毎日のケアに気を使い、ビタミンやコラーゲンと食事にも気をつけても、避けられない肌トラブル。早いうちに治すことはもちろん大切ですが、できないに越したことはないですよね。大人ニキビの原因は皮脂の過剰分泌、毛穴のつまり、アクネ菌の増殖があげられます。さらに白ニキビ・黒ニキビ・赤ニキビ・黄ニキビなどの状態によっても注意するポイントも変わってきます。さて、くわくし見ていきましょう。
大人ニキビはどうしてできる? 悩みの元凶3大要因

ニキビは、「皮脂・毛穴つまり・アクネ菌」の3つの要因が関係して発生します。
皮脂の過剰分泌
皮膚を外部の刺激から守るために欠かせない皮脂。ストレスの増加や寝不足による自律神経の乱れが原因となって男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れると、皮脂の分泌が活発になります。糖分油分の多い食事で皮脂の分泌が過剰になることもあります。
また、肌の水分量が少なく、乾燥した状態になると、肌本来のバリア機能が低下します。すると肌は外部の刺激から皮膚を守るために皮脂の分泌量を増やすので、結果として皮脂の過剰分泌に繋がります。
毛穴のつまり
肌には、約28日のサイクルで角質がはがれおちて新しい皮膚細胞に生まれ変わるターンオーバー機能があります。通常、皮脂は汗とともに毛穴から排出されます。ところが、ターンオーバーがうまくいかなくなると、毛穴の中に角質がうまく排出されず残ってしまい、その角質と皮脂やメイク汚れなどが混ざり合って角栓となり、毛穴を塞いでしまいます。
アクネ菌の増殖
ニキビに悩む人にとっては最も嫌な敵と言えるアクネ菌。実は、誰もが持っている肌の常在菌です。ということは、ニキビがない人の肌にも、アクネ菌は存在しているということです。ではなぜ、ニキビになる時、ならない時があるのでしょうか?
アクネ菌は、空気を苦手とする嫌気性の細菌です。そのため、空気に触れやすい環境では増殖することはありません。そんなアクネ菌にとって最高の環境が、つまった毛穴の中です。前述した通り、ターンオーバーの乱れなどが原因で毛穴づまりが起こると、毛穴が密閉されアクネ菌が苦手とする空気に触れなくなります。そして、その詰まった毛穴の中で皮脂をエサとしてアクネ菌はどんどん増殖し、炎症のもとになる成分をつくります。
これをまとめると、角質や過剰な皮脂が毛穴を詰まらせる→詰まった毛穴の中でアクネ菌が増殖する
これが、ニキビ発生の仕組みです。
大人ニキビと思春期ニキビ あなたのニキビはどちらのタイプ?

「ニキビは青春のシンボル」なんて言葉もあるように、中高生の肌トラブルという印象が強いニキビ。なのに、大人になってもニキビに悩まされ続けるのはどうしてなのでしょうか?実は、中高生の頃の「思春期ニキビ」と、大人になってからの「大人ニキビ」とでは、毛穴の詰まりの原因に違いがあります。
思春期ニキビの場合に毛穴が詰まる原因は、主に成長期における皮脂の過剰分泌です。そのため、顔の中でも皮脂が多くなりやすい、おでこや鼻といったTゾーンにできやすいのが特徴です。ホルモンバランスが安定してくる20代前後になると、落ち着いてきます。
一方、大人ニキビの場合は、肌のターンオーバーのリズムが乱れ、古くなった角質が溜まることが、毛穴を詰まらせる原因だと考えられています。ターンオーバーがうまくいかなくなる要因は、食生活の乱れ、寝不足、ストレス、ホルモンバランスの乱れ、間違ったスキンケアなど、さまざまです。
これらの要因は皮脂の過剰分泌を引き起こすこともあり、そうするとさらに毛穴を詰まらせることになります。思春期ニキビとは違って、皮脂の少ない頬からアゴにかけてのUラインにできやすいこと、乾燥肌の人にもできること、同じところに繰り返しできやすいことが特徴です。
大人ニキビの種類

ニキビは、進行度合いによって症状が変わります。
白ニキビ
皮脂が毛穴につまった状態で、ポツンとした小さな白い点に見えます。気になってついつい触ってしまったり、小さいうちに自分で潰そうとしたりしがちですが、指の雑菌が入って炎症になってしまうことがあるのでNGです。
黒ニキビ
白ニキビができた後に毛穴が開き、中の皮脂と角質が混ざって酸化し、角栓の頭が黒く見える状態です。黒く目立つので気になって、指や綿棒で押し出したくなりますが、肌に傷を作ったり、雑菌で炎症を起こしたりしかねないのでNGです。
上記の白ニキビと黒ニキビには、詰まった皮脂や古い角質を取り除くピーリングが有効です。ピーリング効果のある洗顔料、化粧水をスキンケアに取り入れてみましょう。また、美容クリニックでは、滅菌した器具で詰まった皮脂を取る圧出処置をしてもらえます。
赤ニキビ
白ニキビ・黒ニキビが悪化して炎症を起こし、周りが赤く腫れあがった状態です。毛穴の中では、増殖したアクネ菌が炎症物質を作り出しています。こうなると、自己流のケアは禁物です。自分で潰すのはもっての外、市販のニキビ薬でも症状の進行に追い付かず、悪化させてしまうことがあります。この段階でしっかり治療しないと、ニキビ跡になってしまうこともあります。
黄ニキビ
赤ニキビがさらに悪化し、激しく炎症を起こしている状態です。アクネ菌と戦った白血球の残骸が黄色っぽく透けて見えます。この状態になってしまったら、一日でも早く皮膚科を受診してください。
炎症がひどいと、膿疱と呼ばれる膿をともなうニキビになる場合もあります。毛穴の破壊が進んでダメージが皮膚の深いところまで及ぶと、凸凹したニキビ跡になってしまうことがあり、その治療はとても難しくなります。
赤ニキビ・黄ニキビは、炎症を抑えることが大事ですので、医師に治療を委ねるのが一番です。抗生物質や消炎剤を含んだ外用薬・内服薬を処方してもらいましょう。
大人ニキビができやすい顔や体の部位
大人ニキビは、思春期ニキビとは異なり、顔だけでなく、体にもできやすいという特徴があります。
体の部位によって原因や対策も異なるため、それぞれの部位の特徴とケア方法を理解することが大切です。
頬
頬は、大人ニキビができやすい代表的な部位のひとつです。
思春期ニキビがTゾーン(額や鼻まわり)に多く見られるのに対し、大人ニキビは頬などのUゾーンに出やすく、慢性的に繰り返しやすいのが特徴です。炎症が長引くことで、色素沈着やニキビ痕として残りやすい傾向もあります。
頬のニキビは、乾燥や摩擦、バリア機能の低下といった外的刺激によって起こりやすいとされています。クレンジングや洗顔のこすりすぎ、マスクの着用、ファンデーションの厚塗りなど、日常的な刺激によって角質の状態が乱れ、毛穴が詰まりやすくなります。乾燥によって一時的に皮脂分泌が増えることも、炎症の引き金になる場合があります。
また、頬は血流やリンパの流れが滞りやすい部位でもあり、代謝が落ちることで肌のターンオーバーが遅れ、炎症が長引きやすくなることもあります。ホルモンバランスや生活習慣の乱れが続くと、ターンオーバーが滞り、バリア機能の低下や毛穴詰まりを引き起こして、ニキビを悪化させる原因になります。
あご
あご周りは、大人ニキビができやすい部位のひとつです。
これは、ホルモンバランスの乱れやストレス、生活習慣の影響を受けやすい部位であることが主な要因とされています。
また、マスクやマフラー、ハイネックの服などによって摩擦や蒸れが生じやすく、肌に刺激が加わることで、ニキビの炎症が悪化しやすいのも特徴です。
皮脂分泌もある程度みられる部位であるため、複合的な要因が重なってニキビができやすくなる傾向があります。
口周り
口周りも大人ニキビができやすい部位のひとつです。
これは、ホルモンバランスの変化や生活習慣の乱れが反映されやすいエリアとされており、特に生理前やストレスが原因で肌トラブルが起こりやすくなります。
また、口元は食事やリップメイクの影響で汚れや油分が残りやすく、毛穴が詰まりやすいのも特徴です。
さらに、乾燥によるバリア機能の低下や、脂っこい食事・甘いものの摂りすぎ、腸内環境の乱れなどもニキビを悪化させる要因になります。
こうした内的・外的な刺激が重なることで、ニキビが繰り返しやすい傾向があります。
背中
背中は、皮脂腺が多く皮脂分泌が活発な「脂漏部位」のひとつです。
さらに汗をかきやすく、衣類によって蒸れや摩擦が生じやすいため、ニキビやニキビに似た肌トラブルが起こりやすい部位とされています。
顔と比べて鏡でも見えにくく、スキンケアが行き届きにくいため、炎症に気づかず悪化させてしまうケースも少なくありません。
背中にできるニキビの原因としては、ホルモンバランスの乱れや生活習慣の乱れ、ストレス、皮脂や汗の過剰分泌、摩擦、通気性の悪い服装などが挙げられます。
たとえば、リュックやショルダーバッグ、タイトな衣類、寝具との接触などの物理的な刺激が繰り返されることで、炎症や毛穴詰まりを引き起こすことがあります。
さらに注意したいのが、ニキビに似た症状の中には「マラセチア毛包炎」と呼ばれる真菌(カビ)の一種によるものもあるという点です。
これはアクネ菌ではなく、「マラセチア」という常在菌が異常に増殖して毛包に炎症を起こすもので、見た目はニキビにそっくりですが、原因も治療法も異なります。
抗菌薬では改善せず、抗真菌薬(外用や内服)での治療が必要になることもあるため、繰り返したり長引いたりする場合は皮膚科での診断が重要です。
大人ニキビを悪化させないための対処法
大人ニキビは、外的刺激や乾燥、ホルモンバランスの変化、生活習慣の乱れなど、複数の要因が絡み合って生じるため、正しく対処するには原因を見極めることが重要です。ここでは、悩んでいる方がすぐに取り入れやすい対処法を4つご紹介します。
まずは皮膚科などの医療機関に相談する
大人ニキビが繰り返しできる、なかなか治らない、といった場合は、まず皮膚科に相談することが大切です。ニキビ跡を残さないためにも、早めに皮膚科の医師に診てもらうことが改善への近道になります。自己判断でスキンケアや市販薬を試し続けるよりも、肌の状態に合った適切な治療やアドバイスが受けられます。
また、ニキビに見えて実は真菌による毛包炎や、ほかの皮膚疾患だったというケースもあるため、気になる症状は放置せず、早めに専門的な医師に相談することをおすすめします。
洗顔料やボディソープを見直して肌を清潔に保つ
大人ニキビの予防には、余分な皮脂や汚れをしっかり落としつつ、肌に必要なうるおいを守る洗浄ケアが欠かせません。洗浄力の強すぎる洗顔料やボディソープは、肌のバリア機能を低下させたり、乾燥によって皮脂の分泌を促したりする原因になります。
顔には、弱酸性で刺激の少ない洗顔料を使用し、泡で包み込むようにやさしく洗いましょう。背中など体にニキビができやすい場合も、ナイロンタオルで強くこすらず、やさしく洗うことが大切です。シャンプーやコンディショナーのすすぎ残しが背中ニキビの原因になることもあるため、身体を洗う順番やすすぎ残しにも注意が必要です。
また、背中や胸にできるブツブツの中には、マラセチア毛包炎と呼ばれる真菌による炎症の場合もあります。そのようなケースでは、抗真菌成分を配合した薬用石鹸を使うことで症状の改善が期待できることもあります。一般的なニキビ用製品で効果が見られない場合は、皮膚科での相談がおすすめです。
ニキビに有効なスキンケアを取り入れる
ニキビの予防や改善には、原因にアプローチできる有効成分を含んだスキンケアを取り入れるのも有効です。
たとえば、アゼライン酸は毛穴の詰まりを防ぎつつ炎症を抑える作用があり、敏感肌でも使いやすい成分として注目されています。ビタミンC誘導体は皮脂の分泌をコントロールし、肌のキメを整える働きがあり、ニキビ跡の予防にも効果が期待されます。
また、AHA(グリコール酸など)やBHA(サリチル酸)は古い角質をやわらかくして毛穴の詰まりを防ぎ、ニキビの初期段階に有効とされています。
ただし、これらの成分は肌への刺激となることもあるため、使用頻度や濃度には注意が必要です。肌の状態に不安がある場合は、皮膚科の医師と相談しながら取り入れると安心です。
睡眠や食事を見直して肌の土台を整える
肌の回復力やターンオーバーの正常化には、生活習慣の見直しが欠かせません。中でも睡眠は、肌の再生がもっとも活発になる時間帯を支える重要な要素です。夜更かしや睡眠不足が続くと、肌の代謝が滞り、炎症が長引いたり、ニキビができやすくなったりします。また、ストレスもホルモンバランスに影響を与えるため、心身ともにしっかり休ませることが肌の安定にもつながります。
加えて、食生活の見直しも大人ニキビ対策に有効です。脂っこい食事や甘いものの摂りすぎは皮脂分泌を促し、ニキビの悪化につながることがあります。反対に、ビタミンB群(皮脂のコントロール)、ビタミンC(抗酸化作用・コラーゲン生成)、亜鉛(肌の修復)、食物繊維(腸内環境の改善)など、肌の健康をサポートする栄養素を意識して摂ることが大切です。
暴飲暴食や偏った食事を避け、栄養バランスのとれた食事を続けることで、肌のコンディションも整いやすくなります。
まとめ
肌の大敵、大人ニキビ。今回は、大人ニキビの原因と種類についてご紹介しました。自分の顔にひとつでもニキビを見つけると、がっかりした気分になってしまうもの。そうなる前に、ニキビができる原因を知って、対策をしましょう。それでもできてしまったら、すぐに皮膚科専門医を受診して、正しく早く治しましょう。ニキビ知らずの健康な肌作りを目指したいですね。
記事監修

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山下真理子先生
京都府立医科大学を卒業して、医師に。 大阪市内で美容医療に携わりながら、医療教育にも従事。 コラムの執筆やモデル業の傍ら、17公式ライバーとしてライブ配信も行っている。









