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美容手術直前のキャンセルで返金はどうなるのか、美容手術費200万円返金の和解の経緯、国民生活センターが公表

カレンダー2026.4.10 フォルダー 国内

 脂肪注入豊胸の手術費の返金を求め、最終的に200万円の返金で和解する事例が明らかになった。

 国民生活センターが2026年3月に公表したもの。

 

当日の説明で施術契約へ

豊胸を希望するも不信感でキャンセル。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

豊胸を希望するも不信感でキャンセル。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • SNS広告では約15万円のモニター施術とされていたが、来院後に約220万円の契約を結んだ。
  • 脂肪吸引の部位追加やシリコンバッグ併用の「ハイブリッド豊胸」が必要と説明された。
  • 術前検査や説明内容に不安を抱いたAさんは、施術直前にキャンセルと返金を求めた。

 国民生活センターでは、裁判とは異なる形で、和解の仲介や仲裁といった「ADR(裁判外紛争解決手続)」と呼ばれる方法でトラブルの解決に取り組んでいる。こうした手続きで対応されたケースのうち、他の人々にも役立つ事例については定期的に公表している。

 美容医療に関わるトラブルも複数公表されてきた。契約については、広告で見た条件と実際の説明内容に差があったり、施術直前になって不安が生じたりすることで、トラブルに発展することがある。

 今回の事例の申請人(Aさん)は、2024年12月にSNS上で見た「脂肪注入豊胸手術がモニター価格約15万円で受けられる」とする広告をきっかけに、クリニックへ問い合わせたという。

 SNSに掲載されていた施術例を参考に、カウンセリング当日に手術が可能かどうかや施術代金を確認し、予約を入れたという。

 Aさんは2025年1月下旬に来院し、当初は2カ所からの脂肪吸引を希望したが、担当医師からは4カ所からの脂肪吸引が必要で、理想の形にするには脂肪注入だけでなくシリコンバッグを併用する「ハイブリッド豊胸」が望ましいと説明された。

 シリコンバッグの大きさは360ccから400cc程度とされ、メンテナンスについて不安を伝えたところ、「技術が進歩しているので生涯変えなくてよい」「メンテナンスは不要」との説明を受けたとAさんはいう。

 施術代金は、もともと約327万円とされていたところ、キャンペーン適用で約107万円が減額され、総額は約220万円になった。申請人はこの説明を受けて契約書面や誓約書などに署名し、約62万円を現金で、約158万円をクレジットカードで支払った。ただし、契約書面の読み合わせはなかったとしている。

 手術前に別室で待機していた際、Aさんは、全身麻酔を行うにもかかわらず血液検査などがないことに不安を覚えた。そこで、友人や知人の美容外科医に相談した。

 Aさんはいったんクリニックの外に出た際に、スタッフからは「手術をキャンセルする場合は半額返金になる」と伝えられたという。

 その上で、Aさんは連絡した医師から、術前リスク評価や休薬指示がなく不適切であること、カウンセリング当日の手術はありえず、メンテナンスが不要とされた説明も虚偽ではないかなどと聞かされた。これによりクリニックへの不信感を強めたという。

 その後、再訪したAさんはキャンセルと返金を求めた。しかし、クリニックは手術準備は既に始まっており、備品や消耗品を開封しているとして契約金の返金はできないと回答した。

返金ゼロは問題と指摘

返金で和解。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

返金で和解。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • Aさんは説明不足や安全面への不信を訴え、少なくとも約200万円の返金を求めた。
  • 仲介委員は、診療契約は準委任契約であり、中途解約で一切返金しないのは問題があると指摘した。
  • 費用の内訳提示を求めた上で、最終的にクリニック側が200万円を返金する内容で和解した。

 仲介手続では、Aさんは麻酔についての細かな説明がなく、血液検査もないまま手術部位にマーキングされそうになったことから不信感を抱いたと説明。さらに、シリコンバッグ自体も提示されておらず、合併症や感染症の可能性についての説明もなかったと述べ、少なくとも約200万円は返金してほしいと求めた。

 一方のクリニックは、麻酔だけを独立させた同意書はないが、他の施術内容とまとめて同意書を作成していたと説明。「予定していたのは全身麻酔ではなく静脈麻酔」とも述べたという。

 加えて、マーキングのため施術室を使用し、点滴準備や物品開封も済んでおり、一定の損害が発生していることについて理解を求めた。

 仲介委員は、診療契約について、法律に基づき、準委任契約であるため、中途解約の場合に一切返金しないことには問題があり、返金額を減らす場合には、「何にいくらかかったのか」をクリニック側が示す必要があるなどと説明した。

 仲介委員は、訴訟になれば費用も労力もかかること、また手続きが非公開であることも踏まえ、クリニックに対して200万円の返金による和解を提案。クリニックは当初、個別物品の料金は企業秘密で、提出は難しいとしたが、最終的に仲介委員の提案を受け入れ、200万円の返金となった。

 今回の事例からは、広告で見た価格と実際に提案される施術内容や費用に大きな開きが生じる場合があることがうかがえる。施術を受ける際には慎重な検討をしなければ、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があり、注意が必要だ。

参考文献

国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(令和7年度第4回)
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260325_3.html

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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