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シミ取り施術での問題発生、国民生活センターが返金トラブルを詳細解説

カレンダー2023.10.10 フォルダー 国内

ポイント

  • 国民生活センターは、重要な消費者紛争解決事例を公表。2件は美容医療関連
  • レーザーによるシミ取りで、目の痛みや新しいシミの発生に関連して返金トラブルが報告
  • クリニックは施術による症状ではないという見方を示したが、一部支払いと回答して和解
美容医療をめぐるトラブル。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

美容医療をめぐるトラブル。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 美容医療でのシミ取りで、シミがかえって濃くなり、目に痛みが出たりする症状が現れたとして、返金を求めるトラブルが起きた。2023年10月4日、国民生活センターが重要性が高いものとして公開している。

美容医療トラブルが2件公表

返金トラブル。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

返金トラブル。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 10月4日に公表されたトラブルのうち、目のたるみの手術キャンセルに関する返金トラブルについては、10月6日の記事で既に照会したが、同時にシミ取りの施術後の問題による返金トラブルについても公表されている。

 既に伝えているように、国民生活センターでは、紛争解決委員会を通して消費者のトラブルの解決に取り組んでいる。多くは公開されないが、重要なケースは法律に基づいて公表される。似たトラブルの解決につながると考えられるため。

 10月4日に公開されたADR(裁判外紛争解決手続)の結果を報告では、重要なトラブル解決の事例を24件報告。うち2つが美容関連の施術によるもので、既に記事にしている「美容手術費の返金に関する紛争」と、「顔のシミ取りにかかる施術代等の返金に関する紛争」が公表された。

※ADRとは、従来の訴訟手続とは異なる観点から紛争に対処するための手法。関係者全員が納得できる柔軟な紛争解決を目指す。今回の場合は、国民生活センターが、あるエステでの返金トラブルについて当事者間の話し合いによる解決に取り組んだもの。

シミ取り後の目の症状で救急車を利用

シミ取る施術後のトラブル。(出典/国民生活センター)

シミ取る施術後のトラブル。(出典/国民生活センター)

 公表されたケースは、シミ取り施術についての返金トラブルだった。

 全体の流れは次の通りだ。

22年11月初旬、ウェブサイトからクリニック予約→シミ取り放題の提案→医師と相談しフェイシャルコースと併用を勧められ施術→施術後、目の違和感→夕方、目痛で救急車で病院受診→電気性眼炎、角膜びらんと診断→消費生活センター相談→6万7000円の支払い要求→クリニック側は請求認められないと回答→国民生活センターの仲介で意見聴取→クリニックが2万円支払いで和解。

 国民生活センターの仲介委員は、双方から意見聴取。

 このトラブルの詳細な経緯と解決までのプロセスを示すと、22年11月初旬、ウェブサイトからクリニックを予約。シミ取り放題の提案を受けたが、医師と相談を希望。

 医師からは、シミ取り放題とフェイシャルコースの併用を勧められた。施術についての説明はなく、同意書を渡され記載し、施術代3万5000円を支払う。

 フェイシャルコースを受けた上で、左右の目尻のシミ取りを考えたが、目に近いので相談。コンテクトレンズ装着により守られると説明を受ける。

 施術後、目に違和感があり、右目が見えづらかった。30分くらいで良くなると説明を受けた。

 夕方、目に痛みが出て、渡された目薬を使ったが、目を開くことができなかった。クリニックに電話したが通じず、救急車を呼んで病院を受診。電気性眼炎、角膜びらんと診断された。

 翌日、クリニックに電話して、受診を促されるが、目を開けられず、不安を感じて消費生活センターに相談。

 11月中旬から12月にかけて、施術代3万5000円の返金と、眼科と皮膚科の受診でかかった交通費を含めて3万2000円の合計6万7000円を支払ってほしいと求める。

 クリニック側は、プロテクター装着による一時的な目の充血や角膜の傷が見られる場合があるものの、数日で治癒するもので、同意書にも記載されており、問題ないと考えている。請求を認められないとの見解を示している。また、クリニック側は目の症状は一時的で他のケースで治療を長く受けたケースがないと説明。シミが濃くなったり新たに生じたりしたという皮膚の症状についても施術と無関係という見方。

 結局、クリニックは早期に解決するために、皮膚科受診分の約2万円について支払うと回答し、それを受け入れることで和解に至った。

 美容医療のトラブルをめぐっては、事前に十分に説明を受けなければ、想定しない症状が現れたときに強い不満が残ることがある。事前に十分にトラブルの可能性について確認することは欠かせないと言えるだろう。前回も説明したが、美容医療は、1カ月を超えて行われる場合には、特定継続的役務提供契約に該当するので契約書面を受け取ってから8日間は無条件で契約を解除できる「クーリングオフ」が適用される。一方で、当日施術を受けるようなケースでは適用が難しいと考えられる点も注意する必要がある。

参考文献

国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(令和5年度第2回)
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20231004_1.html

国民生活センターADR の実施状況と結果概要について(令和 5 年度第 2 回)
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20231004_1.pdf

当日の高額コース契約&施術、キャンセル時の返金トラブル、国民生活センターが経緯を明らかに
https://biyouhifuko.com/news/japan/3627/

エステ返金トラブル解決の実態とは?国民生活センターが公開した和解プロセス
https://biyouhifuko.com/news/japan/2296/

「エステティックサービスの解約・返金相談急増 その施術本当に必要?」
https://biyouhifuko.com/news/japan/304/

成人年齢18歳に、10代の脱毛エステや医療のトラブル相談が急増
https://biyouhifuko.com/news/japan/1696/

なぜ大阪のエステ脱毛は書類送検に?女性のやけど事件の背景を大阪府警に聞いた
https://biyouhifuko.com/news/japan/2131/

あなたの美容医療、大丈夫?大手弁護士事務所のベリーベスト法律事務所が被害情報収集を開始
https://biyouhifuko.com/news/japan/2220/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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