炎症を起こしている現在進行形のニキビも辛いですが、若いころのニキビ肌のせいで、現在ニキビ跡に悩まれている方、実はたくさんいらっしゃいます。
- ニキビは治ったのに赤みが残っている
- シミのように茶色く色素沈着してしまった
- 肌に凹凸(クレーター)が残ってしまった
そんな辛いニキビ跡にお悩みの方に、ニキビ跡に絶大な効果を誇ると言われている美肌再生治療『ダーマペン4』の効果やダーマペン4とのフラクショナルレーザー、セルフダーマペン、ダーマローラーの違い、注意点を解説していきます。
ニキビ跡の種類
ニキビ跡の症状には、放っておいても治癒する軽度なものから、症状の改善まで時間がかかる、自然治癒が難しい厄介なものまで様々な種類があります。 ニキビ跡の種類と原因について以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
赤みが残っている
ニキビ自体は治っても、ニキビ跡が消えず赤く残ってしまっている状態です。皮膚の内部で炎症が残っており、細胞を修復するために血管が開いているので赤く見えますが、修復が終われば赤みは自然と消えます。ニキビ跡の中では軽度といえます。
色素沈着
ニキビが治ってもシミのような茶色い色素沈着が残ってしまった状態のニキビ跡です。
ニキビによる炎症で肌がダメージを受けてしまうと、そのダメージを回復しようと皮膚の浅い層(表皮)の細胞が活性化します。その時に、「メラニン色素」も増産され、その色素が皮膚に残ってしまうことで色素沈着になります。そのままにしていて治るものもありますが、年齢を重ねると、肌のターンオーバーが衰えてくるため、消えるまでにさらに時間はかかってしまいます。
皮膚の深い層(真皮層)にメラニン色素が落ちてしまっている場合の色素沈着では、ターンオーバーで排出されないため自然に消えるのが難しくなります。
クレーター(凹凸)
ニキビの炎症がひどくなると、ニキビのまわりの皮膚細胞を壊しながら症状が進行していくことがあります。皮膚の深い層(真皮層)にまでダメージが進むと、新しい皮膚をつくることが出来なくなり、皮膚が凹んでクレーターのような陥没ができてしまいます。
強い炎症を起こしたニキビを放置したり、できてしまったニキビを無理矢理爪などで潰してしまうと、このようなクレーター状のニキビ跡になる原因となります。 クレーター状のニキビ跡にも種類があります。 ニキビ跡が幅広かつ、それほど深くない状態のローリング型。ニキビ跡が円形ではなく底が平らになっていてニキビ跡が目立ちやすいボックスカー型。これら二つはニキビ跡が深くないため症状を改善させやすいと言われています。とはいえどちらも自然治癒はなかなか難しいでしょう。
ニキビ跡の幅がやや狭く奥に深いアイスピック型は、深さが真皮にまで達している場合が多く、厄介なニキビ跡といえます。肌はターンオーバーで一生懸命再生しようと頑張っていますが、ターンオーバーだけではコラーゲン組織、真皮の部分まで補うことができません。自然治癒、セルフケアでの症状改善はさらに難しくなります。
ニキビ跡のお悩みで多い クレーター状の跡にも効果がある“ダーマペン4”
それぞれのニキビ跡には、次のような治療が有効です。
- 赤みの残ったニキビ跡 → 炎症を抑えて悪化させない
- 茶色の色素沈着ニキビ跡 → ターンオーバーを促す
- クレーターニキビ跡 → コラーゲンの生成を促す
ダーマペン4はこれらすべてに対応が可能ですが、特にこれまで治療が難しいとされていたクレーター状のニキビ跡への効果が非常に高いことで注目されています。
ダーマペン4とは
ダーマペン4はペン状の機器の先についた、髪の毛よりも細い16本の針束で肌に微細な穴をあけ、できた傷を修復しようとする人の自然治癒力を利用した治療法です。傷を修復する過程で、肌の内部ではコラーゲンやエラスチンが大量に産生されることで、クレーター状のニキビ跡の凸凹も改善され、なめらかで美しい肌を取り戻すことができます。
2018年に登場した最新モデルのダーマペン4は、従来のものと比較すると、動きや精度が格段にパワーアップしています。肌に穴をあけるスピードが速くなり、1秒間に1920個もの微細な穴をあけることが可能となりました。また、針の長さを0.1mm単位で設定可能なため、一人一人の肌の状態に合わせて最適な深さへ針が到達することで、効率的な治療が行えます。
最大3.0㎜の深さまで針を差し込むことができるため、皮膚の深い層(真皮層)にまでダメージが進んだクレーター状ニキビ跡にも効果を発揮します。
ダーマペン4+(プラス)の治療でさらに高い効果も
ダーマペン4と有効成分を組み合わせれば、症状の重いクレーター状のニキビ跡にもさらに高い効果が期待できます。ダーマペン4であけられた穴は微細ですぐに塞がってしまいます。穴があくと同時に成分が肌の奥まで浸透できるよう、施術前または施術直後に症状改善に効果が高いとされる薬剤を塗布します。 ダーマペン4の施術は一般的に、顔全体1回の施術で約30,000円~50,000円ですが、プラスで使用する薬剤によって料金は異なってきます。
参考までにクレーター状ニキビ跡に効果があるといわれている成分を紹介します。クリニックによっては導入されていないものありますので、施術を希望される際は事前にクリニックに問い合わせた方がいいでしょう。
クレーター状ニキビ跡に効果的な有効成分
成分 | 効果・特徴 | 費用 |
マッサージピール (ヴェルベットスキン) |
高濃度トリクロロ酢酸(TCA)・低濃度過酸化水素(H2O2)・コウジ酸を主成分とする製剤です。肌細胞の修復を促進し、細胞再生とコラーゲンの生成を活性化することでニキビ跡の肌の凹みの改善に働きかけます。ダーマペンとマッサージピールの組み合わせは「ヴェルベットスキン」といって最近女性誌でも取り上げられるほど人気の治療になっています。 | +10,000円~ |
幹細胞培養上清 | ヒトの幹細胞を培養した際に生じる上澄み液。成長因子などの有効成分を多く含み、 弱った細胞に刺激を与え本来の働きを取り戻す作用がありあます。肌本来が持っている自己再生能力を高めることでコラーゲンやヒアルロン酸の生成を活性化させるため高い効果が期待できます。採血は必要ありません。 |
+20,000円~ |
PRP | 自身の血液からPRP(多血小板血漿)を抽出・濃縮したものです。 PRPには体の傷んだ組織の修復を促進する成長因子が豊富に含まれるため、皮膚そのものを再生する効果が得られます。さらに白血球も適量抽出することで、より多くの線維芽細胞を誘導し、活性化することが可能です。 自分の細胞を使うためアレルギー等の心配もなく安全性は高いですが少量の採血(15~20㎖)が必要となります。 |
+60,000円~ |
アムニオジェニクス | ヒト羊膜という胎盤由来のコラーゲンの膜から作られた製剤で、細胞外マトリックスや増殖因子、サイトカインなど、285種類もの成分が含まれています。優れた創傷治癒効果を発揮するため、深いニキビ跡にも高い効果が期待できます。 | +70,000円~ |
SOSUM PCL(ポリカプロラクトン) | PCLは外科治療で溶ける糸として使われてきた成分です。ダーマペンで真皮や皮下組織に成分が導入されることで、自身の持つコラーゲン生成能力が促進されます。PCLはゆっくりと吸収されるため、皮膚内部組織の劣化に対してじっくり時間をかけて働きかけます。新しく生成されたコラーゲンにより皮膚の凹みを改善し肌を滑らかにします。 | +30,000円~ |
ニキビ跡の治療になぜダーマペン4が優れているのか
凸凹のニキビ跡の治療で効果があるとされている治療法に「フラクショナルレーザー」があります。フラクショナルレーザーとダーマペンの原理はとても良く似ていて、前者はレーザー光で、後者は針で肌に細かい穴をあけることで、肌細胞を活性化するという治療になります。
それでは、フラクショナルレーザーとダーマペンでの治療はどう違うのでしょうか?また、ネット上で紹介されているセルフダーマペンやダーマローラーとの違いはどこにあるのでしょうか?ここでは、それらとの相違点についてご説明します。
フラクショナルレーザーとの違い
大きな違いは、熱作用があるかないかという点です。ダーマペンは針で物理的に穴をあけるため、熱による作用が一切ありません。対してフラクショナルレーザーは皮膚に微小なレーザーで点状に穴をあけることで、熱ダメージを皮膚全体に行き渡らせることなく、少しずつ皮膚を入れ替えていく治療です。
レーザーの熱作用であけられた穴はその周りの組織にダメージを与えるため、レーザーの方が施術中の痛みやその後の熱感が強く、ダウンタイムも長くなります。ニキビ跡への効果は、フラクショナルレーザーの方が高いと言われていますが、その分費用も高くなるというデメリットもあります。
セルフダーマペン、ダーマローラーとの違い
家庭用のセルフダーマペンというものが販売されていますが、針で皮膚を傷つけることで再生するというダーマペンの特性上、自己判断によるセルフダーマペンはお勧めできません。クリニックで複数回の治療を受ける金額よりは、遥かに安い金額で効果が出たという投稿も多々見受けられますが、同じように同じことをしているつもりでも、全く違った結果になることは往々にしてあります。
針の使い回しによる感染や、刺入時の失敗による傷跡など、安く済ませるつもりが、回復が難しい傷となって残ることもありえます。ダーマペンは信頼できるクリニックで医師の診察のもと治療を行うことをお勧めします。
ダーマローラーは針がついたローラーを使って施術する治療法です。ダーマペンの針が肌に対して垂直に抜き差しできるのに対して、ダーマローラーは針が肌に斜めに入り、えぐるようにして斜めに出ていきます。その分、表皮の損傷が大きくなり、出血や痛みが強く、赤みや腫れといったダウンタイムが長くなります。またダーマローラーは針の長さが一定のため、ニキビ跡の症状の度合いに応じた治療には不向きといえるでしょう。
ダーマペン4の注意点
ニキビ跡の状態によって治療回数やダウンタイムは異なる
ダーマペン4は1回の施術で効果を実感できる場合もありますが、ニキビ跡が深い、色素沈着が強い場合、1か月程度の間隔を空けて、5回~10回施術が必要になる場合があります。
また、レーザーやほかの治療に比べてダウンタイムが少ないことがメリットであるダーマペン4ですが、治療後の赤みには個人差があります。特に、クレーター状ニキビ跡の治療には、針をある程度深く刺す必要があるため赤みは出やすくなります。どうしてもダウンタイムが気になる方は針の深度を浅めに設定してもらうなどカウンセリング時に相談してみるといいでしょう。
赤みの出方には個人差があるので、まず額の上部で試してみて様子を観察する、ダウンタイムを最小に抑え最大の結果を出せるよう、施術後の予定などを考慮しながら治療を調整してくれるようなクリニックは、患者に寄り添った治療をしてくれる信頼できるクリニックといえるでしょう。
治療にかかる費用は事前にしっかり調べておく
治療が複数回必要となった場合、費用が高額となるケースがあります。治療5回で割安になるようなプランを設定しているクリニック、HP上では費用が高く見えても、ダーマペンとほかの施術、例えばピーリングとセットになっているクリニックもあります。
クリニックによっては麻酔、追加する薬剤が含まれた料金表示になっているかどうか不明な場合もあるので費用については事前に細かく確認が必要です。
まとめ
ニキビ跡はセルフケアではなかなか改善しにくく厄介ですが、治療法がなかった頃と比べると、今は多くの選択肢があるといえる時代です。これまで治療が難しかったクレーター状のニキビ跡もダーマペン4なら改善することが可能です。
長年の肌悩みを解消したい、ニキビ跡以外の肌トラブルをも同時に解消したい、美肌をめざして効果を持続させたい、という方には“ダーマペン4の治療がおすすめです。
2020.12.23
2021.04.08
2021.11.24
記事監修
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山下真理子先生
京都府立医科大学を卒業して、医師に。 大阪市内で美容医療に携わりながら、医療教育にも従事。 コラムの執筆やモデル業の傍ら、17公式ライバーとしてライブ配信も行っている。