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看護師覆面座談会vol.7 「その施術本当に大丈夫?医療関係者は絶対にやらない 怪しい施術II」

カレンダー2023.10.2 フォルダー連載・コラム

 美容医療を安心して受けるために、ベテラン看護師3名に覆面で美容業界の実態について教えてもらうこの座談会。第7回は、「これ大丈夫?」という怪しい施術について、第6回に引き続き語ってもらった。

──「これ怪しいのでは?」と疑っている施術はある?

看護師B:「線維芽細胞増殖因子(FGF、フィブラストスプレー)、成長因子を直接打ちます」というのは、危険だと思います。

 そもそも、昔からある再生医療のクリニックのHPに、「線維芽細胞には幹細胞が入っています」と記載がされているのを見たことがありますが、根拠が十分ではありません。宣伝の情報などにも影響されて、再生医療の分野についてはよくわかっていない先生も多くいらっしゃる。

──フィブラストスプレーは体内に注射するものではなく、しこりになってしまう方も多くいるとか。

看護師C:溶かせない注入剤ですし、十分に注意が必要です。

看護師B:フィブラストスプレーは、基本的に、データを見て計ったものをPRPに混ぜて使用します。単体で使うようなことは危険ですし、してはいけません。

※後述の通りPRP+b-FGFとして行われている。

──フィブラストスプレーによるしこりに悩む方の話を聞いたことがある。しこりを治すためには、ステロイドや抗がん剤など、薬剤を打つ方法しかない、と。それでも、ボコボコになったり、治らず抵抗力が落ちたり、風邪を引きやすくなったりするとか。怖い。

看護師C:それは嫌ですね。溶かせない注入剤は、慎重に。よく調べ、よく理解してから体に入れるべきです。

看護師A:フィブラストスプレーが入っている、PRP+b-FGFも一時期すごく出ていましたよね。

看護師C:PRP+b-FGFを打っていた方は、オデコがコブダイみたいになってしまい、結局オペで取り出しました。

──フィブラストスプレーは、様々なガイドラインで推奨されていないにもかかわらず、学会だと「これからもうまくFGF(フィブラストスプレー)を利用していこう」という医師による発表も見受けられる。

看護師B:怖いですよね。薬剤の副作用、細かな成分まで理解できていない先生がいるんですよね。そういう先生がすぐに打つから、被害者が出ます。

 再生医療の分野なので、それを専門的に勉強している先生はすごく詳しいんです。PRP+b-FGFも、フィブラストスプレーの量が多すぎるため、膨らみすぎ、しこりになってしまう。

 おでこを丸くしたい。ヒアルロン酸は入れたくないし、オペも嫌だという時に、フィブラストスプレーの注入ということは、うちのクリニックでもやっていたんです。

 フィブラストスプレーには、もともと血液の中にない成分が入っているため、入れすぎると膨らみすぎるリスクがあります。ごく少量なら、綺麗に膨らむので良いのですが、大手は、忙しさもあり、量る工程を省くため全員に同量を注入します。いっせいに作って、みんなに同じ量を入れるからうまくいく人、うまくいかない人が出てしまう。

 一個一個、液体、成分を量り、それぞれに、フィブラストスプレーを何マイクロリットル(マイクロは100万分の1)入れようと、個々に変えて打つことができれば、しこりにはならない。実際、私のクリニックでは10何年間やっていたが、1回もしこりにはなっていない。

──しこりになってしまうのは、適量ではなく、フィブラストスプレーの入れすぎ。

看護師B:PRPの成分が血小板っていうものなんですが、その血小板量も元々人によって違いますし、日によっても異なります。それを知らすにやっているから、しこりになってしまうんです。

──きちんと理解している医師に、理解できるまで説明を受けた上で、適量を計量し打ってもらう必要がありそう。

看護師B:そうですね。ただ、医療業界全体として、しこりになる問題も言われ始めたこともあり、「もうやめた方がいいね」と、うちでもやめてしまったんです。

──それは、すごくきちんとしたクリニックですよね。フィブラストスプレーを今でも推しているクリニックがある。しかも、そこは個々に計量したりはせずに、同じ量をみんなに打っているところがある。

看護師A:フィブラストスプレーは、価格が安いので、利益率がいいんですよ。

看護師B:一見、工程やホームページがきちんとしていて、真面目にやっているように見えても、個々に計量していないところはしこりやボコボコになるリスクがあると思っておいた方が良いです。成長因子のみを打つクリニックもありますが、案の定ボコボコになっています。

看護師A:そうですね。怖いですよね

看護師C:しこりができることは、脂肪注入でもあります。

──脂肪の注入は、例えばほうれい線に注入後、どんどん上に上がるという話も聞いたことがある。

看護師A:注入系は怖いですよね。

──自分の脂肪を注入しても、しこりができてしまうことがあると聞くと、何を入れても綺麗に膨らませることは難しいような気が。

看護師A:ヒアルロン酸が一番リスクが低いです。

看護師C:溶けてしまうけれど、一番リスクが低いので、一番良いと思います。

 注入量、入れる層によっても異なるため、先生の手技が本当に大事です。

 脂肪だから一概にダメというわけではない。

 豊胸施術も、以前勤めていたところは色々な先生がいました。整形外科医で、名前の通った先生ですが、工場、流れ作業的に、パンパンパンと胸に入れて、しこりを量産している感じの先生もいれば、10ccくらいを、時間をかけて少しずつゆっくり綺麗に入れている良心的な先生もいました。もう、経歴などの問題ではないんですよね。

看護師A:それは、直後の症例を見てもわからないですよね。

看護師C:脂肪吸引は紹介が多いですし、それが良いですね。スタッフの実際の体を見て「いいですね」と。

 脂肪吸引、注入系は、技術が本当に大事です。「この先生」ときちんと指名した方が良いと思います。

──経歴でもない、歴が長ければ良いわけでもない。先生の見極めが難しい。

看護師A:最初はやはり紹介ですね。

看護師B:豊胸で「危ないよ」と問題になっている施術がありますよね。

看護師A:血液豊胸ですよね。あれも、フィブラストスプレーを打つことを、血液豊胸と言っているだけでは。

──そうですね。血液豊胸はフィブラストスプレーが入っており、血液豊胸、再生豊胸などと言っている。被害者が多数いると聞くが。

看護師C:大きくもならないんですよね?

──再生豊胸という名のところで施術を受けて、大きくなった方はいるようだが、がんがあると、それを大きくする可能性がある。あとは、移動したり、他のところが膨れ上がりしこりになったりした人もいる。慎重に体内に入れる必要がある。

看護師C:移動するのは、アクアフィリング豊胸も起こります。先日、韓国の方で胸の部分が壊死したことがSNS上で話題になりました。あれも、アクアフィリングの施術によるものです。

看護師A:皮膚の中が見えていて、怖かったですよね。まだやっているところがありますが、もう、やめてもらいたいです。

──フィブラストスプレー入りの再生豊胸は、2〜3カ月待ちと聞く。薬剤の細かな成分やリスクは、説明をしてもらえず、理解せずに「注射だけで勝手に大きくなるし、脂肪も取らなくていいし手軽」と安易に受ける方が多い。

看護師C:ちのクリニックに、看護師付き添いのもと、シリコンの抜去のみで来た方がいます。「血液豊胸の施術をしたいが、施術をするクリニックの先生ができないから。今、入っているインプラントだけ抜いて欲しい」と。

 「皮膚が伸びているんですけど、その後どうするんですか?」と聞いたら、「血液豊胸をやるから(平気でしょう)」ということでした。付き添いの看護師は、施術を受ける人を取られないように、同伴されていたようで。うちは、脂肪注入やインプラントなどもできますから、その人の気が変わらないように見張る感じでした。組織ぐるみで……闇を感じる異様な光景でした。

──それは怖すぎる。時々聞く、鼻の壊死もある?

看護師A:入れる層を誤らなければ基本は大丈夫ですが、鼻の皮膚は伸びないため壊死というよりは入れすぎて伸ばしすぎて、痛くなる、赤くなるなどのトラブルの方が最近多いようです。鼻中隔をヒアルロン酸で伸ばすことには、結構な量を使うため、それで、溶かしたくなる人も多いです。

看護師C:あれ、結構な量を入れないと伸ばせないですよね。トラブルも多数聞きますね。

──リスクも理解した上で施術を受けたい。

協力看護師 略歴 ※写真はイメージ画像です

看護師A

看護師A
美容看護師歴17年。大手美容外科に10年勤務した後、都内にあるクリニックで立ち上げから携わり、看護部長を務めている。

看護師B

看護師B
美容看護師歴20年。複数の美容クリニックの立ち上げに携わり、都内で3つのクリニックを掛け持ちしている。

看護師C

看護師C
美容看護師歴15年。美容皮膚科(外科)に6年勤務した後、都内の美容クリニックで看護部長を務めている。

(写真/Adobe Stock)

参考文献

PRP+bFGF、ガイドラインの慎重な方針どう考える?──ジョイアクリニック京都院長の林寛子氏に聞く 前半
https://biyouhifuko.com/news/interview/3110/

PRP+bFGF、リスクと対策──ジョイアクリニック京都院長の林寛子氏に聞く 後半
https://biyouhifuko.com/news/interview/3212/

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Author

山田 千穂

山田 千穂

2013年から週刊誌の記者として、芸能、事件、健康、美容など幅広いテーマを担当。元保育園栄養士で2児の母。子供の食事、妊婦の栄養を得意とする。妊娠で18キロ太るも、産後2ヶ月で-18キロ、ウエスト58センチに。現在もキープ中。

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