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看護師覆面座談会vol.9 「タレントやモデルに人気な美容施術と困ったお客さまの実態」

カレンダー2023.10.18 フォルダー連載・コラム

 美容医療を安心して受けるために、ベテラン看護師3名に覆面で美容業界の実態について教えてもらうこの座談会。第9回は、タレントやモデルなど、著名人に人気な施術と、困った利用者について語ってもらった。

──傾向としてテレビに出演される方、モデル、インスタグラマーの方に人気な施術は何か。

看護師B:「思い切り全体を整形します!」という方は少ないです。

看護師A:そうですね。メンテナンスで来られる方が多いです。みなさん、もう十分にお綺麗なので、皮膚科でボトックスや高周波、レーザーを打つなど、定期的な施術をこまめにしています。

──大掛かりな施術をされる方は少ない?

看護師C:いるにはいますよ。そういう方は当たり前に美容皮膚科はやっています。

 外科手術でしか効果を得られないものは、リスクを承知の上でやられる方もいます。

看護師A:ある女優さんですが、顎の骨を切ったのかなと思いました。だいぶ顔が変わりました。

 ただ、基本的にテレビに出てしまうと、大きく変化がある施術はしづらいですよね。アンチエイジングでメンテナンス、という方が多く、うちのクリニックですと、美容家の方がピーリングに高頻度でいらっしゃいます。

──高頻度とは?例えばワンシーズンに一回くらい?

看護師A:月一回ペースです。

看護師B:大事なイベント前などは、月2回来られたり、イベント前は直前に来られます。

──イベントって例えばドラマ撮影など?

看護師B:先日は、試写会前に来られた方がいらっしゃいました。

看護師A:ドラマ撮影中は来られないです。「ドラマが始まるから、その前にメンテしておきたい」と言って、クランクインする前に来られます。

看護師B:ダウンタイムも考慮して。慎重な方が多いです。

看護師A:分かります。

看護師B:スケジュールが決まっているので、「ここまでには腫れが引いていてほしい、大丈夫ですか?」と、細かく確認されます。有名な方ほど、長期のお休みは取れないので、優しめの施術をこまめに行っています。

──ピーリング、点滴、ハイフ、高周波レーザーなど?

看護師A:その辺りが鉄板ですね。あとは、ボトックスをメンテナンスで。4カ月に一度、計画的にきちっと行っています。一般の方と変わらない内容ですが、長く続けてコンスタントに来ているスタイルです。

──少し前、テレビに出ている方が「白玉点滴をやっています」と話していたのをよく聞いた。実際はどうか?

※白玉点滴とは、グルタチオンという成分を含む美容目的の点滴。

看護師A:「白玉」というキャッチーなフレーズで。流行りましたけど、継続してやっている方は、私が知る限りでは周りにいないです。いますか?

看護師B:医療関係者には、「エビデンスを考慮すると、どうなの?」と疑問視している人も多く、やられている方はいません。一般の方には「白玉点滴イコール美白」のイメージが浸透しているようです。何かと「白玉点滴ありますか」と聞かれる時期はありました。

 わかりやすいネーミングですよね。「白玉点滴と同様の効果が得られる点滴がありますよ」と伝えるんですが、白玉点滴があるのか、ないのかで判断する人もいます。こちらとしては「トラネキサム酸のほうが良いのに」と思い、お伝えすることもあるんですが、流行っていた当時は、聞く耳を持ってくれませんでした。

看護師A:名前がずるいですよね。「白玉」と聞くと、すぐに白くなりそうなイメージを持ちやすいです。

看護師C:静脈内から入れるため、効果を得やすいという点はありますが、その一回をして、「真っ白!」とはならないですよ。頻繁に打ち、継続することで徐々に白くなっていくんですが、そんなに来院することは難しいですよね。ですから、本当に効果が欲しければ、継続しやすい内服の方が現実的です。

──内服はビタミン類?

看護師C:グルタチオン、トラネキサム酸(商品名トランサミン)などです。吸収過程は異なりますが、点滴に入れたからって即急激に真っ白、ということにはなりません。

──継続が必須とのこと。どのくらいの頻度でやる必要があるのか?

看護師B:2週間に1回程度を、10回、15回くらい点滴すると、効果を実感できます。

 皆さん「美白」と聞くと、皮膚の色が漂白するように白くなる、というイメージをお持ちのようですが、自分の元の肌色以上に白くなることは難しいです。

──真っ白になるイメージを持っていた。

看護師C:「白玉」と聞くと、漠然と白玉のように真っ白になることをイメージされている方が多いですが、体内に入った薬の濃度をずっと保っておかないと意味がないので。そんな頻度で点滴はできないですよね。

──飲み薬は毎日か。

看護師C:はい。毎日の服薬で、ある程度薬品の濃度を保つことは可能だと思います。

──世間で持つ術後イメージと、実際の効能が異なる施術もありそう。

看護師A:名前が世間に与える印象と現実での効果の違いというのは、美容医療業界で課題を抱える部分にはなりますね。

──名前に引っ張られて、白玉点滴を打ってしまう方が多い中で、実際「いや、こっちのほうがいいよ、効果があるよ」というものは何か。

看護師B:高濃度ビタミン点滴は美白に効果てきめんですし、免疫力も高まります。

看護師A:免疫を高めたい!という方たちの中で人気がありますよね、高濃度ビタミン系の点滴は。若い子というより、ビジネスマンの方が元気を保つために打つイメージがありますが、もちろん美白効果も期待できます。

看護師C:あと、プラセボ的な効果もありますよね。

看護師A:あります。

看護師C:「この点滴をしたから、よし!頑張れるぞ!」という。それも効果の一つですよね。効果というものは測れない部分がある。そこが難しいところですね。

──なるほど。プラセボ効果も重要な効果ですね。

 今まで、困った利用者はいたか。

看護師A:身体へのダメージも考慮し「これ以上はしない方がいいですよ」と伝えても「もっと(目頭)切ってよ」という強引な方とか……。

看護師C:わかります。いますよね、そういう方。うちも「しびれが出てもいいから、顔小さくなるように脂肪をとってください」という方がいました。

──それはどうする?

看護師C:切らないですね。

──良心的。「しびれても、利益になるのならやっちゃえ」という、クリニックもあるのでは。

看護師C:あるかもしれませんね。「目を大きくしたい」と来たお客さまに「もう無理だよ」と伝えましたが、どうしてもやりたかったようで、やってくれるクリニックを探したようです。

──そういう方たちは、どうなるのか。最終的に強い後遺症のようなものが強く残るまでやり続けのか。

看護師A:確かに。醜形恐怖症なところがあるんですよね。

看護師B:手を洗っても洗っても「汚いんじゃないか」と洗い続ける人のような感覚ですね。

看護師C:少しの左右差も許せないという方、いますよね。

──それはもう、美容医療機関ではなく心療内科へ行かないと。その辺も伝える?

看護師A:伝えるが、理解できる人はほとんどいないです。希望を聞いてくれないクリニックとして見られ、口コミに変なことを書かれます。

 しかし、それ以上にその人の施術をやらない方がいいと思うので、やらないです。

──安全性を考慮の上、要望に添えない時や平常心でない人の受け入れは、そのように断っていただいたほうが良心的。

 「人気だから」「流行っているから受けたい」ではなく、本当に必要な美容医療を、信頼できるクリニックで、安心して取り入れていけるよう、自分の心と向き合う必要がないか?今一度考えてみても良いかもしれない。

協力看護師 略歴 ※写真はイメージ画像です

看護師A

看護師A
美容看護師歴17年。大手美容外科に10年勤務した後、都内にあるクリニックで立ち上げから携わり、看護部長を務めている。

看護師B

看護師B
美容看護師歴20年。複数の美容クリニックの立ち上げに携わり、都内で3つのクリニックを掛け持ちしている。

看護師C

看護師C
美容看護師歴15年。美容皮膚科(外科)に6年勤務した後、都内の美容クリニックで看護部長を務めている。

(写真/Adobe Stock)

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Author

山田 千穂

山田 千穂

2013年から週刊誌の記者として、芸能、事件、健康、美容など幅広いテーマを担当。元保育園栄養士で2児の母。子供の食事、妊婦の栄養を得意とする。妊娠で18キロ太るも、産後2ヶ月で-18キロ、ウエスト58センチに。現在もキープ中。

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