スキンケア

紫外線の影響としてメジャーなのは「日焼け」や「シミ・シワ」ですが、実はニキビを引き起こす原因ともなります。
ニキビがある状態であっても日焼け止めを使用すべきです。
しかし、日焼け止めが肌に合わなかったり刺激が強すぎたりすると肌への負担になってしまいます。

今回はニキビと紫外線の関係や日焼け止めを選ぶための基礎知識を解説します。

ニキビ 日焼け 止め

「ニキビ」は、どの世代の方にもできる可能性のあるものです。

肌トラブルの代表例でもあるニキビができている時は、「肌になにかを塗ること」が怖いと考える人もいるでしょう。

たとえば、日焼け止めやファンデーションなどです。

今回はそのなかから日焼け止めを取り上げ、「日焼け止めを塗ることでニキビは悪化するのか」、「日焼け止めの表記内容」、「ニキビが気になる時の日焼け止めの選び方」について解説していきます。

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ニキビが増える原因は?

ニキビが増える原因は?

 

「日焼け止めを塗ることによってニキビが増える(あるいは悪化する)かどうか」を知るためには、まず「ニキビはなぜできるか」について知らなければなりません。

ニキビができる原因は、大きく以下の3つの段階に分類されます。

毛穴の詰まり

人間の肌は、常に新しく細胞を生み出すことで新陳代謝を繰り返しています。

しかし、新陳代謝がうまくいかず古い角質が残ることにより、毛穴の周辺がふさがりやすくなることがあるのです。

毛穴の中に残った皮脂に落としきれなかったメイク汚れなどが混ざると、毛穴詰まり「角栓(コメド)」という状態になります。

過剰な皮脂

本来皮脂には、「肌を適度に潤わせ、刺激やダメージから肌を守る」という役割があります。

しかし皮脂が過剰に分泌されすぎたり、毛穴の中に詰まったりすると、それをきっかけにアクネ菌が増殖しやすくなり、毛穴周辺で炎症を引き起こすのです。

アクネ菌の増殖

アクネ菌は人の皮膚表面や毛穴に存在する常在菌ですが、皮脂が過剰に分泌されたりため込まれすぎたりした場合、急速に増殖します。

アクネ菌は酸素を嫌う「嫌気性菌」ですが、出口が塞がれた毛穴内は酸素に触れにくく、アクネ菌にとって好条件が揃っている環境ともいえるのです。

やがてアクネ菌は皮脂を「遊離脂肪酸」へと変化させ、肌に炎症を引き起すことでニキビを発生させますす。

ニキビ発生のメカニズムは詳しくはこちらをどうぞ。

ニキビ悪化の原因は紫外線も関係している?

 

ニキビ悪化の原因は紫外線も関係している?

ニキビの発生には、「紫外線」も大きく関係しています。

紫外線の影響としてもっともメジャーなのは「日焼け」や「シミ・シワ(肌老化)」ですが、実はニキビを引き起こす原因ともなりうるのです。

紫外線は肌に対してダメージを与えるものです。紫外線を受けると、人体は「体を守るために、紫外線の侵入をブロックする」働きを始めます。

この働きのひとつが、肌のもっとも表層にある角質層を厚くして、紫外線の影響を受けにくくすることです。

しかしこの厚く・硬くなった角質層は、柔らかい角質層に比べると毛穴詰まりやバリア機能の低下など、様々なトラブルを起こしやすいといわれています。

このため、肌の水分量が少なくなったり、皮脂が酸化したりすることで、さらにニキビが発生・悪化しやすくなるのです。

日焼け止めでニキビは増える(悪化する)のか

このように、紫外線はニキビが増える原因となるものです。

そのため、極端に肌に合わなかったり刺激が強すぎたりする日焼け止め以外ならば、「ニキビの悪化を予防するため、ニキビがある状態であっても日焼け止めを使用した方が良い」といえます。

ニキビがある肌へは、日焼け止めを使うリスクよりも、日焼け止めを使わずに紫外線を受けるリスクの方がずっと大きいと考えられるのです。

しかし、すでに述べたように、肌に合わなかったり刺激が強すぎたりする日焼け止めは肌への負担になってしまいます。

そのため、日焼け止めの性質をきちんと把握し、自分の肌とシチュエーションに合った日焼け止めを使うことが重要です。そのための基礎知識を解説します。

日焼け止めの表記内容について

日焼け止めの表記内容について

 紫外線は、大きく分けて「UVA」「UVB」「UVC」の3つがあります。

ただし、このなかの「UVC」はほとんどが大気中でカットされるため、地球上に降り注ぐ量はそれほど多くはありません。

このため、注目すべきは、「UVA」と「UVB」の2つです。

UVAとPAについて

UVAは、「紫外線α波(A波)」とも記されるものです。

地表に届く紫外線のうちの95パーセントを占めるものであり、肌の真皮層にまで到達します。

若々しい肌を保つために必要なコラーゲンやエラスチンの生成に大きく関わる繊維芽細胞にダメージを与え、光老化を招くものです。

UVAを防ぐための値が「PA」です。

PAは「Protection Grede of UVA」を略した言葉です。「PA+」「PA++」「PA+++」「PA++++」の4段階に設定されています。

+の数が多くなるにつれてUVAを防ぐ効果が高くなります。

UVBとSPFについて

UVBは短時間で肌の表皮に影響を与えるもので、炎症を引き起こすものです。

「日焼けをして、肌が火傷のように赤くなった」などの原因となるのが、このUVBです。

UVBを防ぐことが可能とされる時間の指標となるものが「SPF」です。

SPFは「Sun Protection Facter」を略した言葉です。

肌に何も塗っていない時と比較して、UVBの影響を防ぐことができる時間を示しています。

数字が大きければ大きいほど、長時間UVBによる肌の炎症や褐色化を防ぐこと可能になるのです。

PAとSPFの注意点

PAは「+」の数、SPFは「数字」で示されます。

+の数や、SPFの数字が大きいほど、紫外線防止力や持続効果が高い日焼け止めであるといえます。

ただ、単純に「+の数が多いもの、SPFの数字が大きいものを使えば良い」というものではありません。

紫外線防止力の高い日焼け止めは、肌にかかる負担も大きくなりやすいといわれています。そのため、「どんなシチュエーションで使用するか」によって日焼け止めを使い分けることが大切です。

たとえばマリンスポーツを楽しむ時とちょっとした買い物では、肌に浴びる紫外線量が大きく異なります。このため、目的にあったPAやSPFを確認した上で日焼け止めを選ぶ必要があるのです。

日焼け止めのPA・SPF値の目安

PA+・SPF10〜20→日常生活(自宅周辺の散歩や買い物)

PA++・SPF20〜30→屋外での短時間のレジャーや買い物

PA+++・SPF30〜40→炎天下でのレジャーやマリンスポーツなど

PA++++・SPF40〜50→非常に紫外線が強い場所や、紫外線に対する過敏症状のある方に向いている

また、日焼け止めは「朝に1回塗れば終わり」というものではありません。

汗をかけば落ちるものですし、数時間おきに塗りなおしをすることで、高い紫外線防止効果を保ちやすくなるのです。

紫外線吸収剤と紫外線散乱剤

紫外線吸収剤と紫外線散乱剤

日焼けによる影響を防ぐための主な成分には、「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2つがあります。

紫外線吸収剤

紫外線吸収剤とは、一度吸収した紫外線を、化学反応により熱エネルギーなどに代えて体外へ放出させることで、肌内部へ紫外線の影響が出にくいようにする成分のことをいいます。

代表的な紫外線吸収剤:メトキシケイヒ酸オクチル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、パラアミノ安息香酸、オクチルトリアゾンなど

紫外線散乱剤

紫外線散乱剤とは粉体のものがほとんどで、「ノンケミカル」と表示されることもあります。肌の上で紫外線を乱反射させて文字通り「散らす」ものです。

代表的な紫外線散乱剤:酸化チタン、酸化亜鉛など

肌負担の差について

一般的に、肌の上で紫外線のエネルギーを一度吸収する紫外線吸収剤よりも、化学反応を起こさない紫外線散乱剤の方が肌に負担をかけにくいといわれています。

製品によって差がありますが、この2つのいずれか片方だけ配合しているものも、両方を配合している場合もあります。

肌への影響が心配な方は、紫外線散乱剤を使用した「ノンケミカル」と表示されている日焼け止めを選ぶと、ニキビをはじめとする肌トラブルが起こりにくいでしょう。

ニキビが心配な方へ日焼け止めの選び方・使い方のポイント

ニキビが心配な方へ日焼け止めの選び方・使い方のポイント

紫外線吸収剤・散乱剤の他にも「ニキビが心配な人に向いている日焼け止め」についてご紹介したい点があります。

ニキビの原因になりにくい「ノンコメドジェニックテスト済み」のアイテムを使用する

「ノンコメドジェニックテスト」とは、コメド(ニキビの第一段階)ができるかどうかを確認する試験のことをいいます。

このテストをクリアしている日焼け止めはニキビができにくい傾向にあり、「ニキビのものになりにくい処方」と表記されることもあります(※絶対にニキビができないことを保証するものではありません)。

また、ノンコメドジェニックと同時に「無香料」「無着色」「低刺激」などの表記がある製品は、より肌への刺激が少なく、安心して使用しやすいといえるでしょう。

短時間・少ない摩擦・低刺激の洗浄成分で落とせるアイテムを選ぶ

日焼け止めを落とす際に使用するクレンジングや洗顔料は、肌に触れる時間が長くなるにつれて肌負担が増します。

さらに強力な洗浄成分や摩擦刺激を加えることで、肌のバリア機能が低下し、ニキビが悪化するリスクが高まるのです。

屋外での長時間のスポーツやレジャー時を除き、日常生活では「ウォータープルーフタイプ」を避け、少ない肌負担で落としやすいものを選ぶと良いでしょう。 

使用量を守り、汗をかいた後はこまめに塗り直す

日焼け止めは、一度にたくさん塗れば良いというものではありません。

製品に記載されている規定の使用量を守り、ムラなく肌へ塗布することはもちろんですが、スポーツやレジャーを楽しんだあとだけでなく、日常生活を送る中でも数時間おきにこまめに塗り直し、紫外線の影響を受けにくくすることが大切です。

ニキビにおすすめの日焼け止めはジェルやミルクタイプ

日焼け止めタイプ一覧

ジェルタイプ 伸びやすく、さらりとした使用感。皮膚のべたつきが気になる人も使いやすい。
ミルクタイプ

伸びやすく、しっとりとした使用感。敏感肌や乾燥肌の人でも肌表面をなめらかに保ちやすい。

パウダータイプ 化粧下地や乳液・ジェル状の日焼け止めを塗った後に肌へ乗せるもの。落ちやすいためこまめな塗り直しが必要だが、外出先でのメイク直しにも使用できる。
スプレータイプ

全身へ手軽に吹き付けられる。手の届きにくい部位へも塗布しやすいが、塗りムラが出やすい。

クリームタイプ 非常に高い保湿力があり、肌への密着度も優れているウォータープルーフのものも多く、油分によりニキビを誘発することもある。

一般的に、柔らかく・伸びが良いテクスチャーの日焼け止めを選ぶと、塗布する際に肌への摩擦刺激が少なく、穏やかな洗浄力のクレンジングや洗顔でも落としやすいという特徴があります。

ご紹介した日焼け止めタイプの中では

  • ジェルタイプ
  • ミルクタイプ

が該当します。

また、塗り直し用として

  • パウダータイプ
  • スプレータイプ

上記2つのいずれかを持ち歩くようにすると、外出先でも簡単に塗り直しができるでしょう。

クリームタイプは市場に広く流通していますが、高い耐久性・耐水性を実現させるため、紫外線吸収剤や油分の含有力が多く、刺激の強いクレンジング剤が必要になることがあります。

また、洗浄料で落としにくい傾向があるので、メイク汚れとして肌に残ってしまうことも考えられます。

ニキビの原因や悪化に繋がる可能性があるため、ニキビが気になる時はクリームタイプの日焼け止めの使用は避けた方が良いでしょう。

皮膚科で購入できる日焼け止めは低刺激でニキビを悪化させにくいアイテムが揃っています。

気になる方はこちらをどうぞ。

まとめ

日焼け止めを正しく使うことは、ニキビを防止し、ニキビを悪化させないために非常に重要です。

日焼け止めを塗らないことで、紫外線による肌トラブルが増える可能性もあります。

使用時の注意点を知り、肌状態と目的にあった適切なものを選ぶと良いでしょう。

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