プラズマ治療とは、レーザーでも超音波でもなく、「プラズマ」を照射して肌を美しくする美肌マシンを使って治療です。
“プラズマ”と聞くと家電製品を思い浮かべる方も多いと思いますが、この“プラズマ”技術を美容医療に応用した治療が、肌にやさしくさまざまな肌トラブルに効果が期待できると注目されています。
話題のプラズマ治療を詳しく知るために、治療の概要からメリット・デメリット、効果などを解説します。
プラズマ治療について|美容分野におけるプラズマ治療の概要
美容医療で行われているプラズマ治療とは?
美容医療でのプラズマ治療とは、一体どんなものなのでしょうか。
もともとプラズマ技術は、医療現場(ガン治療など)や家電製品(テレビや空気清浄機など)で利用されていましたが、近年では美容医療分野で肌ダメージが少ない美肌治療を目的として、美容クリニックで取り入れられるようになりました。
美容分野でのプラズマ治療は、以下のような肌悩みを持っている方に効果が期待できるとされています。
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- ニキビやニキビ跡
- 毛穴(角栓や黒ずみ)やテカリ
- シワやたるみ
- シミや肝斑
似たような治療法としてレーザーや光治療が挙げられますが、プラズマは色に対して反応しない特性から、肌表面にダメージをほぼ与えず多角的に肌悩みへとアプローチが可能であるため、肌に優しい美肌治療と言われています。
そもそも“プラズマ”って何?
プラズマとは、気体や液体、固体といった物質ではなく、「第4の形態」と呼ばれるエネルギーのことを指します。
ガスにエネルギーを与えてプラズマ化し、それを肌に直接照射するマシンがプラズマ治療機です。
レーザーや光のようにメラニンやヘモグロビンといった色に反応するのではなく、プラズマエネルギーが持つ強力なパワーによる美肌作用と、細かい電子が皮膚に入り込むことによる殺菌・肌細胞の活性化といった作用が美肌治療に効果的だといわれています。
プラズマ治療の仕組み
プラズマは皮膚内の水分を介して肌の深部へ伝わります。
皮膚表面から表皮、そして真皮へと流れていく中でプラズマの強さが変化し、皮膚の部位ごとに異なる効果をもたらします。
プラズマが持つ特性は以下のとおりです。
殺菌効果
プラズマはその強力なエネルギーで細菌の分子構造を切断し、細胞を死滅させるという作用があります。
皮膚のイオンバランスを整える
老化によって崩れやすいとされている皮膚内部のイオンバランスを整える作用により、皮膚細胞の再生や弾力の向上に繋がります。
スパッタリング効果
肌の表面で電子やイオンが高速移動することで、肌表面に溜まった不要な角質や毛穴づまり、皮脂汚れなどを弾き飛ばす作用があります。
熱作用
肌の奥で熱を発生することで線維芽細胞を刺激してコラーゲンやエラスチンの増生を促します。
ドラッグデリバリー効果
表皮細胞間の結合を一時的に切断することで、皮膚に塗布した薬剤の浸透を飛躍的に向上させます。
プラズマ治療で期待できる効果6選
では、プラズマを肌に照射することで、どのような効果が期待できるのでしょうか。
プラズマは皮膚の各層でさまざまな働きをするため、各層別にその効果を解説していきます。
角質層〜表皮で期待できる効果
ニキビや肌荒れ改善
プラズマには優れた殺菌力と抗炎症作用があるといわれており、ニキビの原因であるアクネ菌や肌荒れやアトピー性皮膚炎の症状悪化の原因となる黄色ブドウ球菌を殺菌する作用があります。
これにより、赤ニキビや白ニキビに加え、繰り返しできてしまう難治性ニキビにも効果が期待でき、ニキビの根本治療を目指す人に適した治療だといわれているのです。
また、殺菌とともに、肌への刺激が少なく、炎症を抑える作用も期待できることから、アトピー性皮膚炎の症状改善にも使用されることが増えています。
毛穴の黒ずみの改善
プラズマには肌と異物との結合を離して、汚れを吸着するという性質があるため、余分な角質や毛穴に詰まった角栓の除去も期待できます。
ピーリング後のようなツルツル感が実感できるといわれています。
美白・美肌効果
プラズマの作用の一つであるスパッタリング現象(弾き飛ばす)で、くすみの原因となる古い角質や汚れを取り除く効果が期待できます。
それによりくすみを改善して、美白肌へと導くとされています。
薬剤や美容成分の浸透促進(ドラッグデリバリー効果)
プラズマ治療で最も期待されている効果の一つが有効成分を肌の奥まで届けることのできるドラッグデリバリー効果です。
これはプラズマを照射すると皮膚細胞を接合している接着分子を一時的に切り離されるという作用によるもので、この作用によって細胞間に有効成分の通り道ができ成分の浸透が飛躍的にアップするといわれています。
導入する成分によって多様な効果が期待できるため、ニキビ、美白、ハリ、シワ等さまざまな肌悩みへの対応が可能だとされています。
真皮で期待できる効果
肌のハリや弾力の向上
プラズマが真皮まで到達して線維芽細胞を刺激することで、コラーゲンやエラスチンの増生が促され、肌のハリや弾力が向上すると言われています。
シワや毛穴開きの改善
肌内部のイオンバランスを整えることで、肌全体の引き締め効果やシワ、小ジワ改善も期待できます。
プラズマ治療のメリット・デメリット
メリット
ダウンタイムや痛みがほぼない
照射はほんのり温かさを感じる程度で痛みはほぼないといわれています。照射後、肌に赤みや腫れがでることがあっても数時間で落ち着くのが一般的なようです。
薬剤の浸透率が上がるため、薬剤導入を併用することで相乗効果が期待できる
希望する効果にあった薬剤を選択することで、より高い効果が期待できます。
美白効果の高いトラネキサム酸、保湿アップ目的のヒアルロン酸、肌再生による効果が見込める成長因子カクテルなどがよく使われているようです。
目周りにも使用可能
皮膚の薄い目の周りや上まぶたにも照射ができるため、目周りのシワやたるみといった症状にも効果が期待できます。
色黒肌でも照射可能
プラズマはレーザーや光のようにメラニンやヘモグロビンといった色に吸収されるエネルギーではないので、色黒の肌への照射も可能とされています。
デメリット
効果を実感するまで複数回の治療が必要
肌への負担が少なくマイルドな治療となるため、複数回の治療で効果を実感する方が多いようです。
稀に赤みや腫れ、かさぶたなどが出ることがある
照射部位によってはプラズマが強く反応してしまうことが稀にあるようで、強い熱感を感じたり、照射部位にかさぶたができたりといったリスクもありえます。
このため、大事な予定の前に受けるのは控えたほうが良いでしょう。
術後1時間程度メイクができない
プラズマ照射によって皮膚にあらゆる成分が浸透しやすい状態となっているため、通常のスキンケア製品やメイクは術後30分〜1時間程度は控える必要があります。
日焼け止めなども塗布できないため、クリニックで時間が経つのを待てるかといった対策を事前に相談しておくことをおすすめします。
プラズマ治療機器の種類
プラズマ治療機器にはイギリス製の「NeoGen(ネオジェン)」と韓国製の「プラズマbp」があります。
NeoGen(イギリス ENERGIST社製)
NeoGenはアメリカのFAD(食品医薬品局)に承認を受けているため、安全性や有用性の面において信頼性があるといえるでしょう。
NeoGenには、大気中の窒素をプラズマ化する技術が搭載されています。
それではここで、NeoGenシリーズの3機種をご紹介します。3機種は、主に出力の高さが異なっています。
PSR(初代)
フラクショナルレーザーの代替えとして、ダウンタイムや炎症の少ない治療目的で開発されました。
海外向け機器は高いエネルギー照射しかできませんが、日本向け機器は出力が調整できる仕様に改良されています。
SPA
日本に初めて導入された機器です。痛みやダウンタイムのない治療を目的に、低い出力での照射のみ可能となっています。
EVO
PSRの日本向け機器のみが出力調整可能でしたが、世界向けにも出力調整の需要が発生し、登場しました。
※日本向け機器に関しては、PSRとEVOは同等の内容となります。
プラズマbt(韓国 Seoulin Medicare社製 )
MFDS(韓国食品医薬品安全処)の承認を受けている機器です。
プラズマbtを使用した治療は「プラズマシャワー」と呼ばれ、NeoGenより効果はマイルドで、施術後にブラウンチェンジと呼ばれるかさぶたができにくいと言われています。
プラズマ治療のドラッグデリバリー効果で期待できる効果は?
前述した「ドラッグデリバリー効果」で使用される成分や期待できる効果、費用相場などについてまとめました。
ドラッグデリバリー効果は特に窒素を利用したプラズマ照射の方が、他の気体に比べ薬剤の浸透率が格段に上がると言われています。
薬剤(有効成分) | 期待できる効果 | 費用相場 |
---|---|---|
トラネキサム酸、グルタチオン | 美白 | 3,000~5,000円程度 |
ヒアルロン酸 | 保湿 | 5,000~6,000円程度 |
ビタミンC |
シミ・ニキビ・透明感 ターンオーバー |
3,000円程度 |
ボツリヌストキシン (マイクロボトックス) |
シワ・たるみ・毛穴 テカリ抑制 |
5,000~15,000円程度 ※薬剤による |
成長因子(サイトカイン) | エイジングケア・ハリ・肌質改善 | 10,000~15,000円程度 |
※費用相場は、顔全体に塗布する場合を想定
より高い美肌効果を求める方は、プラズマ治療と薬剤導入の併用を検討すると良いでしょう。
プラズマ治療のココがすごい!他の治療法との比較
レーザー・光治療
レーザーや光治療は、メラニン色素やヘモグロビンに反応するため、シミや赤ら顔の改善使用される治療法です。
デメリットとしては、レーザーや光治療はその高い熱作用により皮膚表面にダメージを与えてしまうことがあり、ダウンタイムや色素沈着のリスクが懸念されます。
プラズマ治療は肌ダメージが少なくダウンタイムや痛みもほぼないとされ、安全性や美肌効果の高さがメリットと言えるでしょう。
2023.06.15
イオン導入
イオン導入は皮膚に微弱の電流を流し、塗るだけでは届かない肌の深層まで薬剤の有効成分を届けることが可能です。
しかしながら、イオン化されない成分や分子量が大きい成分(コラーゲンやヒアルロン酸など)は使用できないため、使える薬剤がご自身の肌悩みに合っているか事前に確認する必要があります。
エレクトロポレーション
エレクトロポレーションは、電気パルスを使用し細胞間の隙間を一時的に広めて薬剤の有効成分を浸透させていきます。
イオン導入よりも肌への負担が少なく、分子サイズ問わず薬剤を使用可能です。
また、美容成分の浸透率はイオン導入に比べ約20倍とも言われており、様々な肌トラブルに有効とされています。
エレクトロポレーションは薬剤導入のみの効果ですが、プラズマ治療は単体での効果に加え、薬剤導入効果の相乗効果が期待できます。
水光注射 / ダーマペン
水光注射もダーマペンも、針を使用しています。
どちらも針で肌に微細な穴を空け、薬剤を肌の深部へ浸透させたり、傷つけた肌を修復する治癒力を利用したりすることで肌トラブルや肌質改善を目指す治療法です。
ニキビに関しては、水光注射やダーマペンはニキビ跡に有効とされていますが、プラズマ治療はアクティブニキビへの効果も期待できるとされています。
プラズマ治療について知るべき施術概要
それでは、治療を受ける際の流れを確認しましょう。
適応部位
顔全体
施術時間
顔全体で10~15分程度
※薬剤導入の場合、プラス10分程度
豆知識
施術前に保湿や皮脂詰まりを取り除く施術(ハイドラフェイシャルやケミカルピーリングなど)を行うと、より高い効果が見込めるようです。
治療間隔
3週間~1ヶ月間隔、3~5回程度
※効果を実感するまで複数回の施術が必要とされています。
費用相場
2万~4万/回程度
リスク・副作用
ハイパワー出力の場合、赤みやブラウンチェンジといわれるかさぶたができることがあります。※ブラウンチェンジは1週間程度で自然に剥がれ落ちるといわれています。
ダウンタイム
ほぼなしと言われています。
注意点
- 施術後1時間程度はスキンケアやメイクは不可(一時的に細胞間に隙間が空くため)
- 紫外線対策をしっかり行い、肌に刺激を与えないようにする
施術を受けられない人
- 妊娠している方、外傷のある方
プラズマ治療は肌ダメージが少ない美肌治療
プラズマ治療はプラズマの特性を活かし、肌へのダメージを最小限に抑えながらさまざまな美肌効果が期待できる画期的な治療法です。
また、薬剤を肌の奥まで浸透させることによるドラッグデリバリー効果で多様な効果が期待できるといった特徴があります。
レーザーや光治療を試したけれど効果があまり感じられなかった方や、ダウンタイムを気にせず美肌を目指したいという方は、プラズマ治療を試してみてはいかがでしょうか。