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看護師覆面座談会vol.6 「その施術本当に大丈夫?医療関係者は絶対にやらない 怪しい施術I」

カレンダー2023.9.22 フォルダー連載・コラム

 美容医療を安心して受けるために、ベテラン看護師3名に覆面で美容業界の実態について教えてもらうこの座談会。第6回は、「これ大丈夫?」という怪しい施術、手技で結果に差の出やすい施術について語ってもらった。

──NMN(β-ニコチンアミドモノヌクレオチド)点滴、エクソソーム点滴など、「いいよ」という先生がいる一方で、「おすすめしない」という先生がいる施術もある。そういうものは正直、怖い。看護師間で、「効果が怪しいのでは?」という認識を持つ施術はあるか?

看護師B:「怖い」「怪しいな」という感覚は大事にしてもらったほうが良いです。エクソソームは歴史が浅いです。最先端と捉えることもできますが、クリニックで提供はしていても、あまり理解できておらず、間違った知識で宣伝したり、おすすめしたりしている先生も多くいらっしゃいます。

──早い、最先端ということにはメリットだけではなく、実験的に使い始めたばかりという点では懸念要素も多い。なぜ、日本国内では早い段階で施術を開始できたのか。

看護師B:懸念要素が全くないわけありませんが、根拠にもとづいた論文やデータをそろえた上で、実際に使用を試みた時に、法的に認められており、環境的に試しやすいのが日本なのでしょう。日本は、再生医療法があり、再生医療計画書を提出して、その内容に沿って治療を行う、ということが定められています。許可が下りたところは、提供を開始できるようです。

※再生医療法、再生医療計画書の正式名称は、それぞれ再生医療等の安全性の確保等に関する法律および再生医療等提供計画という。

 海外だと、宗教上の問題などもあり大々的にできないそうで、みんな密かに、医師の裁量で個人のクリニックやホテルの1室でやっていると聞くことがあります。

──国内にわざわざ治療に来られるのも、そのようなお国柄という事情もあるということ。 実際に打たれると、疲労回復など効果は感じる?

看護師B:人によってですが、健康な若い方は効果がわかりにくいです。神経系のリウマチやパーキンソン、認知症の方などご年配の方が治療を受けると効果を実感しやすいです。

 そもそも、健康な人は、境遇やライフスタイル全てが違うため、正確なデータを把握することは難しいんです。そのため、健康な方への効果は体感での話になってしまい「これは良い!」とは言いづらいのが現状です。

──どのように、知識を持つ先生を知ることができるのか。

看護師B:まだ法を整備している最中の分野でもあるため、「怖い」という感覚は大切に慎重にすべきです。

 法律で整備されていないのをいいことに、業者A社は「うちは1億個あります」、B社は「10億個あります」と宣伝してします。会社が作ったデータで営業するので。それが事実か判断しようがない。そこが怖いです。

 どこの業者の言葉を信じ、どのエクソソームを仕入れるかは、先生たち次第なところがあります。

 納得が行くまで、きちんと説明してくれる先生が安心です。納得がいった上で仕入れている先生は、納得のいく説明をしてくれるはずです。1時間でも30分でも。

 まず、そもそもどういうものなのか、どういうリスクがあるのか。幹細胞治療と培養上清の違いは何なのか?など。混同されていますが、全然違います。

看護師C:説明を怠る先生は、やめた方が良いですよね。

──カウンセリング時間が5分であったり、短時間しか話をしなかったりするところは医療事故が多いという話もあった。納得がいくまで話を聞くことは事故回避にも必須か。

参考文献:看護師覆面座談会3

看護師B:そうですね。あとは、資格を持っているかを確認してください。再生医療専門の先生の資格があるんです。

※日本再生医療学会の再生医療認定医や臨床培養士という資格がある。

 「何億個」という数字は、コーディネーターや業者側は、数がわかりやすい指標だから、売り文句で言っているだけで、「質のいいものが1億個きちんと入っているんですか?」と聞くと、そうでないこともあります。

看護師C:点滴で体内に入れるわけですから、疑問点はしっかり聞き、慎重に検討すべきですよね。

──少しでも疑問を抱いたら臆せず聞く。なるほど。

話は変わりますが、HIFU(以下ハイフ)はどうでしょう。照射する方法で効果も変わってくると聞くが。

看護師A:ハイフは打ち方で効果が変わります。

※ハイフの照射は、照射回数について「ショット」、照射について「打つ」という。

 今「ハイフ」で調べると、「ハイフ こける」など出てくると思うんですが、ハイフで効果が期待できるのは真皮層のボリュームコントロールと、筋膜と皮下組織(指示靱帯や皮下脂肪など)の引き締めです。それを正しく行うためには、解剖生理の理解と症例研修が必要です。しかし、ハイフの知名度が上がったことで、その教育が十分ではないままに施術が広まっています。症例を出していないクリニックがほとんどですが、症例を確認してから行くほうが安心です。

 ハイフは、実は結果が出にくい施術です。ハイフという名だけで世に知れわたり、これだけの知名度ですから、それなりに施術を受けにくる方が増えています。ですが、クリニックの問題があると考えられ、実際本当にきちんと打てているのは、一部です。

 ハイフの講師、講習をしていますが、看護師歴10年という経験がある方に指導したこともありますが、きちんと打てていないのです。打てていない、という自覚があるから、講習を受けに来て、「頑張ろう」という気持ちを持っていることは素晴らしいことだと思うんです。しかし、看護師10年目でも、正確には打てない。そのぐらい奥が深くて、難しい施術だということです。

──何が一番誤っているケースが多いのか。

看護師A:アセスメントです。たるみの原因を、お肌を見て分析できていない。分析できて初めてデザインができて出力と深さを決めて打てるんですが、そこを誤っているから効果的な打ち方ができないのです。

※ハイフの照射の深さ、強度、範囲が適切でない場合、効果が出ない場合がある。

参考文献:HIFU(ハイフ)の安全性と問題点を理解する、東海大学形成外科教授の河野太郎氏に聞く

誰でも打てるような、機械操作のための業者マニュアルがあるので、何となく、ただそれに沿ってやっているだけです。全員が同じレベルの手技で、同じように打ってくれるクリニックを求めているお客さんもいらっしゃるので、それが悪いというわけではないです。しかし、現実として「打ち直してほしい」というお客様がいるということは、手技で差が出るということです。

──ハイフの手技の差は、一回照射してもらうまで分からないのか。

看護師A:私は、SNSで症例と打ち方のアセスメントを発信しています。100%に近いぐらいハイフは指名をいただいて、施術をしています。クリニックを価格や著名度で選んでしまうと、失敗しがちです。症例をたくさん見た上で決めるほうが安全です。ハイフの修正依頼、とても多いです。

──ハイフの修正依頼はどんな内容か?

看護師A:フェイスラインは立体感がないのに、頬だけ打たれすぎたせいでせりだしている状態の時は、頬は打たずに、フェイスラインを引き締めるような打ち方をします。

──そういうバランスまで細かく見るクリニック、あまりない。

看護師A:ハイフは、奥が深いです。私が行うハイフの3分の1は修正施術です。ただ打つのではなく、どのくらいの強さで、どこを打つべきか。見極めて判断し、一人一人が納得のいく仕上がりにしていきたいので、そこは極めていきたいです。

協力看護師 略歴 ※写真はイメージ画像です

看護師A

看護師A
美容看護師歴17年。大手美容外科に10年勤務した後、都内にあるクリニックで立ち上げから携わり、看護部長を務めている。

看護師B

看護師B
美容看護師歴20年。複数の美容クリニックの立ち上げに携わり、都内で3つのクリニックを掛け持ちしている。

看護師C

看護師C
美容看護師歴15年。美容皮膚科(外科)に6年勤務した後、都内の美容クリニックで看護部長を務めている。

(写真/Adobe Stock)

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Author

山田 千穂

山田 千穂

2013年から週刊誌の記者として、芸能、事件、健康、美容など幅広いテーマを担当。元保育園栄養士で2児の母。子供の食事、妊婦の栄養を得意とする。妊娠で18キロ太るも、産後2ヶ月で-18キロ、ウエスト58センチに。現在もキープ中。

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