ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

米国イーライリリー、糖尿病薬と肥満薬の不適切な使用に警鐘、美容目的や不正な広告販売を問題視、公開書簡を発表

カレンダー2024.6.23 フォルダー 海外
“`html
NHKで美容医療の問題が大きく取り上げられた。(写真/Adobe Stock)
米国イーライリリーが公開書簡を発表。(写真/Eli Lilly)

米国イーライリリーが公開書簡を発表。(写真/Eli Lilly)

 肥満治療薬であるGIP/GLP-1共受容体作動薬が美容目的で使われているケースがあるなど、本来の形とは異なる広がり方をしていることが米国で問題になっている。

 米国イーライリリーは2024年6月20日、マンジャロとゼプバウンドの不適切な使用が広まっていることに懸念を示す書簡を公開した。

※チルゼパチドは、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド (GIP)/ グルカゴン様ペプチド1 (GLP-1)共受容体作動薬というタイプの薬。糖尿病治療を目的として開発されたが、体重減少の効果から肥満症治療を目的としても開発されている。チルゼパチドは、糖尿病治療薬としては「Mounjaro(マンジャロ)」という商品名で、肥満症治療薬としては「Zepbound(ゼプバウンド)」という商品名となっている。一方で、同類の薬であるセマグルチドは、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬。セマグルチドは、糖尿病治療を目的とする場合、注射薬は「オゼンピック」という商品名で、飲み薬は「リベルサス」という商品名。オゼンピックは肥満症治療を目的とする場合、注射薬は「ウゴービ」という商品名で呼ばれている。

美容目的や18歳未満の使用など注意喚起

ゼプバウンド。(写真/Adobe Stock)

ゼプバウンド。(写真/Adobe Stock)

 イーライリリーは公開書簡で、マンジャロとゼプバウンドは美容目的の使用や18歳未満の人々への使用を目的としていないことなどを強調した。米国食品医薬品局(FDA)がこれらの薬剤を成人のみに使用することを承認し、安全性と有効性は18歳未満に対して確認されていないと伝えている。

 このほか同社は、薬の未承認の用途での使用を勧めておらず、SNSやオンライン広告での不適切な宣伝が重大な健康リスクをもたらす可能性があると指摘。「研究目的」の販売にも注意を促している。非正規の販売ルートから購入されたものほ、偽造品や不純物を含む製品である可能性があると説明している。

 FDAは24年2月に、研究目的で薬を販売していたUS Chem Labsという会社と、Synthetixという会社に対して警告を発している。

世界中でダイエット目的の使用が問題に

マンジャロのほか、オゼンピックも不適切な使用が問題に。(写真/Adobe Stock)

マンジャロのほか、オゼンピックも不適切な使用が問題に。(写真/Adobe Stock)

 GIP/GLP-1共受容体作動薬やGLP-1受容体作動薬は、体重を減らす効果が高いことで、世界中で利用が進んでいる。本来は一定の条件を満たした人に対して使える薬であるが、条件を満たさない人もダイエット目的で使うケースが増えており問題になっている。日本国内でも美容医療などの自由診療で処方され、厚生労働省も対策を議論するまでに問題は発展した。

 同薬は副作用も報告されており、不適切治療で、短期的、長期的な健康被害を引き起こす可能性も否定できない。安易な使用は避けることが必要だろう。

“`

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。