔なタオルに取り替えると良いでしょう。
ニキビをつぶす
指や爪でニキビをつぶすと、雑菌が繁殖して炎症を引き起こす恐れがあります。
周囲の皮膚組織まで傷つけて、ニキビ跡やクレーターが残る原因にもなりえるのです。
皮膚科で行う治療の一つに、ニキビができている箇所へ細い針で穴を開けて、専用の器具で毛穴に詰まった膿や皮脂を押し出す「面ぽう圧出」がという治療方法がありますが、これはあくまでも医療機関で行う「治療行為」にあたるので、自分でニキビをつぶす行動は高いリスクが伴い、非常に危険です
自己判断でニキビをつぶす前に、皮膚科で医師に診てもらうと良いでしょう。
自己判断で外用薬を使用する
市販のもの、もしくは使用期限が過ぎた皮膚科の外用薬などを自己判断で使用すると、肌状態に合わなかったり、薬の刺激によってニキビが悪化する恐れがあります。
基本的にニキビの治療薬は医師の診断の上、肌状態に適しているものを使用するのが効果的といわれているので、自己判断で市販薬を使用しても、思ったような効果がでない場合もあるのです。
また、皮膚科で処方された治療薬も、使用期限を過ぎていたり、開封後にかなり時間が経過している場合は薬が変質し、思わぬ副作用が出るケースもあります。ニキビ薬は、皮膚科で今の肌の症状を診てもらった上で、症状にあった外用薬を使用することが大切です。
肌に負担のかかるメイク
油分の多いリキッドやクリームタイプのファンデーションは、毛穴に詰まりやすくアクネ菌も増殖しやすいため、ニキビが悪化しやすくなる傾向があります。また、カバー力が高いファンデーションはクレンジングで落としきれずに、毛穴詰まりなどの肌トラブルに繋がることもあります。
特に、ニキビができている時はパウダーファンデーションなど、油分と肌負担の少ない化粧品を選ぶと良いでしょう。ニキビ肌には、ノンコメドジェニックテスト済みという、毛穴を塞ぎにくく、ニキビのもとになりにくい化粧品が推奨されることが多いです。一度、手持ちのメイクアイテムの見直しをしてみるのも良いかもしれません。
日焼け対策をしていない
紫外線を浴びてダメージを受けた肌は、バリア機能が低下し乾燥が進むことで、皮脂分泌が過剰になります。
また、紫外線の刺激によって「角質層」が厚く、毛穴が詰まりやすい状態になり、ニキビができやすくなることが多いです。
紫外線を浴びると、ニキビの原因菌であるアクネ菌が活性酸素を発生させ、すでにできたニキビの炎症も悪化させます。これにより、ニキビ跡が残りやすくなるなどの悪循環を招く恐れがあります。
治らないニキビを改善するために自分に合う治療を見つけよう
すでに皮膚科や美容皮膚科でニキビ治療を受けていても、全く改善がみられないようであれば、今の治療があなたに合っていない可能性があります。ニキビ治療にはさまざまな方法があるので、自分に合う治療を上手く組み合わせることが早期改善への近道になります。もしも今の治療内容に関してに疑問を感じているのであれば、他の皮膚科へ行ってみるのも有効な方法です。
本章では、ニキビ治療の種類を保険治療と自費治療に分けてご紹介します。
一般皮膚科での保険治療
外用薬
ニキビ治療の外用薬には、毛穴の詰まりを取る作用に特化したものや、殺菌・抗菌作用のある抗生物質を含んでいるものなどがあります。
ニキビの状態に合っている外用薬を処方してもらい、正しく使い分けることが重要です。
- 白ニキビ、黒ニキビ、軽度の赤み症状等、初期のニキビに使用する外用薬
「ディフェリンゲル」などの皮脂詰まりを予防・改善する薬を使用することが多いです。毛穴の出口を広く保つことで、毛穴詰まりを予防・解消しやすくする効果により、初期ニキビである白ニキビや黒ニキビの改善が期待できます。
- 白ニキビなどの初期のニキビから炎症を起こしているニキビまで同時に治療する外用薬
「べピオゲル」「エピデュオゲル」「デュアック配合ゲル」などの、毛穴の詰まり取りながら抗菌作用(菌の増殖を抑える効果)を発揮する「過酸化ベンゾイル(BPO)」という成分を含む薬を使用することが多いです。
- 赤ニキビや黄ニキビなどの炎症のあるニキビに使用する抗菌外用薬
「ダラシンTゲル・ローション」「アクアチムクリーム・ローション」「ゼビアックスローション」などの殺菌・抗菌作用のある抗生物質を含んだ外用薬を使用することが多いです。
皮剥けや赤みなどの副作用が出にくいメリットがありますが、毛穴の詰まり(コメド)を取る成分が含まれていないため、コメド治療と炎症性ニキビを同時に治療する場合は上記のBPOという成分を含む外用薬を併用することもあります。
ニキビの外用薬についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
2021.09.09
内服薬
ニキビ治療での保険で処方される内服薬には抗生物質やビタミン剤、漢方薬などがあります。内服薬は単体で処方されることは少なく、外用薬と併用して処方されることが多いです。処方後は自己判断で服用を中止したり、服用量を変更せずに、医師からの指示通りに服用することがニキビ改善のためには重要です。
- 抗生物質
赤ニキビや黄ニキビなどの炎症が強いニキビがある場合は、ニキビそのものの原因となっているアクネ菌を殺菌する抗生物質の内服薬を処方されることがあります。
抗生物質は、人によっては副作用や長期的に服用し続けると薬剤耐性菌が発生するリスクもあるので、医師と相談しながら治療を進めることが重要です。
- ビタミン剤
過剰な皮脂分泌を抑えながら肌のターンオーバーを整え、ニキビ跡を残しにくくする目的でビタミン剤が処方されるケースもあります。代表的なものは、ビタミンB2、B6、ビタミンCなどがあげられます。
しかし、ビタミン剤の内服だけでニキビの炎症を沈静させることは難しいといわれているので、あくまでもニキビ治療の補佐的な役割として認識するとよいでしょう。
また、皮膚科によってはビタミン剤の処方が自費扱いとなるところもあるため、内服を希望する場合は事前に確認が必要です。
- 漢方薬
皮膚科によっては、長期的にニキビに悩む人などに漢方薬が処方されることもあります。
漢方薬は、ニキビの原因菌を殺菌して炎症を鎮めるというよりも、ニキビそのものができにくい体質への体質改善を図ることが目的とされています。
効果はなだらかに現れて即効性のないことが多いですが、抗生物質のように薬剤耐性菌が発生する心配や身体への負担が少ないといわれています。
面ぽう圧出
コメドや膿をもった黄ニキビの頂点に針で微細な穴を開けて、面ぽう圧出器という器具を用いて毛穴に詰まっている膿や皮脂を取り出し、炎症を早めに沈静させることを目的とした治療です。
なるべく早い段階で毛穴内に詰まった膿や皮脂を取り出すことで、ニキビの重症化を防ぎ、ニキビ跡が残りにくくなるといわれています。
美容皮膚科での自費治療
保険治療だけでニキビの改善が難しい場合は、美容皮膚科での自費治療の併用も有効だと考えられています。
自費治療は、保険治療に比べると高額で、医療機関によっても金額の差がみられるのが特徴です。また、この2つには金額以外にも大きな違いがあります。
【自費治療と保険治療の違い】
自費治療(美容皮膚科) | 保険治療(一般皮膚科) | |
---|---|---|
治療の目的 |
・すでにできているニキビの治療 ・新しいニキビができにくくなるように予防 ・色素沈着や凹凸などのニキビ跡に対する治療も可能 |
・すでにできているニキビの治療 |
治療内容 |
・外用薬・内服薬の処方 ・ピーリングやイオン導入、レーザーなど、肌状態に合わせた治療が可能 |
・外用薬・内服薬の処方 ・面ぽう圧出 |
費用について | ・自費診療のため、高額になる可能性がある | ・保険適応のため、費用面の負担が少ない |
一般皮膚科での保険治療は「今現在できているニキビの治療」となるため、早期にニキビの炎症をおさえる薬の処方がメインとなることが多いです。
一方、美容皮膚科での自費治療は、ニキビを治すのと同時に「ニキビを再発しにくい肌」を目指して進めていくケースがほとんど。治療費は保険治療よりも高くなりがちですが、根本的なニキビ治療が可能なので、しつこいニキビが治らない方は美容皮膚科での治療を検討するとよいかもしれません。
今回は自費治療で受けることができる代表的な3つの施術を紹介しますが、美容皮膚科によって行っている治療は異なります。
医師の診断の下で自分に合う治療を取り入れることが大切です。事前に美容皮膚科のホームページを見て、どのようなニキビ治療を行っているのか確認しておくと良いでしょう。
ケミカルピーリング
肌表面に酸性の薬剤を塗り、毛穴に詰まった皮脂や古くなった角質を剥がれやすくすることで、表皮の新陳代謝(ターンオーバー)や再生を促す治療です。ニキビや炎症後色素沈着(ニキビ跡)の改善だけでなく、毛穴の開きや詰まりの改善にも効果が期待できます。
ピーリング剤に使用される成分は、グリコール酸やクエン酸、乳酸など、様々な種類があります。「ピーリング」と聞くと、肌を剥がすイメージをお持ちの方もいると思いますが、クリニックでは、肌状態に合わせた薬剤と濃度の調整をしつつ治療を行うので、肌への刺激を最小限におさえることが可能です。ピーリング後の肌は外部からの刺激を受けやすく、敏感な状態となりますので、十分な保湿や日焼け対策が重要だといわれています。
料金はクリニックによって異なりますが、平均して5千円〜1万円程度に設定されているところが多いようです。
イオン導入
肌に微弱な電流を流して一時的に肌のバリア機能を緩めて、「ビタミンC」などの塗るだけでは肌に浸透しにくい有効成分を真皮層まで届ける施術です。電気の力を利用したイオン導入では、有効成分を肌に塗布しただけの場合と比べて数十倍の浸透力があるため、外用薬やスキンケアの成分が届きにくい肌深部までアプローチすることが可能といわれています。
イオン導入では、抗菌・抗酸化作用、皮脂分泌抑制作用などの働きがあり、ニキビやニキビ跡の改善が期待できるビタミンCやトラネキサム酸が使用されることが多いです。またイオン導入は、ケミカルピーリングなどの他の施術と併用されることが多いです。
料金相場はおよそ5千円〜1万円、複数の成分を同時に導入する場合はさらに追加料金が発生します。
プラズマシャワー
物質には固体・液体・気体と3つの状態に分けられますが、気体の状態にさらにエネルギーを加え、イオン化した状態の物質が「プラズマ」とよばれています。
このプラズマを肌に照射し、皮膚深部の真皮層の活性化により肌の再生を促す施術がプラズマシャワーです。プラズマシャワーには高い殺菌作用があるといわれていて、ニキビの原因となるアクネ菌の死滅させる効果が期待できます。また「ドラッグデリバリー」という効果により、皮膚細胞を結合している細胞接着分子(CAMs)を一時的に切断し、イオン化できない成分や分子の大きい有効成分を、真皮まで浸透・吸収しやすい状態へ導くことも可能とされているのです。これにより、ニキビやニキビ跡だけでなく、小ジワや毛穴の開きの改善や、肌弾力の向上といった肌質改善効果も期待できるでしょう。
料金相場はプラズマシャワーのみでおよそ1万円〜2万円、美容成分を追加する場合は2〜3万円のオプション代金が追加になることが多いようです。
プラズマシャワー(プラソニック)の治療が受けられる東京都内の美容クリニック一覧
難治性ニキビには「イソトレチノイン」の自費治療を提案されるケースも
皮膚科で処方された外用薬や、抗生物質の内服を医師の指示通りに続けていても治らない難治性のニキビには「イソトレチノイン(ロアキュタン)」という内服薬での治療が提案されることがあります。
イソトレチノインは「ビタミンA誘導体」を含み、「ロアキュタン」という商品名で販売されている内服薬です。ニキビの原因である過剰な皮脂をおさえ、アクネ菌に対する高い抗菌・抗炎症効果が期待できます。
ニキビの炎症が強く、肌に凹凸ができてしまう方や、皮膚科で治療を受けていてもニキビを繰り返すという方が処方の対象です。また、日本国内では未承認薬となっているため、保険適応外の治療となります。
早くて 4〜12週間ほどで肌変化を感じることができるといわれていますが、服用時の禁忌事項や副作用が生じるリスクが多いため、注意が必要になります。
イソトレチノインは「治らないニキビ治療の最終選択肢」とも呼ばれているため、必ず医師の指示にしたがい、必要時のみ内服するよう心がけるとよいでしょう。
ニキビが治らない苦しみにおさらば!
ニキビが治らずに悩んでいる人は多いです。今回の記事では、ニキビの悪化を引き起こす恐れのある行動を6つご紹介しました。
すでに皮膚科や美容皮膚科で治療を受けているのに、なかなかニキビが改善しないようであれば、他の治療の検討や、他の皮膚科へ受診してみる方法も有効だと考えられます。
また、ニキビ治療には保険治療と自費治療があり、治療内容は多岐にわたります。特に自費治療の内容はクリニックによって大きく異なりますので、あらかじめホームページを見てどのような治療を行っているのか確認しておくとよいでしょう。
自分に合う治療を上手く組み合わせることで、早期のニキビ改善が期待できます。