美容医療のオンライン診療で相談急増、国のルール沿わないダイエット目的の薬処方の実態、糖尿病薬でトラブルも
ポイント
- ダイエット目的のオンライン診療で、薬の処方などのトラブルが増えている
- 薬の副作用、解約できず高額な薬代を支払うといったケースがある
- 国のルールに沿わない薬の処方が行われているケースもある
ダイエット目的のオンライン診療に関連したトラブルで相談が急増している。国民生活センターが2023年12月20日、注意を呼びかけている。
国のルールに沿わない薬の処方も
同センターでは20年9月にもダイエット目的のオンライン診療に関し、注意を呼びかけていた。
「美容医療のオンライン診療」に関する相談件数が21年と比べて、22年度は前年度の4.2倍に急増し、23年度も10月までのデータを見ると、前年を大きく上回っている。
※国民生活センターや消費生活センターに寄せられた相談は「PIO-NET」というシステムで集計されている。
これらの相談では、ルールに沿わない薬の処方の実態が明らかになっている。
例えば、国民生活センターによると、「処方薬、副作用の説明や基礎疾患の問診が十分でないまま、初診時に数カ月分の処方薬が処方されることがある」と指摘する。
※厚生労働省が示している「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、「基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方」は初診時には行わないように求めている。これは、医師が初めての診療で十分な問診を行い、基礎疾患についての聞き取りが適切に行われていない場合、処方可能な薬の量に制限を設けることを意味する。
また処方薬の定期購入の中途解約に条件があるのに、事前に十分に説明されないケースもあるようだ。
例えば、ダイエット目的でオンライン診療を受けて薬が処方された40代女性は、処方された薬が糖尿病の薬だと知り、副作用に不安を覚えたためキャンセルを希望。しかし、初回はキャンセルできず、1カ月分の薬が届き、相談を寄せた。
国民生活センターによると、説明が十分されることなく高額の薬が処方されたり、副作用の説明がなかったり、実際に副作用が出たりするといったトラブルが目立つ。
事前の十分な説明は欠かせない
国民生活センターでは次の通り注意点を挙げる。
- 痩身目的等のオンライン診療を受診するときは、処方薬も含めて医師からしっかり説明を受けましょう。
- 糖尿病治療薬は痩身目的の使用に関して安全性と有効性は確認されていません。
- 解約条件等について申し込み前によく確認しましょう。
- トラブルにあった場合は、消費生活センター等に相談しましょう。
前提として、説明をしっかり受けるのが欠かせない。薬の副作用についても、解約の条件なども理解しておくのは重要だ。
また、糖尿病薬が処方されることがあるが、承認されていない使用目的では、安全性と有効性が確認されていないことは知っておく必要もある。
国民生活センターでは、トラブルに遭った時には相談を寄せてほしいと求めている。
参考文献
痩身目的等のオンライン診療トラブル-ダイエット目的で数か月分の糖尿病治療薬が処方される「定期購入トラブル」が目立ちます-
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20231220_1.html
オンライン診療の適切な実施に関する指針の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/001123361.pdf
美容や痩身の目的なら納品しないよう……足りないGLP-1受容体作動薬、厚生労働省が全国に事務連絡
https://biyouhifuko.com/news/japan/4574/
「肥満症治療薬は美容などに使う薬ではない」、日本肥満学会が声明
https://biyouhifuko.com/news/japan/4533/
体重減少効果で注目の「GLP-1薬」、まれながら重い副作用の報告、米国医師会雑誌が注意呼びかけ
https://biyouhifuko.com/news/world/4374/
ダイエット目的の薬が不足、厚生労働省に糖尿病治療薬の要望書、関連団体が提出
https://biyouhifuko.com/news/japan/4213/
肥満症対策の新薬セマグルチド、心臓病などの予防効果も
https://biyouhifuko.com/news/research/2958/
肥満症の新たな治療法?セマグルチド飲み薬が体重減少に効果
https://biyouhifuko.com/news/research/2373/
「GLP-1ダイエット」広告、美容医療の新たな問題?厚労省が委員会で議論
https://biyouhifuko.com/news/japan/3731/
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