漢方ダイエットが気になる方に向けて、3つのタイプの分け方、漢方薬の選び方についてご紹介します。
ダイエットの考え方
ダイエットの「第一選択」は摂取カロリーや糖質を減らす食事療法になるでしょう。
なぜなら、食事から摂取した「カロリー」や「糖質」は脂肪に形を変えて、体に蓄積されるため、カロリーや糖質を減らすことができれば、脂肪の蓄積を防げるからです。
また、カロリーや糖質が不足すると、体に蓄積された脂肪が分解されて、その脂肪がエネルギーに変わります。「カロリー制限」や「糖質制限」によって、脂肪が減少していくことが期待できます。
「第二選択」は運動療法です。
運動といっても、ジョギングやウォーキングなどの「有酸素運動」と、「筋トレ」では期待できる効果は異なります。
有酸素運動 |
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筋トレ |
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有酸素運動は、運動をしている時だけ脂肪が燃焼すると言われています。脂肪を燃焼するためには、1時間近く動く必要があるので注意が必要です。
一方、筋トレは、筋トレをしている時に脂肪の燃焼を期待するというよりも、筋トレによって筋肉がつくと「基礎代謝が上がる」というイメージです。継続することで、何もしていなくてもカロリーを消費してくれる体質を目指せるでしょう。
2021.02.22
2021.02.24
食事療法や運動療法の継続が大変と感じる人には、「漢方療法」という選択肢も
漢方療法のメリットは、「体質にあわせた」オーダーメイド処方ができるといった点が挙げられます。
漢方療法の考え方は、人の体質を「気・血・水」というの「3つのタイプ」に分けて、そのタイプにあった漢方薬を処方することで、「体質から改善していく」ものになります。
気・血・水とは?
気・血・水とは身体のバランスを整える三本の柱というイメージです。
三本の柱がしっかりと支えていると体は健康な状態ですが、どれか1つでも折れてしまうと、バランスが崩れて、病気や体調不良になると言われています。
漢方の世界では、どの柱が強くて、どの柱が弱いのかで「体質」を決めて、その体質にあった漢方薬を処方するそうです。
①気
体の活力や生命エネルギーといった目に見えないパワーで人を支える原動力のようなものです。
気が不足すると心身のバランスが崩れて不調になり、イライラや情緒不安定、「新陳代謝の低下」に繋がると言われています。
傾向
- ストレスに弱い
- ストレスが原因で自律神経の乱れや、代謝が落ちることにより、体内に余分なものを溜め込みやすい
- イライラや不安により食べ過ぎてしまい、ストレス太りを起こすことも
②血
主に血液のことを指し、全身の組織に酸素や栄養を運び、体内の機能調整や老廃物の排泄などの役割を果たします
血が不足したり流れが悪くなったりすると、貧血、肩こり、冷え、便秘、肥満などの原因になると言われています。
傾向
- 血液の巡りが悪くなり、代謝が落ちていくと、余分なものが体内に蓄積しやすくなる
- 便秘がち
- 暴飲暴食に走ることも
- 下腹部周辺に脂肪がつきやすく、ぽっこりお腹になりやすいと言われている
③水
汗やリンパ液、尿など血液以外の体液や分泌液のことを指します。
水は、水分の代謝や免疫力を高めるなど体を守るために大切な働きをします。水の流れが滞ると、免疫力の低下、冷えや肌のたるみの原因になると言われています。
傾向
- 水分の巡りが滞りやすく、代謝が悪く不要なものを溜め込みやすい(水太り)
- ぽっちゃり体型になりやすい
気・血・水のどれかが不足したり、流れが悪くなったりすることで、肥満にも繋がることもあり得ます。まずはご自身がどのタイプなのかを診断してもらうと良いでしょう。そして、ご自身のタイプにあった漢方薬を飲むことが大切です。
タイプ別の漢方薬
気タイプ:大柴胡湯(だいさいことう)
画像引用元:https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/008.html
気タイプの人は、ストレスによってイライラを抱えている場合が多く、そのイライラを解消するために、つい食べ過ぎることも。理由は、食べることで(特に糖質を)脳内から幸せホルモンと言われるドーパミンが分泌されて、落ち着きを取り戻すから、と言われています。
大柴胡湯は、気の巡りが良くなり、イライラの解消が期待できると言われています。結果的に、食べ過ぎを抑えることが期待できるでしょう。
■その他に期待できること
- 気の流れをよくして、代謝を促すことで、脂肪燃焼効果を高める
- 腸の働きも整え、便秘の悩みを改善へと導く
血タイプ:防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
画像引用元:https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/062.html
血タイプは、代謝に大切な血の巡りが滞りやすいため、余分なものを排泄する働きが落ちやすい、と言われています。そんな血タイプの方には防風通聖散。それらの悩みの解消が期待されます。
■その他に期待できること
- 体に溜まった脂肪の燃焼を促す
- 特に皮下脂肪の多い肥満症の改善
- 便秘の解消
水タイプ:防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
画像引用元:https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/020.html
防已黄耆湯を服用することで、水の流れがよくなり、水太りやむくみの悩み解消が期待できます。
■その他に期待できること
- 脂肪の燃焼を促す
- 胃腸の働きを助け、食べたものを早くエネルギーに変える
漢方薬にも注意点が
漢方薬は体に優しくて、副作用がないと思われている方もいると思いますが、少なからず副作用はあります。例えば、先に挙げた3つの漢方薬には、かゆみ、発赤、発疹などの皮膚症状や、下痢や腹痛の報告もあるようです。安易に自己判断をせず、専門の医師に相談した上で、検討しましょう。
2020.10.23
2020.12.14
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この記事を書いたのは
- 宮田哲朗
- ㈱UTP 学術部部長 3,000件以上のクリニック、エステティックサロンに携わった経験を元に、化粧品やサプリメントなどをプロデュースし、数々のヒット商品を手掛ける。 著書に「美肌作りの3分ルール」、「プロのための美肌メソッド」